- 本の紹介
- 租税回避行為に対処するため、企業再編税制に盛り込まれている「包括的否認規定」。いかなる場合に適用されるのか立法趣旨等から検討し、税務調査対応の留意点を解説する。
目次
組織再編 包括的否認規定の実務解釈
目次
はじめに
第Ⅰ章 組織再編成にかかる包括的否認規定の概要
1 導入の経緯
(1) 導入の経緯
(2) 適用される対象について
(3) 同族会社の行為計算否認規定との比較
(4) 制度の濫用論について
(5) 制度趣旨についてのまとめ
2 適用の要件
(1) 組織再編成にかかる行為計算否認規定の適用要件の概要
(2) 適用対象となる法人について
(3) 適用対象となる行為類型について
第Ⅱ章 適用上の問題点
1 行為者について
(1) 問題点
(2) 同族会社の行為計算否認規定の場合
(3) 不当な行為の主体と否認の対象となる法人が別々でもよいと
する考え方①
(4) 不当な行為の主体と否認の対象となる法人が別々でもよいと
する考え方②
(5) まとめ
2 「不当に」の意味
(1) 問題点
(2) 同族会社の行為計算否認規定における「不当に」の意味
(3) 「制度の濫用」とは
(4) 「制度の濫用」の要件
(5) 「制度の濫用」という考え方についての留意点
(6) 「 制度の濫用」の要件と「不当に」の要件についての比較
(7) まとめ
3 「引き直し」計算について
(1) 「引き直し」とは
(2) 同族会社の行為計算否認規定と同じ考え方を採る場合
(3) 「制度の濫用」と「引き直し」
(4) 「引き直し」の問題点
(5) 「引き直し」の問題点と「制度の濫用」
(6) まとめ
4 「計算」の否認
(1) 問題点
(2) 「計算」の否認の意味
(3) まとめ
5 手続上の問題点
(1) 「更正の請求」の場合の問題点
(2) 「更正の請求」の場合の考え方
第Ⅲ章 具体的事例
1 事例の検討にあたって
2 適格外しによる含み損の実現
(1) 事例1
(2) 事例2
3 含み損のある資産を対象とする分割
4 損失の多重利用行為
5 繰越欠損金の引継ぎのみを目的とする組織再編
(1) 事例の検討
(2) 同種の事例
6 みなし共同事業要件を充足させる行為
7 共同事業要件を充足させる行為
第Ⅳ章 組織再編成についての実務上の留意点
1 実務上の留意点の検討にあたって
2 実行時における注意点
(1) 組織再編手法の選択
(2) 税負担軽減のための行為
(3) 税務調査を見据えた資料の作成
(4) その他
3 組織再編成にかかる税務調査への対応
(1) 組織再編成にかかる税務調査─その目的
(2) 組織再編成にかかる税務調査─その態様
(3) 組織再編成にかかる税務調査─その対応について
(4) 組織再編成にかかる税務調査─聴き取り調査
(5) 組織再編成にかかる税務調査─聴き取り調査の態様①
(6) 組織再編成にかかる税務調査─聴き取り調査の態様②
(7) 税務調査への対応─「不当に」の内容
(8) 税務調査への対応─調査段階における審理
著者プロフィール
入谷 淳(いりたに あつし)
弁護士・公認会計士
昭和63年3月 京都大学法学部卒業
平成4年10月~平成8年2月 井上斉藤英和監査法人(現あずさ監査法人)勤務
平成10年4月~平成19年7月 検察官
平成19年9月~渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 所属
( なお,平成21年7月より平成24年7月までの3年間,東京国税局調査第一部において,任期付公務員として勤務)
- 担当編集者コメント
- 【お詫びと訂正】
本書籍において、誤りがありましたので、お詫びして訂正致します。
下記アドレスよりご確認ください。
http://www.chuokeizai.co.jp/zeinomado/tsuiroku/post_104.html
M&Aを実行する際に、避けて通れないのが組織再編税制。
この中の「包括的否認規定」は、形式だけ要件を整えて優遇措置を受けようとしても、不当な租税回避を目的としていることが「包括的」に認定されると、優遇措置を受けられなくなるという規定です。
・あえて適格要件を外すことによって含み損を実現した
・繰越欠損金の引継ぎのみを目的として組織再編を実行した など
これらの場合は、租税回避と認定されるのか?
弁護士・公認会計士であり、東京国税局で任期付き公務員として勤務経験もある著者が、実務を念頭において解説しています。(意見にわたる部分は著者の個人的見解です)