多国籍企業のグローバル価値連鎖―国際経営戦略論の系譜
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- 経営学に隣接する諸科学の概念を動員し、現在の多国籍企業が直面する諸問題を捉えると、国際経営戦略論の系譜にも合致する。本書はその過程を解説し、今後の展望を探った。
目次
多国籍企業のグローバル価値連鎖
国際経営戦略論の系譜
目次
プロローグ
第Ⅰ部 世界産業地図，多国籍企業，新たな競争モデル
第1章 世界の新経済空間と新産業地図
グローバリゼーションの主役，多国籍企業
世界産業地図の質的・地理的な拡がり─50億人の新しい商圏
……ほか
第2章 多国籍企業の論理
国家の存在は「異端」
寡占構造の国際貿易 ……ほか
第3章 「不確実性」時代の新たなグローバル競争モデル
グローバル国際経営戦略論の４つの流れ
６つのグローバル戦略アプローチ ……ほか
第4章 なぜ競争優位が持続しないのか？
３つの「罠」─安物化・乱立・加熱
「ザラフィケーション」旋風のファッション業界 ……ほか
第5章 世界的なコモディティ化現象と新たな競争モデルの構築
グローバル化のスピードに遅れるコーポレート戦略
コンテンジェンシー経営戦略学の転機か ……ほか
第6章 新たなパラダイムに基づく競争モデルの構築
オーストリア学派の競争概念を理論的に再考
コモディティ化の経済学的な表現─４つの新しい概念 ……ほか
第7章 優位概念の近代史の中における位置づけと新興国企業の
参入
「優位」概念の変遷
新興国企業との相似 ……ほか
第Ⅱ部 国際企業経営，戦略的提携，産業空洞化
第8章 本社と海外子会社の関係をどうするか
戦略と組織の関係再考
日本企業と欧州企業の国際経営比較 ……ほか
第9章 グローバル・アライアンスが企業戦略の潮流に最近の
PSA-GM協定の事例検証から戦略提携の意味を再考
国際的な事業連携がM&A に代替
新たなアライアンス・モデルの概念 ……ほか
第10章 産業空洞化論の日独仏米比較
―グローバル価値連鎖の動態的視点が必要
産業空洞化議論が盛んな日仏米
モロッコ移転ブームのフランス企業 ……ほか
第11章 顕著になった欧米多国籍企業の本国回帰現象
中国ブームの終わりの始まりを予感させる
米国製造業の復権の動きと本国回帰で空洞化現象に潮目変化か
……ほか
第Ⅲ部 グローバル価値連鎖
第12章 グローバル価値連鎖の日米欧比較―欧州企業では市場別
の適応性に優れたマルチナショナル戦略
EU拡大と企業の価値連鎖
多国籍企業の国別特徴─販売の欧州・生産の米国・R&D の日本
……ほか
第13章 グローバル価値連鎖戦略の日米欧比較―アウトソースの
米国企業・グローバル化の日本企業・企業内垂直貿易の
欧州企業
変貌した中間財・資本財の国家間の世界貿易の流れ
アウトソースする米国企業／市場をグローバル一体化する日本企業
……ほか
第14章 グローバル価値連鎖の独仏比較
―欧州域内におけるドイツ，フランスの競争優位の格差
重層的なグローバル生産システムが競争優位を生む
ドイツ企業がグローバル競争力でフランス企業を凌駕している理由
……ほか
第15章 グローバル価値連鎖の産業別日欧米比較―家電，
アパレル，加工食品，自動車の₄業種について分析
グローバル価値連鎖の４つのパターン
家電産業のグローバル価値連鎖空間 ……ほか
第16章 アグリビジネスのグローバル価値連鎖―40多国籍企業に
よる垂直統合に向かうアグリビジネス産業
産業の集中化とサービス化
世界の上位10社の加工食品企業の寡占化が進む ……ほか
第17章 グローバル価値連鎖の日欧米比較―自動車産業の
グローバル価値連鎖
グローバル・コンポーネント・サプライヤーの世界的な寡占体制
自動車産業の企業間連関に立脚した経営統治の欧州自動車業界
……ほか
第Ⅳ部 経営モデルの国際比較
第18章 日米欧・新興国経営モデルの国際比較―経営組織・企業
統治・経営戦略で違いはあるか
経営理論の欧米企業経営への影響
新しい経営モデルが10年ごとに交代 ……ほか
第19章 企業統治，経営戦略の国際比較
世界の企業経営様式の４分類は可能か
急成長の新興国企業の特異で後進的な経営戦略 ……ほか
第Ⅴ部 21世紀の新産業地図とグローバル価値連鎖
第20章 グローバル価値連鎖ガバナンスの日米欧比較
クロスボーダーな生産の世界的分割
取引コスト論による多国籍企業の内と外の２項対立関係の説明
……ほか
第21章 グローバル価値連鎖ガバナンスとハイブリッド化
―グローバル経営の競争優位上の複合的展開プロセス
ポーター・モデルを超えるグローバル価値連鎖ガバナンス
グローバル価値連鎖の帰結としての中間企業の台頭 ……ほか
第22章 グローバル・ファクトリー―多国籍企業の概念をさらに
止揚したアプローチが登場
精密な差別化されたネットワーク
情報プロセスを通じた仲介機能 ……ほか
第23章 新しいグローバル製造業時代の到来
第５次産業革命の到来
メイカームーブメント ……ほか
エピローグ 現代の国際経営戦略論の系譜と展望
ハイマーによる国際投資の経営資源移転論
国際投資のローカル企業へのスピルオーバー効果 ……ほか
参考文献
著者プロフィール
【著者紹介】
瀬藤 澄彦（せとう すみひこ）
帝京大学経済学部／大学院教授
パリクラブ（日仏経済交流会）会長。諏訪東京理科大学講師
早稲田大学法学部卒業後，ジェトロ（日本貿易振興機構）アルジェー・パリ・モントリオール駐在，フランス経済財政産業省・対外経済関係局（DREE）米州東アジア部対日顧問などを歴任。
フランス国家功績勲章・オルドル・ナシオナル・ド・メリット・シュバリエ賞大統領叙勲，フランス貿易振興機構（UBIFRANCE）理事長・貿易貢献表彰・銀メダル章受章。
主要著書
『フランスの流通・都市・文化―都市の広域連合体化・変貌する経済地理空間と都市ガバナンス」中央経済社，
『女性指数が経営を変える』（アニエス・アルシエ著の翻訳）NTT 出版，
『21世紀の国際経営学入門～ヨーロッパ・モデルに学ぶ～』彩流社，
『日本経済「永続」再生論～日本型経営モデルの本質～』（Ｄ・フルザ著の監訳）彩流社など。
その他連載執筆として，三菱UFJ リサーチ＆コンサルティングMUFG BizBuddy パリクラブ通信など。論文講演多数。
