事例でわかる中国子会社の部門別リスク管理
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- 中国子会社の営業・製造・財務・人事総務の各部門におけるリスク要因とトラブル予防策を事例から洗い出し、経営リスク管理・内部統制における実務上の要点を解説。
目次
事例でわかる
中国子会社の部門別リスク管理
目次
はじめに
第1章 営業部門編
Prologue 巨大市場と企業群
§1 売買契約書
◦書面の契約は然るべき捺印が無いと無効
◦外国語の契約書も無効
§2 保税区と保税取引
◦保税区内外の複雑な取引パターン
◦間接比率(増値税)の高い企業の税負担
§3 与信と代理店管理
◦現金重視の商慣習
◦ある種の事後的な販売条件調整としての入金遅延 ……ほか
§4 売上計上と増値税発票の発行
◦売上計上の原則はリスクと所有権の移転
◦請求書でも領収書でも売上計上の根拠資料でもない増値税発票
……ほか
§5 販売リベートと価格設定
◦発票を伴う処理が難しい販売リベート
◦値引き幅の大きな中国の商慣習 ……ほか
§6 返品と紅字発票
◦紅字発票を伴う処理が難しい販売返品
◦販売返品については理由・事情とその認識・承認の記録が重要
§7 延滞債権管理と貸倒引当金計上
◦参考になる売上債権の回転率
◦新旧中国企業会計準則における貸倒引当金計上の要請
§8 入金と売掛債権31
◦差異の出やすい入金消し込み——権限設定が重要
◦外貨管理の関連規定にも留意が必要
§9 販売に関わる各種の経費
◦バックリベートの可能性がより高い領域に注意
◦経費清算の発票にも注意 ……ほか
§10 分公司・弁事処の営業活動
◦営業活動を行う拠点は分公司として登記・納税する
◦分公司の業務機能に応じた管理体制が必要 ……ほか
コラム1 不親切な中国人と,さまざまな格差について
コラム2 今どきの中国人の気質と,教育事情
第2章 製造部門編
Prologue 中国展開の切り札は現地生産にあり
§1 相見積りとローテーション
◦バックリベート対策の基本はしっかりとした相見積り
◦代わりのいない人材——不正と事業継続のリスク
§2 発注と発注依頼
◦購買内容の承認は購買プロセスの内部統制の基本
◦購買依頼手続きの導入・徹底は各方面に有効
§3 仕入計上と増値税発票の受領
◦仕入時に暫定買掛金,増値税発票入手時に買掛金を計上すること
が適切
◦発票に引きずられがちな過少納入・仕入返品
§4 在庫の現物管理と実地棚卸
◦入出庫を管理していないと無くなってもわからない
◦実地棚卸をしっかりと行うこと——対象とタイミング ……ほか
§5 在庫の破棄・評価・数量調整
◦税務上の費用にならない在庫の破棄損失や評価損失も会計上は
しっかり計上
◦入出庫・破棄・数量調整の正確な入力・ダブルチェックが差異を防ぐ
§6 請求書(発票)照合と支払
◦請求書照合の基本は中国でも同様
◦債務の修正に係る権限設定が重要 ……ほか
§7 原価計算と工場設計
◦手作業・属人化しやすい原価管理
◦胸を張って見せられる工場を作ろう
§8 製造技術と合弁生産について
◦尊重されない知的所有権
◦模倣品の発生リスクは利益率と模倣難易度による ……ほか
§9 中国における環境対応と報道について
◦意外と進んでいる環境意識
◦一方で報道の歪みや検閲も ……ほか
コラム3 中国の地方性について(1):北方/北京と南方/上海
コラム4 中国の地方性について(2):台湾と香港
第3章 管理部門編①─財務会計
Prologue 中国現地法人を取り巻く経営環境
§1 財務部門の職務分掌と会計従事者資格
◦財務部門の職務分掌
◦会計従事者資格と企業内会計師資格
§2 中国の新旧企業会計準則と会計に関する法規制
◦勘定科目も法律の下で定められている
◦財務諸表作成機能のデータ設定を正しく行う ……ほか
§3 中国新企業会計準則と国際財務報告基準(IFRS)への対応に
ついて
◦IFRSへの統合の動き
◦中国準則からIFRSへの組み替えはずっと必要 ……ほか
§4 税務に影響された会計と「発票基準」
◦月次決算が必須
◦税務上否認される費用も会計上はしっかり計上する
§5 中国の財務会計システム
◦中国における財務会計システムに対する要件
◦外国の会計システムの使用に関する当局への申請 ……ほか
§6 多重帳簿と簿外債務
◦信頼できる財務諸表監査が有効
◦グループレベルの全社的内部統制が重要
■補論■中国の内部統制報告制度(中国版SOX)について
第4章 管理部門編②─人事総務
Prologue 企業は人なり
§1 駐在員の選考と駐在後のメンタリティ
◦中国語と日本語の両方を操れる人材がキーパーソンとなる
◦コミュニケーションギャップが問題発生につながるリスク
§2 権限と責任の集中について
◦良くも悪くもリーダーシップの強い中国式経営スタイル
§3 駐在員に関するさまざまな留意事項
◦居住登記と在留届
◦居留許可証・ビザとパスポート ……ほか
§4 現地従業員の採用とメンタリティ
◦採用に際して然るべきチェック・手続きを行う
◦人材確保の要点は,キャリアプランが描けるかどうか
§5 共産党員と内部通報制度と工会
◦若くして勧誘された共産党員は有望人材
◦内部通報制度は不正の早期発見に有効 ……ほか
§6 労働契約書と就業規則
◦労働契約法の施行
◦就業規則は民主的な手続きで定められ公知・通知されることが
必要 ……ほか
§7 人事給与の職務分掌と給与・賞与・手当ての計算・支払
◦人事給与領域の職務分掌:人事管理・給与計算・勤怠管理
◦手厚い法定残業代
§8 年金と退職補償金引当
◦会社負担の重い公的年金の積立金
◦退職補償金に関する会計の導入
§9 危機管理マニュアル・事業継続計画
◦危機管理や事業継続について検討しておくことはマネジメントの
責任
コラム5 中国の言語について
コラム6 日本語と上海語のルーツについて
著者プロフィール
原 国太郎(はら くにたろう)
米国公認会計士,公認情報システム監査人,公認内部監査人デロイト・トウシュ・トーマツ上海事務所 エンタープライズリスクサービス勤務。
京都大学経済学部卒。
大手ビジネスコンサルティング会社にて石油,電子機器,半導体企業等のサプライチェーン構築・ERP導入プロジェクトに参画後,監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)に入社。
大手商社の業務再構築プロジェクトにおける内部統制
コンサルティングを経て,米国企業改革法(SOX法)適用初年度の2004年には計10社の外資系企業について,SOX法対応を支援または内部統制を監査。
2005年より輸送機器メーカーの内部統制報告制度(日本版SOX)対応プロジェクトにトーマツチームのリーダーとして参画。
2007年3月よりデロイト・トウシュ・トーマツ上海事務所に出向中。
著書:
「内部統制で現場の仕事はこう変わる」(ダイヤモンド社),
「中美日企業内部統制実務」(復旦大学出版社)