レピュテーション・マネジメント―内部統制・管理会計・監査による評判の管理
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- 多くの企業が不祥事により会社の評判を落とし、企業価値を減少させあるいは倒産に至ってきた。企業不祥事を防止し、評判を管理し、好業績に結びつける方法をケースにより検討した話題作。
目次
レピュテーション・マネジメント
目次
はしがき
序 章
? 日本経済の再生によって失われたもの
? トリプル・ボトムラインとコーポレート・レピュテーション
? 本書の構成
第1部 レピュテーション・マネジメントの役割と課題
第1章 管理会計におけるコーポレート・レピュテーションの課題
? 環境の変化と管理会計研究の変遷
1 工業経済社会の管理会計
2 ポスト工業化社会における管理会計への役割期待
? インタンジブルズの研究の必要性とその研究領域
1 無形資産とインタンジブルズ
2 インタンジブルズの研究テーマ
? コーポレート・レピュテーションの論点整理
? まとめ
第2章 管理会計における無形の資産のマネジメント
? なぜ無形の資産のマネジメントが必要か
1 無形の資産とは何か
2 インタンジブルズが企業価値の多くを創造する社会の出現
? 管理会計にとってどの無形の資産の分類基準が重要か
1 無形の資産を知的資産とイコールの関係でみる見解
2 無形の資産をインタンジブルズと解する見解
? 人的資産,情報資産,組織資産のマネジメント
? コーポレート・レピュテーションの資産性
1 コーポレート・レピュテーションはオンバランスされるか
2 コーポレート・レピュテーションには将来の経済的便益がある
3 財務会計上で資産として認めることができるか? ……ほか
? レピュテーション・マネジメント
1 コーポレート・レピュテーションの特質
2 日本の経営者はレピュテーションをマネジメントできると
みているか
3 コーポレート・レピュテーションのマネジメント
? まとめ
第3章 レピュテーション・マネジメントによる競争優位の確保
? なぜレピュテーション・マネジメントが重要か
1 インタンジブルズの役割の増大
2 コーポレート・レピュテーションの向上は財務業績を高める
3 反社会的な行為を許さない社会 ……ほか
? レピュテーション・マネジメントの便益
1 コーポレート・レピュテーション概念の歴史的考察
2 コーポレート・レピュテーションを資産として管理することの意義
3 レピュテーション・マネジメントの9つの効果 ……ほか
? イメージ,ブランドのマネジメントとの違い
1 コーポレート・イメージのマネジメント
2 ブランドは管理会計の研究対象になりうるか
3 コーポレート・レピュテーションのマネジメント−ブランドとの
対比において ……ほか
? レピュテーションリスク・マネジメントとキャッシュフロー
1 リスクマネジメントの意義
2 レピュテーションリスクの領域
3 レピュテーションによるキャッシュフロー・マネジメント
? まとめ
第4章 レピュテーション・マネジメントによる企業価値の増大
? コーポレート・レピュテーションの本質的特徴
―口コミ,イメージ,ブランドとの相違点―
1 レピュテーション資産が企業を救う
2 レピュテーションとイメージ,ブランドとの関係
3 なぜコーポレート・レピュテーションのマネジメントか
? コーポレート・レピュテーションのマネジメント
1 企業価値とは何か
2 コーポレート・レピュテーションの構造
3 レピュテーション・マネジメント向上のためには何が必要か
? CSRはコーポレート・レピュテーションの向上に貢献するか
1 CSRとは何か
2 CSRとコーポレート・レピュテーションとはどこが違うか
3 CSRに対する3つのアプローチ ……ほか
? コーポレート・レピュテーション指標
1 なぜ,どのレピュテーション指標か
2 Fortune誌の“最も称賛される企業”
3 The Wall Street Journal紙の“RQsm調査” ……ほか
? コーポレート・レピュテーションによる企業価値の測定
1 ケースでみるコーポレート・レピュテーションの向上と企業価値
2 実証研究の結果−コーポレート・レピュテーションと企業価値
