企業法制改革論―日本経済活性化に向けた提言
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- 日本経済活性化のためには、その根幹ルールである企業法制のあり方を考えなければならない。各界の論客と武井弁護士が、法律というフィルターを通して日本のあり方を問う対談集。
目次
企業法制改革論
日本経済活性化に向けた提言
目次
1 はじめに 武井 一浩
2 対談
「副作用」を考慮した制度設計を
―神様のようにすべては予見できない/五味 廣文
経済成長戦略における金融行政の役割
過剰な欧米の金融規制
ポピュリズムが経済合理性を阻害する
裁判所に求められる経済合理性と副作用の予見・検証
安曇野市東京高裁判決の反響
貸金業法改正からの教訓
リスクマネー循環の活性化に資する企業法制とは
リスクマネーは日本企業の「少子高齢化」を救えるか
IFRSの導入―副作用の少ない現実的議論を
制度設計に臨むには常に謙虚であれ
―神様のようにすべては予見できない
柔軟な制度設計が企業活動を活性化する/柳川 範之
震災復興と経済活性化策
複数の選択肢を示す法制度が求められる時代
「手段の目的化」への警鐘
イノベーティブな法改正を
株対価M&Aの解禁の重要性
リスクマネーの循環を阻害しない仕組みを
多重株主代表訴訟がもたらすインパクト
クラスアクションのマクロ経済への影響
日本復興への処方箋
企業活動を後押しする法制度が日本復興の処方箋
/阿部 泰久
企業法改正の歴史を振り返って
税制改正と震災復興
IFRSと日本の会計戦略
いきすぎた予防にならない独禁法制を
物事が「決まらない」弊害
行政制裁とデュー・プロセス
会社法改正における企業集団法制
震災時の株主総会対応
債権法改正
集合訴訟導入の懸念
震災復興に向けた企業法制
成長を促進する企業法制が一層重要に
脱「キャッチアップ型」の思考体系
―欧米の真似ではないルール作りを/冨山 和彦
ビジネス法制には産業構造にあわせた変革が必要
裁判所は現状維持装置
法学は人文学でなく社会科学であるべき
解雇法制は規律手段選択の失敗
縦割行政で作られる法制をマクロレベルで再調整できる機能を
法制度の世界に求められる「脱キャッチアップ」
机上の理論だけで改正を行わないこと
日本で成功してから海外進出するモデルはもう古い
フルグローバリゼーション時代に対応した法整備を
日本は課題先進国―もはや他国に答えはない
M&A活性化で個人が帰属できるムラ社会の形成を
「知的財産」こそが日本の活路を開く/中山 信弘
知的財産法制を取り巻く状況
知財立国という国家戦略を振り返る
「知的財産戦略本部」
―マクロの視点で統括された企業法形成のモデル
知的財産法における私法と公法との役割分担
法律が産業発展を阻害する
フェアユースにみる私法的解決による企業法分野の発展
Googleの世界戦略にみる日本の知財戦略への教訓
技術・環境の変化に向き合える柔軟性を
知財を取り巻く現在的課題
知財の世界における集団的権利処理の難しさ
特許の誘致をめぐる国家間競争
国際的競争に勝つための戦略的思考を
3 マクロの経済成長戦略に適うミクロの企業法制とは
武井 一浩
一 ボトムアップ型の企業法制とトップダウン型のマクロ成長戦略
との整合性を
二 成長戦略に適う企業法制とはーここ一〇年の会社法改正を
振り返って
1 利害の公正なバランスを保ちつつ新たな経済行為を解禁
2 硬い規律の世界でも複数の選択肢の検討を
三 日本の経済成長のために求められているマクロの経済成長戦略
1 日本経済の行き詰まりの原因
2 産業構造・ビジネスモデル・ビジネス環境の問題
3 三つのマクロの経済成長戦略
四 マクロの経済成長戦略に適うミクロの企業法制改革のあり方
1 新たな経済行為を解禁するM&A法制の改正
2 イノベーティブだった平成二三年度産活法改正
3 スピンオフ税制導入で「日本企業の少子高齢化」改善
4 オールマイティーな領域・者を下手に作らないこと
五 アジアなど新興国進出戦略と企業法制
1 企業法制も高度成長期を経た歴史からの脱却を
2 現行会社法の利益相反規制の硬直性
3 第三類型「監査・監督委員会設置会社」解禁の必要性
4 非業務執行役員の職責の明確化を
5 「監査」役という名称自体が国際的不理解の一因
6 企業不祥事と企業統治論―非業務執行役員の職責の実効化
六 「パイの分配法制」の前に「パイの拡大法制」
1 リスク・アバース性を助長しない企業法制を
2 規制緩和を求める側に「無の証明」責任を課さない
3 リスクマネーの循環環境の整備
4 消費者集合訴訟制度
七 経済成長戦略に適う企業法制を実現するために
著者プロフィール
武井 一浩(たけい かずひろ)
1989年東京大学法学部卒業。
1991年4月第一東京弁護士会登録,
1996年ハーバード大学ロースクール卒業(LL.M.),
1997年1月ニューヨーク州弁護士登録,
1997年オックスフォード大学卒業(MBA)。
現在,西村あさひ法律事務所パートナー,
早稲田大学法科大学院客員教授,京都大学法科大学院講師,
税務大学校講師。
M&A /組織再編,海外M&A,買収防衛,総会対応,会社関係訴訟,企業統治,税務訴訟,消費者法制,独禁法,知財診断などを取り扱う実務家。
日経ビジネス弁護士ランキングM&A・企業再編部門第1位(2010年度)。
近著として『株対価M&A の実務』(商事法務,2011),
『集合訴訟の脅威』(商事法務,2011)ほか。