- 本の紹介
- 米国の制度・判例を参照しつつ、企業経営に影響の大きい金融資産課税の問題点を解説。また、近年、実務上の活用の点から注目される信託課税について最新の議論を展開する。
目次
金融資産・信託財産の課税と理論
目次
第1編 金融資産の課税と理論
第1章金融資産所得と所得概念
第1節 所得概念の伝統的学説
第2節 包括的所得概念の課税のあり方
第3節 消費型・支出型所得概念と資産所得課税
第4節 二元的所得税論
第5節 最適課税論
第6節 わが国の所得税制度
第2章 金融資産所得の分類と各種の所得・1
─利子所得,配当所得を中心に─
第1節 所得の分類
第2節 利子所得
第3節 配当所得
第3章 金融資産所得の分類と各種の所得・2
─有価証券の値上益(キャピタル・ゲイン)を中心に─
第1節 有価証券の譲渡所得
第2節 事業所得
第3節 雑所得
第4節 損益通算
第5節 わが国の裁判例の分析
第6節 アメリカ連邦所得税におけるキャピタル・ゲインと通常所得
第7節 わが国との比較
第4章 金融資産所得課税の一体化をめぐる問題
─利子所得を中心に─
第1節 「金融所得課税一体化」
第2節 一体化における課題
第3節 わが国の裁判例から示唆される所得の性質
第4節 所得区分をめぐるアメリカの裁判例からの示唆
第5節 有価証券の譲渡損益と優遇措置
第6節 預貯金の利子と譲渡損失との損益通算に係る問題
第7節 二元的所得税論と課税の一体化
第8節 最適課税論と課税の一体化
第5章デリバティブの課税 ─出国税制度導入と含み益課税─
第1節 有価証券と法人税法
第2節 デリバティブに関する基本的事項
第3節 デリバティブ取引とヘッジ取引
第4節 ブラック・ショールズ価格式
第5節 わが国のデリバティブ取引と課税
第6節 アメリカにおけるデリバティブの基礎事項
第7節 アメリカにおけるデリバティブ取引の課税上の取り扱い
第8節 検討すべきデリバティブ課税の方向
第6章 デット・エクイティ・スワップの課税
第1節 デット・エクイティ・スワップ(DES) に関連する基礎理論
第2節 「損益取引」と「資本等取引」
第3節 平成21年東京地裁判決の動向と意義
第4節 平成18年度税制改正
第5節 被現物出資債権の時価評価
第6節 アメリカにおける立法と判例の動向
第2編 信託財産の課税と理論
第1章個別的信託の課税
第1節 新信託法の概要
第2節 信託の効力発生時における課税規定
第3節 「 受益者等課税信託」と「受益者等が存しない信託」の課税
第4節 アメリカの信託と遺産税および贈与税
第2章 集団投資信託の課税
─法人段階での課税と課税繰延べとの関係を中心として─
第1節 平成19年度税制改正前
第2節 平成19年度税制改正の趣旨と概要
第3節 集団投資信託の概要
第4節 「合同運用信託」
第5節 「証券投資信託」
第6節 投資信託の複雑な分類
第7節 制度面による区分
─「会社型(法人型)」と「契約型(信託型)」─
第8節 法人課税信託 ─平成19年度税制改正で導入─
第9節 投資信託とアメリカ連邦所得税
第10節 RICとREIT
第11節 わが国とアメリカの投資信託税制の比較
第12節 検討「証券投資信託」と受託者(法人)段階の課税の可能
性
【補論】 有価証券の時価評価と課税
─企業会計が課税に与える影響─
第1節 評価損益の処理が財務諸表に与える影響と問題点
第2節 エドワーズ=ベル理論と実質的利益概念
第3節 現在価値(present value)
資料 1
資料 2
あとがき
事項索引
著者プロフィール
水野 惠子(みずの けいこ)
愛知県生まれ。
一橋大学大学院法学研究科博士後期課程修了,愛知学院大学法学部教授。博士(法学)。専攻は,租税法。
【著書】
『テキストブック租税法』(共著,中央経済社,2016年)
『日本の財政と租税法』(編著,学文社,2016年)