- 本の紹介
- 会計原則、現在価値会計、会計基準設定主体、簿記、監査さらには法人税といった広範な分野を対象に、歴史から最新の動向まで考察。気鋭の研究者陣による深遠なる研究成果集。
目次
会計学論考
歴史と最近の動向
目次
はしがき
第1章 「資本と利益の区別」起源考
1 序―資本と利益の区別の主旨に関するある論争
2 「企業会計原則」一般原則三の立場
―払込資本と留保利益の区別
3 簿記上の「損益取引」 ―期間損益計算の次元
4 経済学上の資本と利益―実質的に簿記上のそれらと同じ
5 組合(人的会社)における資本の区分経理
―払込資本と留保利益の先駆的区分
6 株式会社における資本維持の理念―払込資本と留保利益の区別
7 財務会計における資本と利益の区別の原則―二つの次元
8 結 び
第2章 イギリスにおける固定資産時価評価の導入
─実務,会社法,会計基準の相互作用─
1 はじめに
2 実務の多様性とレッセフェール主義
3 レッセフェール主義の残渣とICAEWの姿勢転換
4 会計スキャンダルと会計基準設定主体の設立そして
クリエイティブ・アカウンティング
5 会社法と会計基準の共同作業
6 おわりに
第3章 会計主体論の再構築
1 はじめに
2 学説と実質的会計主体
3 学説の概念的比較
4 学説と株式会社の変遷
5 おわりに
第4章 財務報告の展開と簿記・会計の揺らぎ
1 はじめに
2 払込資本と留保利益の区別
3 利益概念の揺らぎ
4 簿記の揺らぎ
5 結びにかえて
第5章 残余利益モデルを通じた会計情報と企業評価の関係
1 財務会計における「財務」
2 会計情報と企業価値
3 企業評価と赤字
4 財務と会計のリンケージ
第6章 現在価値会計の変遷と展望
1 はじめに
2 現在価値法の三つの原形
3 現在価値法の非金融投資への適用
4 会計的配分に関する初期的議論
5 概念ステートメントと会計的配分
6 直接的測定重視への転換
7 公正価値会計と現在価値
8 結び ―現在価値会計の展望
第7章 不完全な検証可能性の下での監査人の利用価値
1 問題意識
2 検証可能性とその不完全性
3 ベンチマーク・モデル
4 監査人報告とその性質についての諸仮定
5 分析結果とその検討
付録A 命題1の証明
付録B タイプが対称情報の場合と非対称情報の場合の比較
付録C 命題3の証明
第8章 監査人の外見的独立性に対する影響要因
1 はじめに
2 監査人の外見的独立性の意義
3 外見的独立性分析のためのフレームワーク
4 既存研究の検討
5 まとめと課題
第9章 組織形態と所得課税
―法人課税と構成員課税との峻別基準―
1 問題の所在
2 組織形態の多様化と税制
3 法人課税と構成員課税とを区分するメルクマール
4 結びにかえて
第10章 「払込資本と留保利益の区別」と出資者・
経営者の利害調整
1 序
2 「払込資本と留保利益の区別」と財産分配をめぐる出資者のため
の利害調整
3 商法と財産分配をめぐる出資者のための利害調整
4 会計原則・基準と財産分配をめぐる出資者のための利害調整
5 「払込資本と留保利益の区別」の意義に関する先行研究とここまで
の検討結果の独自性
6 払込資本と財産分配をめぐる出資者・経営者のための利害調整
7 留保利益と財産分配をめぐる出資者・経営者のための利害調整
8 「払込資本と留保利益の区別」に関わる最近の動向と本章の見方
第11章 アメリカ会計史における固定資産再評価論の意義
―20世紀初頭における時価評価概念と貸借対照表に
ついて―
1 序―資産評価概念に対する一般的見解への疑問
2 W. A. Patonにおける固定資産評価論
─取替原価評価と時価償却の問題点─
3 Patonにおける資産再評価益の性質と配当可能利益との関係
―配当不能
4 価格水準の変動と貸借対照表における役割の変化
5 結び―時価評価論と貸借対照表との関係
第12章 商法講習所のもう一つの簿記教科書
1 はじめに
2 『商用簿記法初歩』について
3 商法講習所のカリキュラムと『商用簿記法初歩』
4 『商用簿記法初歩』の影響について
5 おわりに
著者プロフィール
〈編著者紹介〉
安藤 英義(あんどう ひでよし)
1967年3月 一橋大学商学部卒業
1969年3月 一橋大学法学部卒業
1974年3月 一橋大学大学院商学研究科博士課程単位修得
4月 一橋大学専任講師(商学部)
1978年4月 一橋大学助教授(商学部)
1985年4月 一橋大学教授(商学部),商学博士(一橋大学)
2000年4月 一橋大学大学院教授(商学研究科)(組織変更による配
置換え)
2003年9月 日本会計研究学会会長(2006年9月まで)
2007年1月 企業会計審議会会長(現在に至る)
3月 一橋大学定年退職
4月 専修大学教授(商学部),一橋大学名誉教授
主要著書
『商法会計制度論−商法会計制度の系統的及び歴史的研究−』国元書房,1985年。
同新版,白桃書房,1997年。
『会計学研究』(新田忠誓氏と共編著) 中央経済社,1993年。
『会計フレームワークと会計基準』(編著) 中央経済社,1996年。
『簿記会計の研究』中央経済社,2001年。