- 本の紹介
- 近年、格差の拡大に対応して「富裕層」という視点でマーケティングされた金融商品が増加している。本書はこうした金融ビジネスへの規制をわかりやすく解説している。
目次
富裕層向け金融ビジネスの法務
目次
第1章 富裕層向けの金融証券ビジネス
第1節 富裕層ビジネスの概観
1 富裕層とは
2 富裕層が期待するサービス
3 欧米との比較
第2節 富裕層ビジネスの主要な担い手である銀行と証券の違い
第3節 ライセンス規制概観
1 金融商品取引業
2 銀行免許
3 貸金業登録
4 宅建業免許
5 商品投資顧問業
第4節 海外拠点・海外取引
1 支 店
2 現地法人
3 海外拠点のライセンス問題
第5節 開示規制
1 開示規制の適用を受ける者
2 発行開示規制と継続開示規制
3 発行開示規制
4 継続開示規制
5 私 募 ……ほか
第6節 税務に関する留意点
1 居住者vs 非居住者
2 非居住者への課税
3 国外財産調書制度
第2章 富裕層向けビジネスにおける行為規制
第1節 行為規制概観
1 通則と特則
2 不遵守の効果
3 適用を受ける者
4 類 型
5 条項の例 ……ほか
第2節 富裕層向け非金融ビジネス-兼業規制等
1 銀行法
2 金商法
3 金融関連のサービス以外のサービスの例
第3節 銀証間のダブルハット・マルチハット
1 兼職規制
2 情報授受規制
第4節 商品リスク説明・適合性チェック
1 契約締結前の書面の交付(法第37条の3第1項)
2 契約締結時の書面の交付(法第37条の4第1項)
3 虚偽のことを告げる行為の禁止(法第38条第1号)
4 不確実事項について断定的判断提供の禁止(法第38条第2号)
5 必要な説明をせずに契約を締結することの禁止
(法第38条第7号,業府令第117条第1項第1号) ……ほか
第5節 インサイダー取引規制等
1 その他取引規制
2 その他取引規制の適用を受ける者
3 その他取引規制の違反の効果
4 課徴金制度
5 法人関係情報を提供した勧誘の禁止
(法第38条第7号,業府令第117条第1項第14号) ……ほか
第6節 弊害防止
1 顧客の売買情報利用の禁止(法第44条第1号)
2 不必要な取引を促す助言・運用の禁止(法第44条第2号)
3 顧客・権利者でない人に対する売買委託勧誘の禁止
(法第44条第3号,業府令第147条第1号)
4 別業務で得た情報で助言・運用することの禁止
(法第44条第3号,業府令第147条第2号)
5 「売れ残りそうな」有価証券を顧客に取得させることの禁止
(法第44条第3号,業府令第147条第4号) ……ほか
第7節 損失補てん
第8節 利益相反
1 顧客に対し誠実・公正に業務を行わねばならない
(法第36条,法第41条第1項及び法第42条第1項)
2 利益相反管理体制構築義務
3 証券会社役職員による投機的利益追求の禁止
(法第38条第7号,業府令第117条第1項第12号)
4 一方の顧客の利益のために他の顧客の利益を害する助言を
行うことの禁止(法第41条の2第1号)
5 顧客の取引により自分や第三者の利益を図る助言をすることの
禁止(法第41条の2第2号) ……ほか
第9節 特別利益の提供
1 契約に際し特別の利益の提供を約束または行うことの禁止
(法第38条第7号,業府令第117条第1項第3号)
第3章 富裕層向けビジネスにおける訴訟などの紛争対応・予防
第1節 金融ADR
1 FINMACとは
2 FINMACにおけるあっせん
第2節 裁 判
1 裁判手続
2 日本版クラスアクション
第3節 管轄ほか
1 被告の住所等による管轄権
2 管轄合意
3 労働関係紛争の例外
4 事例検討
第4節 判例等
1 東京地方裁判所 平成19年1月23日判決
2 大阪高等裁判所 平成20年6月3日判決
3 大阪地方裁判所 平成22年8月26日判決
4 東京地方裁判所 平成23年11月9日判決
第4章 富裕層向けビジネスに関する対当局対応
第1節 概 観
1 当局の役割分担
2 証券取引等監視委員会の中の役割分担
3 富裕層向けビジネスを行う金融商品取引業者を対象とした
検査事例
第2節 無登録での金商業
1 刑事責任
2 民事責任
3 行政処分等
4 当局からの照会への対応
第3節 緊急禁止命令
1 無登録金商業と制裁等
2 緊急禁止命令
3 誤解を招かぬために
第4節 処分事例等
1 事 例
2 検査を受けるのはどういった登録金融商品取引業者か
3 検査にはどのように対応すべきか
4 検査を受ける前に予めできる準備は
5 監視委による検査は今後変わっていくか ……ほか
索 引
著者プロフィール
川東 憲治(かわひがし けんじ)
1988年 東京大学法学部卒業,第二東京弁護士会(1990年登録)
1990年〜1994年 アンダーソン・毛利法律事務所
1994年 イリノイ大学ロースクール大学院修了(LL.M.:法学修士)
1994年〜1996年 Sonnenschein Nath & Rosenthal法律事務所ロサンゼルスオフィス
1996年〜2000年 アンダーソン・毛利法律事務所
1997年 ニューヨーク州弁護士資格取得
2000年〜2001年 モルガン・スタンレー証券会社/モルガン・スタンレー・アセットマネジメント投信株式会社
2000年〜2001年 法政大学非常勤講師
2002年 金融庁・証券取引等監視委員会
2003年〜2005年 あさひ・狛法律事務所(パートナー)
2004年 デューク大学非常勤講師
2005年〜2008年 クリフォードチャンス法律事務所(パートナー)
2008年〜 敬和綜合法律事務所(パートナー)
〔主な著作〕
『図説 金融商品取引法』(学陽書房,2007年)(編著)
『ファンドと金融商品取引法』(商事法務,2010年)