- 本の紹介
- 今日の会計学を築いた世界各国17人のパイオニアたちの業績・学説を検討。会計学説を俯瞰するだけでなく、現代の理論・実務問題を考えるうえで新たな視点を提供する。
目次
世界の会計学者
■17人の学説入門
目次
日本語版への序文
序 会計学史の要素
第1章 ルカ・パチョーリ―世界で初めて印刷された会計書―
1.『スンマ』の執筆と印刷術
2.パチョーリの晩年
3.『スンマ』の分析
第2章 ジャック・サヴァリーとマチュー・ド・ラ・ポルト
―フランスの大世紀を代表する簿記の大家―
1.ジャック・サヴァリー
1.1. 完全な商人,専門家のハンドブック
1.2. 評価についての問題
2.マチュー・ド・ラ・ポルト
2.1. 科学としての指針
2.2. 3つの勘定分類
2.3. 一般勘定と特殊勘定
2.4. ラ・ポルトと彼の後継者たち
3.結 論
第3章 エドモンド・デグランジュ父子―複式簿記の普及―
1.簿記の普及
2.デグランジュ(父)の専門的キャリア
3.限定的な理論的貢献
3.1. 5つの一般勘定とその機能
3.2. 仕訳帳―元帳
4.成功の理由
第4章 レオティ&ギルボー―数的アプローチの試み―
1.レオティ&ギルボー:経験豊富な注目に値する2人
1.1. レオティ:指導的会計の大家
1.2. ギルボー:教養のある経営者
2.会計数式化の傾向:勘定の科学に向けて
2.1. 数学の1分野としての会計学
2.2. レオティ&ギルボーの数学化の限界
3.厳格な教育方法
3.1. 定義の重要性
4.新しい言語の創造と新しい要具
4.1. 一覧表と分類の登場
4.2. 計算書のモデルの提示
5.結論
第5章 シモン,シュマーレンバッハ,シュミット
―ドイツ会計界の3S―
1.3人の略歴
1.1. シモン
1.2. シュマーレンバッハ
1.3. シュミット
2.3人の著者の理論上および学説上の業績:共通点
2.1. ドイツの静的法学者および立法者に対する3Sの戦い
2.2. 会計学の新しい基礎
3.シモンの慎重な現在価値理論
3.1. シモンの評価原則「価値は1つの見方である」
3.2. シモンの現在価値のもとでの評価基準
4.シュマーレンバッハの取得原価にもとづく動的理論
4.1. シュマーレンバッハの評価原則:取得原価の優位性
4.2. シュマーレンバッハの評価基準:動的理論の活用に向けて
4.3. シュマーレンバッハの動的貸借対照表の源流:原価計算
5.シュミットの取替価格にもとづく動的理論
5.1. シュミットの評価原則:取替価格の優位性
5.2. シュミットの評価基準:動的理論の活用
5.3. シュミットの他の業績
6.結論
第6章 ジャン・デュマルシェ
―貸借対照表理論と価値理論への貢献―
1.貸借対照表に焦点を当てた理論的業績
1.1. 貸借対照表と基礎的等式
1.2. 貸借対照表の概念の定義と表示ロジック
1.3. 貸借対照表項目の評価:固定資産と在庫の場合
2.デュマルシェの業績に対する会計諸理論の影響
2.1. 数的理論の影響:貸借対照表等式
2.2. 財産理論の影響:貸借対照表の優位性
2.3. 経済理論の影響
3.20世紀における影響と会計関心事
3.1. デュマルシェが20世紀の学問的考察および会計学に与えた
影響
3.2. 現代の議論からみたデュマルシェの考察
4.結論
第7章 テォドール・リムペルグ―取替価値の提唱―
1.会計職に根付いた大学人
2.「企業の経済」としての会計学
3.価値の理論と利益の理論
4.監査の新概念
5.結論
第8章 ジノ・ザッパ―財務会計における制度主義者―
1.ザッパとアメリカの制度学派
2.経済活動の表示
3.合理的価値
4.結論:会計研究におけるザッパの貢献
第9章 ペイトン&リトルトン
―帰納学派と演繹学派による会計基準化の試み
1.リトルトン:影響力ある大学人と尊敬に値する著者
2.ペイトン:思考力豊かな著者と注目に値する理論家
3.リトルトン:帰納学派の理論家
3.1. 帰納学派の理論家たち
3.2. 実務の合理化としての理論
3.3. 帰納的方法の限界
4.ペイトン:演繹学派の理論家
4.1. 演繹学派の理論家たち
