公正価値会計の実務―米国FAS157の総合解説とIFRSアドプション対応
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- 金融危機を誘発したといわれる米国財務会計基準書157号「公正価値測定」各項の解説から開示例、実務上の問題点まで論じる。金融危機後の時価会計をめぐる議論やIFRSへの影響まで詳解。
目次
公正価値会計の実務
目次
はじめに
第1章 FAS157の公表とその後の公正価値会計に関する
主要な議論
1 FAS157の公表
2 サブプライムローン問題と公正価値会計
3 公正価値会計に関する主要な議論内容
(FAS157公表から2008年8月まで)
(1) CAQの白書
(2) 金融安定化フォーラム(FSF)の要求
(3) Fair Value Roundtableでの議論 ……ほか
4 公正価値会計に関する主要な議論内容(2008年9月以降)
(1) SECのCFO宛レター
(2) SECとFASBのプレスリリース
(3) IASBの対応 ……ほか
第2章 公正価値会計の理論的背景
1 公正価値と時価の定義
(1) 公正価値の要件
(2) 公正価値とFair market value(公正市場価値)の相違
2 取得原価主義会計 vs. 公正価値会計の図式
(1) 測定時点の違い
(2) 取得原価主義会計が公正価値会計と整合的とする説の論拠
(3) 金融商品と非金融商品の違い
3 FAS157以前の米国における公正価値の議論
(1) FASB概念基準書第7号
(2) 米国における金融商品に関する公正価値会計の適用
4 公正価値オプション(Fair Value Option; FVO)
(1) 公正価値オプション
(2) 自社負債の時価評価と自社の信用リスクの考慮
(3) 貸出金についてのFVO適用
5 米国における非金融商品に関する公正価値会計の適用
第3章 FAS157の解説
1 FAS157の特徴
2 キーワード:新規導入された重要なコンセプト
3 FAS157の構造
4 FAS157適用フローチャート
5 FAS157 項目別解説
(1) 項目1:FAS157の目的
(2) 項目2:適用範囲
(3) 項目3:公正価値の定義および出口価格
(4) 項目4:評価・会計単位
(5) 項目5:主要な市場(または最も有利な市場) ……ほか
第4章 FAS157に基づく開示例
1 FAS157の開示要請事項
2 FAS157に基づく開示例
3 SECの開示ルール
4 主要金融機関の信用リスク関連開示
第5章 公正価値測定とその開示に関する実務上の問題点
1 会計基準の解釈に伴う問題点
(1) 市場参加者の仮定
(2) 秩序ある取引,投げ売り取引・強制取引
(3) Day one gain/lossについて
2 レベル2からレベル3への格下げ(またはその逆の格上げ)の判断
3 非流動的な市場に直面したもとでの情報の入手可能性
4 非流動的な市場に直面したもとでの実務の不統―
5 IASBの専門家諮問グループ「活発でなくなった市場における
金融商品の公正価値測定と開示」の公表
(1) 公正価値測定の目的
(2) 商品の理解
(3) 市場の情報の評価 ……ほか
6 企業価値評価における評価専門家の利用
(1) バリュエーション・スペシャリスト(評価専門家)の利用
(2) 評価専門家の要件
(3) 米国における評価専門家資格
7 公正価値評価方法に関する基準
(1) FASBのValuation Resource Group(VRG)
(2) 評価問題審議部会(Appraisal Issues Task Force;AITF)
(3) Appraisal Foundationのベストプラクティス・ワーキンググループ
……ほか
第6章 IFRSとのコンバージェンス
1 IFRSとU.S.GAAPの公正価値測定に関するコンバージェンス
2 IFRSとU.S.GAAPの開示に関するコンバージェンス
3 日本基準の立場
4 公正価値に関するFAS157・IAS39と日本基準の主要な差異
5 IASBのディスカッションペーパー「金融商品会計報告
の複雑性緩和」
(1) 公正価値以外の測定方法はあるのか?
(2) なぜ,同じ金融商品について別の会計処理が認められる余地
があるのか?
(3) IASBの12の質問 ……ほか
6 金融危機に対応した金融資産の減損に関する議論とその見直し
(1) 東京におけるIASB/FASB「グローバル金融危機に対応した
ラウンドテーブル」
(2) IFRSにおける金融資産の減損
(3) 発生損失モデル ……ほか
第7章 日本における今後の公正価値会計導入への備え
1 公正価値測定に関する意識改革を含めた社内体制(意識改革の
必要性)
2 公正価値に関する会計監査
3 FAS157のレベル3開示に関する誤解
4 誤解の原因は何だったのか
5 公正価値の階層について(レベル2と3の区分は
必要であったのか?)
6 規制当局の要請:金融機関の金融商品公正価値測定実務に
関する監督指針
(1) 原 則 1
(2) 原 則 4
7 結びに代えて
添付資料
1 SECプレスリリース(ワシントン 9/30/2008)2008-234の主たる
内容
2 上級監督者グループ,Leading-practice Disclosures for
Selected Exposuresの概要
3 FASBによるFAS157の背景説明(Understanding the Issues May
2008 “Some Facts about Fair Value”の概要)
4 公開草案FSP FAS157-e“市場が不活発であるか,取引が
投げ売りでないかの決定”
索 引
著者プロフィール
金子 康則(かねこ やすのり)
公認会計士・米国公認会計士(ニューハンプシャー州)
1995年 横浜市立大学商学部卒業,公認会計士2次試験合格,青山監査法人Price Waterhouse(現あらた監査法人)東京事務所入所。
1999年 公認会計士登録。
2003〜2005年 PricewaterhouseCoopers LLP, London, Banking and Capital Market勤務。
2007年 モルガン・スタンレー証券株式会社入社,会計方針部門を担当,現在に至る。