- 本の紹介
- 医療の質と採算性を両立するには、管理会計の活用が有効である。責任センター別のマネジメント手法が可能にする病院の持続的経営、それによる地域医療への貢献を示唆する。
目次
病院管理会計
持続的経営による地域医療への貢献
目次
まえがき
第1章 病院管理会計の必要性と全体像
1 病院界における管理会計の必要性の高まり:研究の背景
2 病院管理会計の全体像
3 病院管理会計の各種手法間の相互関係
4 本研究の方法と構成
第2章 設備機器投資の経済性計算の実態
1 問題意識と方法
2 経営管理に積極的な病院群における諸事例
3 分析結果:経営管理に積極的な病院群における実態
4 考察とまとめ
第3章 事業計画の実態:バランスト・スコアカードとの高い親和性
1 問題意識:事業計画とバランスト・スコアカード
2 DPC 関連病院の事業計画の実態
3 病院運営医療法人の事業計画の実態
4 まとめ:バランスト・スコアカードと高い親和性を持つ事業計画の
重要性
5 事業計画バランスト・スコアカードの事例
補論1 採算改善を巡る諸見解の検証:
業務実績と採算性との相関分析
1 問題意識
2 DPC 対象病院群全般を対象とした検証
3 国立DPC 関連病院群を対象とした検証
4 公立DPC 関連病院群を対象とした検証
5 まとめ
第4章 責任センター別管理会計の意義と普及状況:
アンケート調査を基に
1 責任センター別管理会計とは
2 DPC 関連病院調査に基づく実施状況
3 病院運営医療法人調査に基づく実施状況
4 責任センター別管理会計の効果132
第5章 責任センター別管理会計の定性的実態:
インタビューによる事例調査を基に
1 研究方法
2 未活用法人での状況
3 財務限定一貫型法人の諸事例
4 施設財務・部門多面型法人の諸事例
5 多面業績一貫型法人の諸事例
6 まとめ
第6章 医療サービス価値企画の現状と効果:
診療プロトコル開発によるプロセスマネジメント
1 診療プロトコル開発活動の価値企画としての性質
2 医療サービス価値企画の登場の背景
3 診療プロトコル価値企画の普及度
4 価値企画を支援する組織とツール
5 診療プロトコル価値企画の最新状況
6 価値企画の効果
7 価値連鎖考慮範囲拡張の兆候
8 価値企画の課題と今後
補論2 医療界の伝統的二律背反観の検証:
質と採算性との相関分析
1 問題意識
2 国立DPC 関連病院群を対象とした検証
3 公立DPC 関連病院群を対象とした検証
4 まとめ
第7章 原価計算の実態:影響機能の重視化
1 問題意識
2 DPC 関連病院における原価計算の実態
3 病院運営医療法人における原価計算の実態
4 影響機能焦点原価計算の病院原価計算体系における位置づけ
5 原価計算の評価視点と最適性
第8章 現場の経営的自律性を促す損益管理システム:
テナント式原価計算に焦点を当てて
1 問題意識
2 佐賀大学病院におけるテナント式原価計算
3 テナント式原価計算の他病院での導入
4 「基本思考」導入の困難性
第9章 管理会計の必要性と実践能力:
法人規模と多角化状況の影響
1 管理会計実践と法人属性
2 法人規模別の管理会計実践
3 経営多角化状況別の管理会計実践
4 まとめ
参考文献
索引
著者プロフィール
荒井耕(あらいこう)
一橋大学大学院商学研究科教授
1971年東京都生まれ
1994年一橋大学商学部卒業
2001年富士総合研究所勤務を経て,
一橋大学大学院商学研究科博士課程修了博士(商学)取得
大阪市立大学大学院経営学研究科専任講師,助教授.准教授を経て,
2008年一橋大学大学院商学研究科准教授
2012年一橋大学大学院商学研究科教授,現在に至る
専門分野:管理会計,原価計算.医療管理会計,公会計
主要著書・論文
『医療バランスト・スコアカード:英米の展開と日本の挑戦』中央経済社,2005年5月(日本原価計算研究学会学会賞受賞).
『医療原価計算:先駆的な英米医療界からの示唆』中央経済社,2007年2月(日本会計研究学会太田・黒澤賞受賞).
『病院原価計算:医療制度適応への経営改革』中央経済社,2009年1月(日本管理会計学会・文献賞受賞).
『医療サービス価値企画:診療プロトコル開発による費用対成果の追求』中央経済社,2011年7月.
Reforming Hospital Costing Practices in Japan: An Implentation Study, Financial Accountability &
Management, Vol. 22, No. 4, November 2006.