事業継続計画による企業分析

野田 健太郎

定価(紙 版):4,180円(税込)

発行日:2013/11/26
A5判 / 226頁
ISBN:978-4-502-08320-4

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本の紹介
東日本大震災を契機に企業の事業継続計画(BCP)への関心が高まっている。そこで、本書は、BCP開示企業の特徴を把握し、BCPに関する情報開示の効果を解明する。

目次


事業継続計画による企業分析
目次

第1章 問題の所在と本書の構成
 第1節 研究の背景
 第2節 BCP 情報の特徴
  1 リスク情報における位置づけ
  2 ディスクロージャー理論とBCP 情報
 第3節 本書のねらい
  1 情報開示の決定要因に対する示唆
  2 業績予想誤差の分析を通じた企業のリスク管理行動に与える
    影響の解明 ……ほか
 第4節 本書の構成

第2章 BCPの特徴と最近の潮流
 第1節 BCPの概要
 第2節 BCPの位置づけの整理
 第3節 BCPをめぐる最近の状況
  1 BCPに対する関心が高まっている背景
  2 東日本大震災でBCP は機能したか ……ほか
 第4節 おわりに

第3章 BCP開示と取組みの関連性
 第1節 はじめに
 第2節 開示の実態
  1 有価証券報告書におけるBCP の開示状況
  2 開示の具体的な事例
 第3節 BCP の取組みの実態
 第4節 BCP 開示と経営意識・行動との関係性
 第5節 BCP 開示が効果を発揮した具体例
  1 グループ間での連携
  2 サプライチェーンの関連 ……ほか
 第6節 おわりに

第4章 分析のフレームワーク
 第1節 はじめに
  1 投資家の視点:低頻度・大損失のリスクに対して投資家に新たな
    視点を提供
  2 経営者の視点:経営プロセスにおけるステークホルダーとの関係
    の分析 ……ほか
 第2節 本研究の位置づけ
 第3節 先行研究の整理と解明すべき論点
  1 リスク情報開示の決定要因
  2 リスク管理の開示がリスク管理行動の成果に与える影響
   ……ほか
 第4節 BCP 開示の分析で明らかにできる点
  1 リスク情報開示の決定要因の解明
  2 企業のリスク管理活動に与える影響の解明 ……ほか

第5章 BCP開示企業の決定要因
 第1節 はじめに
 第2節 先行研究
 第3節 分析手法
  1 仮説の設定
  2 手 法 ……ほか
 第4節 検証結果
 第5節 開示企業の決定要因の分析
  1 手 法
  2 分析結果
 第6節 おわりに

第6章 BCPと経営者業績予想の関係
 第1節 はじめに
 第2節 先行研究
  1 BCP に関する先行研究
  2 業績予想誤差に関する研究
 第3節 仮説の設定と分析手法
  1 仮説の設定
  2 リサーチデザイン
 第4節 実証結果
 第5節 追加検証
 第6節 おわりに

第7章 BCP開示が資本コストに与える影響
 第1節 はじめに
 第2節 先行研究
 第3節 仮説の設定と分析手法
  1 仮説の設定
  2 分析手法 ……ほか
 第4節 実証結果
 第5節 おわりに

第8章 BCPの開示方法が株価変化に与える影響
 第1節 はじめに
 第2節 先行研究
 第3節 仮説の設定と分析手法
  1 仮説の設定
  2 分析手法 ……ほか
 第4節 実証結果
 第5節 おわりに

第9章 分析結果の整理と今後の課題
 第1節 はじめに
 第2節 結論と示唆
 第3節 本書の貢献
  1 投資家による企業評価に新たな視点を提供
  2 経営プロセスにおけるステークホルダーとの関係を分析
   ……ほか
 第4節 今後の課題と展望

 参考文献

 索 引



著者プロフィール 野田 健太郎(のだ けんたろう)
1962年 神奈川県生まれ
1986年 慶應義塾大学法学部卒業
日本開発銀行(現:日本政策投資銀行)入行
ロサンゼルス事務所次席駐在員,公共ソリューション部CSR 支援室長,日本経済研究所環境・防災部長などを経て,
2013年 日本政策投資銀行 設備投資研究所上席主任研究員
(現在にいたる)
一橋大学大学院 商学研究科博士後期課程修了。
博士(商学)一橋大学
内閣府事業継続計画策定・運用促進方策に関する検討会委員
早稲田大学大学院講師,事業継続推進機構理事,証券アナリスト(検定会員)

<主要著書・論文>
『ベンチャー育成論入門』(編著)大学教育出版,2004年
『事 業継続マネジメントBCM を理解する本』日刊工業新聞社,2006年
「事 業継続計画(BCP)開示企業の特徴に関する研究」インベスター・リレーションズ₅,2011年
「事業継続計画と経営者業績予想の関係」経営財務研究31⑵2011年
「事 業継続計画の開示が株主資本コストに与える影響」現代ディスクージャー研究12,2012年






















著者紹介

野田 健太郎(のだ けんたろう)
[プロフィール]
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科・観光学部教授 博士(商学)
一橋大学大学院商学研究科博士後期課程修了。日本政策投資銀行を経て現職。2020年~2021年University of California, Berkeley客員研究員。専門は財務会計,企業の社会的責任(CSR),事業承継計画(BCP)。内閣府政府業務継続に関する評価等有識者会議委員などを歴任。

[主な著作]
『事業継続計画による企業分析』(中央経済社,2013年)
『戦略的リスクマネジメントで会社を強くする』(中央経済社,2017年)

担当編集者コメント
近年、東日本大震災や新型インフルエンザの感染拡大を契機に、企業や投資家の「事業継続計画(BCP)」への関心が高まっています。
そのような中、本書のねらいは、事業継続計画開示企業の特徴を把握し、事業継続計画に関する情報開示の効果を明らかにすることにあります。
本書の主な貢献は、以下の3点です。

1.投資家による企業評価に新たな視点を提供
今までの企業評価において定性的なリスク事項はあまり反映されていませんでしたが、東日本大震災の教訓から、投資家は有事に備えたサプライチェーンの把握や耐久性の強化、およびこれらを支える仕組みとしてのBCP構築を企業に求めています。その点でBCPを開示している企業をどのように評価に反映するかという新たな視点を提供しています。

2.経営プロセスにおけるステークホルダーとの関係を分析
BCPは、サプライチェーンにおける供給責任への対応や企業が被災時においても可能な限り事業を継続することで地域雇用を維持するといった従業員への対応が重要な要素です。そのため、BCPの開示効果の分析を通じて、経営プロセスにおけるステークホルダーとの関係を構築する重要性が示されています。また、BCPによるリスクへの対応をステークホルダーに的確に説明するという情報開示のあり方に対しても新たな示唆を与えています。

3.リスク情報開示研究の課題に対する新たな示唆
会計学上の観点から、①情報開示の決定要因、②企業のリスク管理行動に与える影響の解明、③マネジメントの開示効果の3点について新たな示唆を得ることで、開示制度に対して何らかの貢献ができる可能性を示唆しています。

会計分野の研究者のみならず、企業の経営者、リスクマネジメント・IR関連部署の実務家に必須の内容です。