- 本の紹介
- 投資不動産に対する測定や財務報告の課題の検討の中で、いかなる財務報告を志向するのが合理的なのか、具象主義アプローチと機能主義アプローチの対比から考察。
目次
投資不動産の財務報告
目次
第1章 財務報告の意義とCRE戦略
第1節 情報の非対称性と財務報告の役割
第2節 企業の不動産戦略とIFRSの影響
第2章 意思決定有用性と財務報告モデル
第1節 財務報告に対する2つのアプローチ
1 財務報告に対する具象主義アプローチ
2 財務報告に対する機能主義アプローチ
3 有用な財務報告への実践的アプローチ
第2節 IASB「概念フレームワーク」の見直し
1 「概念フレームワーク」における測定原則
2 現在価値会計に対する視点
第3章■ 財務報告の質的特性と測定原則
第1節 財務報告の目的と基本的な質的特性
1 財務報告の利用者とニーズの特定
2 基本的な質的特性と測定との関係性
第2節 公正価値測定のアルゴリズムと不確実性
1 測定の属性と取引コストの取扱い
2 市場レベルと公正価値のヒエラルキー
3 公正価値測定の不確実性
第4章■ 原価モデルと公正価値モデルの選択
第1節 質的特性と単一測定属性モデルの適合度
第2節 「DP」の単一測定属性モデルに対する検討
第3節 原価修正モデルへの提案─「事業にとっての価値」
第4節 キャッシュ・フローの生成と最有効使用
1 資産の測定モデル選好の現状
2 キャッシュ・フローの生成単位
3 キャッシュ・フローの生成過程
4 非金融資産の最有効使用
第5章■ 投資不動産の保有目的と投資企業の分類
第1節 投資不動産会計基準設定の経緯
第2節 投資不動産の定義と識別
1 投資不動産の保有目的の識別
2 会計基準20号における識別
3 ビジネスモデルによる識別
4 キャッシュ・フロー生成過程による識別
第3節 会社型不動産ファンドの分類
第6章■ 投資不動産の事後測定モデルの選択
第1節 IAS40号の測定モデルの概要
1 当初測定の規定
2 事後測定の規定
第2節 3つの事後測定モデルの特性
1 公正価値─当期損益計上モデル
2 原価─減損計上モデル
3 再評価─積立金計上モデル
第3節 公正価値モデルの選択と価値関連性
第7章■ 公正価値の測定と国際評価基準
第1節 鑑定評価基準のグローバル化の現状
1 IVSの意義とIFRSとの関係
2 IVSCの活動目的と国際的な動向
3 財務報告における外部鑑定人の利用に関する調査
第2節 公正価値概念とIVSの価値概念
1 IVSフレームワークの価値概念
2 市場価値と会計上の公正価値
3 IVSの評価プロセスと財務報告
第3節 公正価値と鑑定評価の不確実性開示
1 公正価値レベル3と不確実性の開示
2 IVSにおける鑑定評価の不確実性
3 投資不動産の事後測定とDCF法
第8章■ 米国における投資不動産事業体の財務報告
第1節 不動産投資事業体に係るFASB基準の動向
1 FASB「ASU案」策定の意義
2 IPEの定義に基づく基準適用範囲の特定
3 トピック973とIAS40号の比較
第2節 トピック973に対するコメントレターの主張
1 コメントレターの意見集計
2 IPE判定規準に対する主な意見
第3節 米国における投資不動産会計の行方
1 「トピック973」に対する反応
2 提案された複数のアプローチ
第9章■ REITによる非GAAP財務情報の開示
第1節 米国におけるFFO開示の実践
1 上場REITの投資関連情報の現状
2 米国REITとFFO開示の展開史
3 FFO概念統一化の意義
第2節 NAREITのFFO開示モデル
1 「Ⅰ FFO/GAAP純利益の調整表」の開示
2 「Ⅱ 資本的支出の要約」の開示
3 「Ⅲ その他の情報」の開示
第3節 FFO算定上の調整と補足開示
1 減価償却及び償却の問題の考察
2 臨時・異常損益項目の調整1
3 FFOの関連事業単位の問題
4 不動産の売却損益の調整
5 修正FFOの意義
第4節 US-GAAPとIFRS下の非GAAP財務情報
1 米国におけるFFO開示の現状
2 GAAP純利益とFFOの価値関連性
3 IFRS下での非GAAP財務情報の開示
参考文献
索 引
著者プロフィール
近田 典行(ちかだ のりゆき)
埼玉大学経済学部教授(現在)。
明治大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得満期退学(平成元年3月),明海大学不動産学部専任講師,助教授,教授,ケンブリッジ大学土地経済学部客員研究員などを経て現職。
ASBJ工事契約委員会専門委員,日本不動産証券化協会導管性研究会委員,一般財団法人建設産業経理研究機構研究顧問,さいたま市財産評価委員などを務める。
主要著書
『クリエイティブ・アカウンティング─利益創作会計─』(共訳書,平成13年,東洋経済新報社),
『不動産アカウンティング』(単著,平成14年,中央経済社),
『国際財務会計論』(共著,平成17年,税務経理協会),
『工事契約会計』(共著,平成20年,清文社),
『会計学ベーシック』(編著,平成26年,中央経済社),
『現代会計の現状と展望』(共著,平成26年,白桃書房)などがある。