? コーポレート・レピュテーションの毀損による企業価値の減少
1 負のコーポレート・レピュテーションと無形負債
2 コーポレート・レピュテーション毀損のケース・スタディ
? まとめ
第5章 レピュテーション・マネジメントの方法
? レピュテーション監査の意義と有効性
1 レピュテーション監査とは何か
2 レピュテーション監査の方法
3 レピュテーション監査ではレピュテーション指数を活用する
……ほか
? レピュテーション・マネジメントに関する諸見解
1 レピュテーション・マネジメントの10原則
2 日本企業が最も犯しやすいコンプライアンス上の問題点
3 オールソップのアプローチ
? レピュテーション・マネジメントの担当組織
1 コーポレート・レピュテーションは企業内部の問題である
2 レピュテーション・マネジメントは誰が行なうのか
3 レピュテーション担当役員設置の提案
? ロイヤル・ダッチ/シェル社のレピュテーション・マネジメント
1 シェルはなぜレピュテーション・マネジメントを実施したのか
2 ベンチマーキングから得られたもの
3 “世界で最も称賛される企業“になること ……ほか
? まとめ
第2部 会計手法によるレピュテーション・マネジメント
第6章 内部統制とコーポレート・レピュテーション
―内部統制の概念の変貌と内部監査―
? 伝統的な内部統制と“近代内部監査”の概念
1 内部統制の代表的見解
2 内部監査の対象は会計監査,業務監査,経営監査
3 経営監査とは何か
? 新しい時代の内部統制は何が変わったか
1 COSOの内部統制概念
2 SOX法のインパクト
3 財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準 ……ほか
? 監査役に求められるコーポレート・ガバナンスの役割
1 株式会社におけるコーポレート・ガバナンス体制
2 内部監査人の役割と限界
3 監査役の役割の高まりと会計監査人の選任
? 新しい意味での内部統制とコーポレート・レピュテーション
1 コーポレート・レピュテーションはマネジメントできる
2 コーポレート・レピュテーションを低下させない方策
3 公益通報制度によるコーポレート・レピュテーションの向上
……ほか
? まとめ
第7章 ERMのコーポレート・レピュテーションへの貢献
―ERMと内部統制との統合は企業価値を高めるか―
? 伝統的なリスクマネジメントとERM
1 伝統的なリスクマネジメント
2 ERMとは何か
3 伝統的なリスクマネジメントとERMの相違
? 内部統制にとってのERMの有効性
1 ERMの本質的特徴
2 内部統制におけるERMの3つの見解
? 内部統制におけるCOSOのリスクアプローチの妥当性
1 内部統制や監査の立場からするリスクアプローチ
2 なぜCOSOはリスクを損失発生の“危険”に限定したのか
? ERMとコーポレート・レピュテーション
1 レピュテーションリスク・マネジメントの貢献
2 レピュテーションリスク・マネジメントの領域
? ERMにもとづく内部統制による企業価値の創造
1 ERMは株主価値の向上に貢献するか
2 日本企業にとって必要なのは株主価値か,
それとも企業価値か
? まとめ
第8章 IT内部統制とレピュテーション・マネジメント
? コーポレート・ガバナンスとITガバナンス
1 ITガバナンスがなぜ求められるか
2 ITガバナンスとは何か, CIOの役割は何か
? ITガバナンスのためのCobiT
1 CobiTのガイドラインとIT統制システム
2 CobiTのフレームワーク
3 IT内部統制の構成要素
? COSOの構成要素とCobiTのIT投資ガイドライン
1 CobiTの役割
2 CobiTのITプロセス
? CobiTの枠組みとプロセス成果の測定
1 プロセス成果の測定―KGI,KPI,CSF―
2 成熟度モデル
3 情報ニーズ
? ITによるレピュテーション・マネジメント
1 IT内部統制とCobiT
2 コーポレート・レピュテーションの向上に果たすCIOの役割
3 レピュテーション・マネジメントの要は日々の経営活動にあり
? まとめ
第9章 バランスト・スコアカードを用いた内部監査部門の評価
? 内部監査部門へのバランスト・スコアカード適用の可能性
1 内部監査とは何か,また内部統制との関係は?
