組織を創るマネジメント・コントロール
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- 管理会計と密接に重なり合っていたマネジメント・コントロールが、企業を取り巻く環境の変化や、経営問題が高度化するにつれ、どのように変容してきたのかを考察する。
目次
組織を創るマネジメント・コントロール
目次
序章 組織を創るマネジメント・コントロール
1.アイデンティティークライシスと自分探し
2.管理会計≒マネジメント・コントロールの蜜月時代
3.マネジメント・コントロールの変容
4.パッケージとしてのマネジメント・コントロール
(1) コントロール・パッケージという考えかた
(2) パッケージ・アプローチの先行研究①:廣本(2009)の研究 …他
5.企業境界の超越
6.顧客との関係の変化
7.組織を「創る」マネジメント・コントロール
8.本書の採用する方法論と実証研究への貢献可能性
第1章 マネジメント・コントロール概念の確立
1.人事を尽くした他力本願(Doing things throughothers)
2.マネジメント・コントロール概念の確立の背景
(1) 事業部制組織の普及にともなう分権化の進展
(2) 情報処理の区分け …他
3.Anthony(1965)におけるマネジメント・コントロール概念の特徴
4.Anthony(1965)におけるマネジメント・コントロール概念の意義
第2章 マネジメント・コントロール概念の拡張の方向性
1.マネジメント・コントロール概念の拡張
2.コントロール・パッケージの認識:会計中心主義との決別
3.マネジメント・コントロール概念の拡張をもたらした高次学習
(1) 国際競争力回復のための取り組み
(2) 組織学習論の3つの系統:2つの経営課題
4.コントロール手段の多様化の認識
(1) 3つのコントロール手段:Merchant(1982)の見解
(2) コントロール手段の選択方法 …他
5.マネジメント・コントロール概念の拡張
6.結 び
第3章 戦略創発のためのマネジメント・コントロールの検討
1.問題の所在
2.Simons(1995)による戦略創発のモデル
3.Burgelmanによる戦略形成プロセスのモデル
(1) Burgelmanモデルの構造
(2) 戦略創発と組織階層との関係 …他
4.結 び
第4章 業務ルーティン改善のためのマネジメント・コントロール
1.問題の所在
2.イネーブリング・コントロールとは
(1) 強制的コントロールとイネーブリング・コントロール
(2) イネーブリング・コントロールの4つの特性
3.イネーブリング・コントロールの研究例
(1) Ahrens & Chapman(2004)
(2) Wouters & Wilderom(2008)およびWouters(2009) …他
4.イネーブリング・コントロールとインターラクティブ・コントロール
(1) 両者の類似点
(2) 両者の相違点
5.イネーブリング・コントロールの実践事例としてのミニ・プロフィット
センター(MPC)
(1) ミニ・プロフィットセンターとは
(2) 京セラ・アメーバ経営
6.結 び
第5章 イノベーション創出のためのマネジメント・コントロール
1.イノベーション創出のための探索活動
2.イノベーションとマネジメント・コントロールの関係
(1) イノベーション阻害要因としてのマネジメント・コントロール
(2) イノベーション促進要因としてのマネジメント・コントロール
3.分散を増加させるマネジメント・コントロール
4.マネジメント・コントロールによる淘汰のメカニズム
(1) 分散の価値と効率性
(2) 「管理のパラドックス」に対処するマネジメント・コントロール …他
5.プロセスとしてのイノベーション
(1) イノベーション・プロセスの2つの局面
(2) イノベーションとマネジメント・コントロールの関係性に関する先行
研究の特徴 …他
6.実践からの学習にもとづくイノベーション実現のマネジメント
(1) 試行錯誤アプローチ
(2) 学習手段としてのDDP …他
7.結 び
第6章 「戦略変更」におけるマネジメント・コントロールの役割
1.問題の所在
2.戦略変更とは
3.de Wit & Meyerのフレームワーク
(1) 戦略変更に対する2つの視点
(2) 戦略変更の問題に対する対処法 …他
4.1980年代におけるIntelの戦略変更
(1) Intel社の戦略変更の概要 134
(2) Intel戦略変更における組織コンテクスト …他
5.結 び
第7章 組織間マネジメント・コントロールの進展
1.問題の所在
2.組織間マネジメント・コントロールへの注目
(1) 組織内から組織間へ:ビジネスエコシステムとSCM
(2) 組織間マネジメント・コントロールの意義
3.組織間マネジメント・コントロールの源流
(1) 日本的経営への注目
(2) 戦略的コストマネジメント
4.組織間マネジメント・コントロールの問題領域
(1) 構造的コストマネジメント
(2) 構造的コストマネジメントの理論的支柱としての取引コストの
経済学 …他
5.結 び
第8章 顧客に対する影響活動
1.問題の所在:顧客との関係
2.従来の処方箋
(1) マーケティング分野におけるマネジメント・コントロールの前提:
見えないプロセス
(2) 営業費計算における原価分類 …他
3.デジタル・マーケティングの一般化
(1) マーケティング・オートメーションとは何か
(2) マーケティング・オートメーションの機能 …他
4.結 び
終章 要約と結論
1.全体の要約
2.マネジメント・コントロールと管理会計
3.マネジメント・コントロールへの役割期待の高度化と管理会計
4.組織変化を起動するマネジメント・コントロール
5.企業境界の超越
著者プロフィール
伊藤克容(いとうかつひろ)
成蹊大学経済学部教授,日本原価計算研究学会理事,
日本管理会計学会理事
1970年 東京都生まれ
1992年 一橋大学商学部経営学科卒業
1994年 一橋大学大学院商学研究科修士課程卒業
1995年 関東学園大学経済学部経営学科助手
1997年 一橋大学大学院商学研究科博士後期課程単位取得
1997年 関東学園大学経済学部経営学科専任講師
2001年 成蹊大学経済学部経営学科助教授
2008年 『組織を活かす管理会計』(生産性出版)により日本原価計算
研究学会学会賞受賞
2016年 公認会計士試験試験委員
2017年 成蹊大学ボランティア支援センター所長
〔主要業績〕
伊藤克容『組織を活かす管理会計―組織モデルと業績管理会計の関係性』生産性出版,2007年。
櫻井通晴・伊藤和憲編著『ケース管理会計』中央経済社,2017年。
廣本敏郎・挽文子編著『日本の管理会計研究』中央経済社,2015年。
廣本敏郎・加登豊・岡野浩編「日本企業の管理会計システム」
(『体系現代会計学』第12巻)中央経済社,2012年。
廣本敏郎編著『自律的組織の経営システム:日本的経営の叡智』
森山書店,2009年。