- 本の紹介
- 国際タックスプランニングは実際の現場で、どのように検討・実行されているのか。多国籍企業のスキーム等をもとに、日本企業目線で実務と理論をわかりやすく解説した教科書。
目次
国際タックスプランニングの実務
目次
第1編 海外展開する日本企業のための国際タックスプランニング
第1章 国際タックスプランニングの基本的考え方 2
1 国際タックスプランニング=日本での課税の最小化+外国での
課税の最小化
2 日本での課税のメカニズム(アウトバウンドの側面)
3 日本企業の国際タックスプランニングを2つの場面に分けて考える
⑴ 海外の収益に関する課税を最小化したいという場面
⑵ 国内の収益に関する課税を最小化したいという場面
第2章 海外の収益に関する国際タックスプランニング
1 基本的考え方
⑴ 「海外子会社」か「支店」か?
⑵ 「海外子会社」を通じた海外ビジネスの場合 ……ほか
2 低税率国の海外子会社への所得集中
⑴ プランニングにおける基本的考え方
⑵ タックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制) ……ほか
3 日本親会社への配当方針
⑴ プランニングにおける基本的考え方
⑵ 外国子会社配当益金不算入制度 ……ほか
4 海外での課税の最小化
⑴ プランニングにおける基本的考え方
⑵ 現地国でのアーニング・ストリッピングの手法 ……ほか
5 外国税額控除制度
⑴ プランニングにおける基本的考え方
⑵ 外国税額控除制度の対象となる外国の税の範囲 ……ほか
6 租税条約を利用する国際タックスプランニング
⑴ 租税条約の概要
⑵ 租税条約の具体的内容 ……ほか
7 海外で生じた損失の利用(外国事業体は法人か組合か?)
⑴ 問題の所在
⑵ 最近の判例・裁決の状況 ……ほか
第3章 国内の収益に関する国際タックスプランニング
1 基本的考え方
⑴ アーニング・ストリッピング
⑵ 機能の海外移転
2 移転価格税制
⑴ 概 要
⑵ 移転価格税制を意識したタックスプランニング ……ほか
3 「アーニング・ストリッピング」というプランニング
⑴ 「アーニング・ストリッピング」のメカニズム
⑵ 「アーニング・ストリッピング」に対する課税当局の対応策
4 「機能の海外移転」というプランニング
⑴ 製造機能の海外移転…「委託製造」,「toll manufacturing」
⑵ 販売機能の海外移転…「コミッショネア」 ……ほか
5 「機能の海外移転」に関する税務リスク
⑴ 事実認定段階における否認
⑵ 税法適用の段階における否認
6 「機能の海外移転」に関する関連判例
⑴ アドビ事件
⑵ 一条工務店事件
7 本社機能の海外移転
⑴ 「コーポレート・インバージョン」(親子逆転)まで行うか否か?
⑵ 方法論 ……ほか
8 相続税に関するタックスプランニング
⑴ 日本の相続税のメカニズム
⑵ 日本に「住所」の有無 ……ほか
9 機能の海外移転に対する日本の税務当局の今後の動き
⑴ タックスプランニングにおける基本的考え方
⑵ 出国税(Exit Tax) ……ほか
第2編 日本企業による海外M&A,JV,グループ内再編
第1章 海外M&Aに際して検討すべきタックスイシュー
1 3つの時点で検討することの重要性
2 過去の税務リスク
⑴ 「事実の表明・保証」条項に関する交渉
⑵ 「補償」条項への限定
3 現在のM&A取引の税務コストの最小化
⑴ キャピタルゲイン課税
⑵ M&A取引そのものに関するその他の税務コスト
4 将来の税務コストの最小化
⑴ 日本のタックスヘイブン対策税制への配慮
⑵ 買収のための資金調達 ……ほか
5 東京エレクトロンとアプライド・マテリアルズの経営統合
⑴ 事案の概要
⑵ 日本における三角合併 ……ほか
第2章 海外JVに際して 検討すべきタックスイシュー
1 海外JVの概要
2 過去の税務リスク
3 現在の税務コストの最小化
⑴ 所得に関する税
⑵ 消費に関する税 ……ほか
4 将来の税務コストの最小化
⑴ 配当に関する税務コスト
⑵ 将来の株式譲渡の譲渡益に関する税務コスト ……ほか
第3章 国際的グループ内再編に際して検討すべきタックスイシュー
1 過去の税務リスク
2 現在の取引の税務コストの最小化
⑴ 現物出資
⑵ 譲渡を伴わない事業移転① ……ほか
3 将来の税務コストの最小化
4 当局による否認リスクの検討
第3編 対日投資をする外国企業のための
国際タックスプランニング
第1章 日本の税制の仕組み
1 「国内源泉所得でなければ課税されない」というルール
2 「PEがなければ事業所得に課税されない」というルール
第2章 プランニングにおける基本的考え方
1 日本で積極的に事業を行う場面
2 消極的な関与にとどまる場面
第3章 外国法人の日本での所得に関するアーニング・ストリッピング
1 概 要
2 過少資本税制
⑴ タックスプランニングにおける基礎知識
⑵ 要 件 ……ほか
3 過大支払利子税制
⑴ タックスプランニングにおける基礎知識
⑵ 要 件 ……ほか
第4章 日本にPEを持たないという税務戦略
1 概 要
2 PEの要件
⑴ 支店PE
⑵ 建設PE ……ほか
3 実務上の問題点
⑴ 「独立代理人」という概念
⑵ 海外のファンドによるタックスプランニング
4 PEを認定された場合のリスク
第5章 租税条約の検討
1 基本的考え方
2 租税条約の具体的内容
⑴ 配 当 197
⑵ 利 子 ……ほか
3 「条約漁り(Treaty Shopping)」とされた場合のリスク
⑴ 「受益者」という概念を用いる租税条約
⑵ LOB条項を定める租税条約
第6章 米国企業の日本子会社が「合同会社」であることが多い理由
1 「チェック・ザ・ボックス」ルール
2 CFCルール
3 まとめ
著者プロフィール
加本 亘(かもと わたる)
弁護士・ニューヨーク州弁護士。
1991年私立駒場東邦高校卒業。
1996年東京大学法学部卒業。同年司法試験合格。
2000年弁護士登録(52期)。
2006年ニューヨーク州弁護士登録。
2005年ニューヨーク大学(NYU)国際租税修士課程(International Taxation LLM),
2006年ニューヨーク大学(NYU) 租税法修士課程(Taxation LLM) 修了。2000年-2006年Freshfields Bruckhaus
Deringer(法律事務所)勤務。2007年-2011年Allen&Overy(法律事務所)勤務。
2012年1月以降,日比谷中田法律事務所パートナー弁護士。
専門は,M&A,国際取引,保険,訴訟,税務。
著書
『弁護士のための租税法』(千倉書房,共著),
『国際課税の理論と実務73の重要課題』(本庄資編著,大蔵財務協会,寄稿)など。
IFA会員,2011年IFAパリ大会ブランチレポーター。