2 内部統制へのバランスト・スコアカードの適用
? 内部監査部門における4つの視点
1 バランスト・スコアカードの4つの視点
2 財務の視点をもつべきか
3 顧客の視点はマネジメントが主体 ……ほか
? 戦略マップ
1 戦略マップのテンプレート
2 因果関係の連鎖と内部監査のバランスト・スコアカードの特徴
? 業績評価とCFS, KPIの活用
1 業績評価指標と視点との関係
2 内部監査部門の戦略テーマ
? 内部監査はコーポレート・レピュテーションの向上に貢献するか
1 内部監査とコーポレート・レピュテーション
2 内部統制,内部監査とリスクマネジメント
? まとめ
第10章 バランスト・スコアカードによるレピュテーション・マネジメント
? バランスト・スコアカードのレピュテーション・マネジメントへの
活用
1 ビジョンや戦略の妥当性の検証
2 業績評価指標による経営者と従業員の行為の管理
3 ステークホルダーによる評価 ……ほか
? レピュテーション・マネジメントのための指標の有効性
1 “最も称賛される企業”と“RQsmスコア”の指標
2 実証研究の結果からみたレピュテーションの源泉
3 “RQsmスコア”とバランスト・スコアカードの親和性
? レピュテーション・マネジメントのための4つの視点と指標
1 コーポレート・レピュテーションのための4つの視点
2 4つの視点における指標
? コーポレート・レピュテーションと企業価値の増大
1 経済価値,社会価値,組織価値
2 経済価値,社会価値,組織価値と企業価値との関係
3 戦略マップの作成
? レピュテーション・マネジメントのための管理モデル
1 指標の数と項目
2 評価モデル
? まとめ
第3部 ケース・スタディ
第11章 カネボウの粉飾決算とエンロン事件から学ぶもの
―旧中央青山とアンダーセンとの対比を含めて―
? カネボウ事件の概要
1 カネボウ事件とは何か
2 不正な会計処理の方法
3 粉飾はなぜ行なわれたか
? 旧中央青山監査法人の公訴内容とその原因
1 会計監査人はなぜ不正行為を見過ごしたか
2 公認会計士と倫理観
? エンロン事件,アーサーアンダーセン事件との対比
1 エンロン事件とは何か
2 アーサーアンダーセンの関与
? “不正のトライアングル”による犯罪性の検証
1 不正の発生原因
2 経営幹部のトライアングル
3 会計監査人のトライアングル
? 企業と監査法人で同じ誤りを犯さないための施策
1 企業改革法
2 監査法人での改革の方向
3 監査法人のあり方
? まとめ
第12章 松下のCSR活動とコーポレート・レピュテーション
― FF式石油温風機事故との関係で―
? FF式石油温風機事故とは何か
1 事故の概要
2 松下の対応
3 B to C企業でのレピュテーションの財務業績への影響
? 現在の株価と財務業績など経済価値への影響
1 経済価値とは何か
2 経済価値の測定
? 松下の大改革が業績へのダメージの少ない真の理由であるか
1 組織改革
2 生産システムの改革
3 業績評価システム ……ほか
? PRがダメージ軽減の真の理由であるといえるか
1 具体的な対策
2 対策の効果
? CSRの取り組みとコーポレート・レピュテーションの向上
1 松下のCSRとは何か
2 再発防止の最善の方策
3 社会価値や組織価値の向上効果
? まとめ
第13章 島津製作所におけるノーベル賞受賞の企業価値への貢献
? 会社概要と研究方法
1 島津製作所の概要と研究目的
2 研究方法
? ヒアリング内容とその分析
1 島津製作所における会社の評価,信頼を高めるための方策
2 田中耕一氏のノーベル賞の受賞と企業価値のインパクト
3 公的組織と企業における信頼マネジメントとの相違
? 島津製作所の田中耕一氏によるノーベル賞の受賞の