4.2. ペイトンの重要な貢献
5.帰納的アプローチと演繹的アプローチから生まれた会計基準
6.結論
第10章 黒澤 清
1.社会科学としての会計学
1.1. 企業の経営経済活動にもとづく会計学
1.2. 計算的思考方法についての史的考察
2.会計学,経済学,集団の利害
2.1. 会計と国家による干渉〜クラークの影響
2.2. 会計と公正な価格決定〜スコットの影響
2.3. マクロ経済政策の要具としての会計〜シュルーターの影響
2.4. 企業会計と社会会計との対立
2.5. 新たな会計システム〜企業会計と社会会計との統合
3.戦後:アメリカの影響
3.1. 会計システム構築における論争と妥協
3.2. 会計基準化と会計《コンヴェンション》
4.結論
第11章 デヴィッド・ソロモンズ
―会計の評価理論から会計理論へ―
1.会計の測定と評価についての理論的考察
1.1. 管理会計と財務会計:原価の測定から資産価値の測定へ
1.2. 会計モデルに注力した研究
1.3. 研究の基礎:LSEの伝統に結びついた経済学的論拠
2.会計基準設定プロセス
2.1. 会計基準設定者としての貢献
2.2. 会計基準の「中立性」
3.結論
第12章 レイモンド・ジョン・チェンバース
―常に現実的な会計のために―
1.新しい研究方法の方法論的主唱者
1.1. 理論的実務に対する反感と規範的研究への賛同
1.2. チェンバースの方法論的貢献の影響
1.3. 会計の実証理論に直面するチェンバース
2.『現代会計学原理―思想と行動における会計の役割』の著者
2.1. 意思決定に役立つ要具としての会計
2.2. 常に現在的な会計について
3.結論:研究者か,思想家か
第13章 リチャード・マテシッチ―応用科学としての会計学―
1.会計学の基礎的研究
1.1. 会計学のための公理的枠組を求めて
1.2. 計算,会計,入と出の原則
2.会計表示に係る問題提起
2.1. 哲学的志向と現実の表示
2.2. 測定の問題
3.条件付規範的会計理論
3.1. 伝統的アプローチから近代的分析アプローチへの過渡期
3.2. パラダイム,「理論網」と研究の伝統
4.結論
第14章 ジェラルド・フェルサム―経済的観点からの会計情報―
1.情報システムの選択における情報価値
2.契約における会計情報の価値
3.市場における会計情報の価値
4.株価決定のための会計情報の価値
5.結論
第15章 アンソニー・ホープウッド―行動科学としての会計学―
1.社会的選択肢としての研究
1.1. 研究プログラム:組織と社会における会計
1.2. いくつかの研究の流れの起源:機関・政策・民俗学・組織
2.ヨーロッパでの学会の構築:アメリカの支配に対する反発
3.結論
第16章 ワッツ&ジンマーマン―実証会計学の父―
1.会計の実証理論:決別
1.1. 有利な制度的環境
1.2. 契約アプローチの基盤
2.実証理論の仮定と成果
2.1. 標準的な仮定
2.2. 実証研究
2.3. 批判と超越
3.結論
第17章 トニー・ティンカー―急進的会計学者―
1.伝統的会計学の理論的な視野の狭さ
1.1. 会計思考の限界効用理論への隷属の結果
1.2. 新古典的理論に対する攻撃
1.3. 会計の実証理論について
2.会計の社会的視点:「否定の否定」
2.1. ソロモンズの問題提起
2.2. ティンカーによる哲学的現実主義の批判
3.批判的視点での結論
訳者あとがき
著者プロフィール
<訳者紹介>
藤田晶子(ふじた あきこ)
1990年3月神戸商科大学大学院博士課程単位取得退学
佐賀大学助教授(〜1999年3月)を経て,
現在,明治学院大学教授
[主要業績]
「無形資産会計の論点」『會計』Vol.172,No.9,2007年
「無形資産に係る情報とそのレリバンス」『JICPAジャーナル』Vol.17,No.11,2005年
「フランス版概念フレームワークの教訓」『旬刊商事法務』第1465号,1997年
『連結会計入門(第5版)』(共著)中央経済社,2007年
『プラン・コンタブルの国際比較』(共著)中央経済社,2005年
『コンメンタール国際会計基準 』(共著)税務経理協会,1999年,ほか