新興国・開発途上国の会計―最良の会計ルールを求めた知的実践
- 本の紹介
- フランス型の会計統一モデルは、フランスを旧宗主国とする途上国や新興国にいかにして根付いていったのか。また自らの会計制度を変化させていくことはなかったのかを考察。
目次
新興国・開発途上国の会計
─最良の会計ルールを求めた知的実践
目次
はしがき 初出一覧
序 章 研究目的と検討課題
1 研究目的
2 新興経済国と本書の研究対象
3 研究方法
4 構成と概要
第1章 グローバリゼーションと新興国の会計研究
1 はじめに
2 「開発途上国の会計」という領域の提示
3 新興国・開発途上国の研究者の反応
4 日本における新興国・開発途上国の会計研究
5 Journal of Accounting in Emerging Economiesにおける
研究の傾向
6 IASB『財務報告に関する概念フレームワーク』の前提
7 本章の要約とまとめ
第Ⅰ部 新興国・開発途上国の会計の形成
第2章 新興経済圏の会計設計に対する英米アプローチ
─IFRS以前の枠組み─
1 はじめに
2 先行研究
3 2つの流れ
4 根底にある米国と英連邦の軸
5 本章の要約とまとめ
第3章 会計技術移転のメカニズム
─プラン・コンタブルの影響の範囲の拡がりから考える─
1 はじめに
2 会計技術移転とは
3 会計技術移転の地理的な拡がり
4 会計技術移転の動的性格
5 会計技術移転のメカニズム:送り手と受け手を結ぶ循環の考察
6 会計技術移転のケースレビューにもとづく類型化
7 本章の要約とまとめ
第Ⅱ部 会計基準の移転と浸透のダイナミクス
第4章 フランス基準への調和とモロッコにおける企業会計改革
1 はじめに
2 会計制度をとりまく経済環境
3 会計制度改革以前のモロッコ企業会計制度の概要とフランスの
影響
4 会計制度改革に関する2つの王令
5 本章の要約とまとめ
第5章 モロッコにおける会計基準の二分化
─国際会計基準(IFRS)採用と自国基準の再構築の課題─
1 はじめに
2 IFRS導入期の背景
3 IFRS採用
4 会計基準設定とモニタリングの関係
5 本章の要約とまとめ
第6章 OHADA(アフリカ商事法調和化機構)会計システムの
形成過程 ―ユーロ・アフリカ・モデル構築の試み─
1 はじめに
2 企業会計基準のアフリカへの流入:OHADA会計システム以前
3 OHADA会計システムの特徴
4 適用事例
5 本章の要約とまとめ
第7章 付加価値損益計算書の登場
─導入論議から付加価値利益が財務諸表に組み込まれるまで─
1 はじめに
2 付加価値をめぐる議論:導入論と慎重論
3 ブータン・デルソル試案
4 経営中間残高表の構成
5 企業会計と社会会計を連携させる意味
6 本章の要約とまとめ
第8章 キャッシュ・フロー思考の浸透
─勘定構造の共通性と資金概念の多様性─
1 はじめに
2 フランス語圏における資金表発展の概要
3 財産勘定残高移動表の基本構成
4 類型化:簿記体系との連携と関連付けて
5 フランスにおける動向
6 本章の要約とまとめ
第9章 フランス語圏における会計技術協力
─ドナー国の会計プロフェッションの役割─
1 はじめに
2 会計技術協力
3 会計技術協力の供与主体(ドナー)としてのフランス国家会計
審議会(CNC)
4 会計技術協力の供与主体(ドナー)としての仏語圏会計士連盟
(FIDEF)
5 本章の要約とまとめ
第10章 フランス会計基準設定主体の組織改革
─70年の発展史を踏まえて─
1 はじめに
2 先行研究と改革の概要
3 会計基準設定主体についての諸法令と歴史的役割
4 国家会計審議会(CNC)の組織構造の変化
5 国家会計基準局(ANC)の設立
6 国家会計基準局(ANC)とフランスの会計法規の構造
7 本章の要約とまとめ
第11章 新興国・開発途上国のための国際会計基準の開発
─IFRS for SMEsの課題─
1 はじめに
2 Small and medium-sized entities(SMEs)か,
公的説明責任のない企業(NPAE)か
3 公開草案(ED)が公表されるまで
4 公開草案(ED)
5 IFRS for SMEsの課題
6 新興国・開発途上国とIFRS for SMEs
第Ⅲ部 新興経済国の会計基準設計
終 章 研究の総括と展望
1 総 括
2 展 望
■参考文献
■索 引
著者プロフィール
《著者紹介》
小津 稚加子(おづ ちかこ)
博士(経営学)(神戸大学)
現職 九州大学大学院経済学研究院・准教授
[主要業績]
『欧州財務会計』(共訳)白桃書房,1998年。
『多国籍企業の会計』(監訳)中央経済社,2007年。
『IFRS 導入のコスト分析』(共編著)中央経済社,2011年。
『IFRS 適用のエフェクト研究』(編著)中央経済社,2017年。