企業価値への貢献
1 2003年3月の業績回復へのインパクト
2 田中耕一氏受賞の経済価値への貢献
3 社会価値と組織価値への貢献
? まとめ
資料:社是・経営理念・行動原則
第14章 YKKの世界戦略とレピュテーション・マネジメント
? YKKはニッチ産業で活躍するグローバル企業
1 YKKの現状
2 YKKの生産プロセスの特徴
3 海外事業の展開
? YKKの企業価値はコーポレート・バリュー
1 創業者,吉田忠雄氏の「善の巡環」
2 コーポレート・バリューとは何か
3 新しい企業価値を求めて
? 過去・現在・将来のコアバリュー,「品質」
1 スライダー,エレメント,テープ
2 顧客優先主義と品質の維持
3 中国との競争と共生
? 発祥の地,黒部が技術の総本山
1 地方での技術開発,生産は社会貢献でもある
2 黒部は技術の総本山
? 非上場とコーポレート・ガバナンス
1 ムーディーズの格付け
2 社員持ち株制度
3 非上場のメリット ……ほか
? まとめ
第15章 トヨタはなぜコーポレート・レピュテーションが高いのか
? トヨタは世界を代表する超優良企業
1 トヨタの財務業績と世界シェア
2 トヨタはグローカルな企業である
? 一貫した価値観
1 創業の理念
2 トヨタの基本理念
3 従業員,サプライヤー,顧客を大切にする
? 管理会計における革新―原価企画
1 原価企画とは何か
2 伝統的な管理会計手法―標準原価計算―との違い
3 原価企画のメカニズム ……ほか
? 徹底したコスト低減と高品質,技術へのこだわり
1 トヨタの圧倒的な高品質
2 トヨタ・プロダクションシステムとリーンマネジメント
3 ジャストインタイム(カンバン方式) ……ほか
? 典型的な日本企業とは異なるトヨタの特徴
1 独自の経営手法を創発
2 ビジョンや戦略に従った品質向上と原価低減活動
3 常に現状に満足せず,日々反省して努力する経営姿勢
? 結語
結 章
? レピュテーション・マネジメントの役割と課題
? 会計手法によるレピュテーション・マネジメント
? ケース・スタディから導かれるコーポレート・レピュテーションの
特徴
1 ケース・スタディ
2 高いコーポレート・レピュテーションの会社に共通する特徴
? まとめ−結びに代えて
索 引
著者プロフィール
櫻井 通晴(さくらい みちはる)
現職:城西国際大学客員教授(専任),専修大学名誉教授。
商学博士。
?SRA監査役,(独)独情報処理推進機構監事,総務省政策評価・評価委員会臨時委員等。
略歴:早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了,ハーバード大学ビジネススクール・フルブライト上級客員研究員。
ロンドン大学大学院(LSE)客員教授,放送大学客員教授,早稲田大学商学研究科・アジア太平洋研究科客員教授,公認会計士第二次試験・第三次試験委員,産業構造審議会委員,電気事業審議会委員,日本原価計算研究学会会長,日本学術振興会専門研究員,NTTオートリース取締役,NTTドコモ監査役,東京医科大学監事等を歴任。
主要著書:
『バランスト・スコアカード 改訂版』(同文舘,08),
『企業価値創造の管理会計』(編著・同文舘,07),
『ソフトウエア管理会計 第2版』(白桃書房,06),
『コーポレート・レピュテーション』(中央経済社,05),
『管理会計 第3版』(同文舘,04),
『バランスト・スコアカード』(同文舘,03),
『企業価値創造のためのABC,バランスト・スコアカード』(編著;同文舘,02),
『ソフトウエア管理会計』(同文舘,01),
『管理会計辞典』(編者;同文舘,00),
『新版 間接費の管理』(中央経済社,1998)等(年1冊のみ掲載)。