同族会社のトラブル予防・解決ガイド
- 本の紹介
- 本書は、法的観点から同族会社のトラブルの原因、予防、対策について、ケースを交えて解説。経営者、後継者、そしてそれらの方々を支援する専門家等の必読書です。
目次
同族会社のトラブル予防・解決ガイド
目次
第1章 会社は誰のものか
1 会社の種類
2 株主の権利
3 会社の支配者と会社財産の所有者は誰か
第2章 会社経営者の罪と罰
1 取締役および監査役の義務と責任
2 忠実義務に関する判例
3 権力の集中と私物化
4 経営者の犯罪❶――会社法・刑法
5 経営者の犯罪❷――不正経理,法令・定款違反等
6 代表取締役の解職,取締役の解任❶
7 代表取締役の解職,取締役の解任❷
8 株主,取締役の権利の制限
第3章 同族会社の特質
1 同族会社の意義と法人格の否認
2 同族会社の経営形態
3 同族会社の支配者は誰か❶――同族株主の意識
4 同族会社の支配者は誰か❷――創業者の意識
5 同族会社の強みと弱み
6 身内に甘い経理の否認と例示
7 役員退職金,報酬に関する最近の判例
第4章 ケーススタディ
1 下克上――株数の過半数を保有した子が創業者である父を排除
2 後継者(息子)の急逝と未亡人の反乱
3 事業にかける“想い”の違いに悩む母子
4 兄弟姉妹三すくみの中で孤立する経営者
5 創業家一人娘の経営者の行く末
6 後継者なき1人株主の焦り
7 子供達に株式を与える親と過半数取得を願う後継者
8 後継者と意思疎通に欠ける家族経営の経営者
9 オーナー不在の「社員による社員の会社」の経営者
10 物言う少数株主(公開会社)に縛られる経営者
11 兄弟姉妹が株式を均分所有している会社の経営者
12 共同経営者間の持分バランスの崩れによる争い
13 多数株主に囲まれた少数株主の創業家経営者
14 安定株主であった名義株主の死亡
15 株価の高い創業経営者の支配力維持の悩み
16 ケーススタディの教訓
第5章 同族会社経営者の落とし穴と予防策
1 経営者の不安と起こりやすいトラブル
2 経営者の「落とし穴」の具体例
3 不測の事態の予防策としての種類株式の活用
4 種類株式活用の留意点❶
――譲渡制限株式
5 種類株式活用の留意点❷
――拒否権付株式(黄金株)
6 種類株式活用の留意点❸
――取得条項付株式,取得請求権付株式,全部取得条項付株式
7 誰にも気兼ねしなくていい組織
8 親子兄弟の価値観の変化と親族の減少
第6章 理想的な同族経営
1 成功している欧米の同族経営
2 成功している日本の同族経営
3 これからの同族会社
――運営の方向性
4 同族会社の理想的な後継者と補佐役
5 同族会社の女性経営者
6 支配力に影響を及ぼす日本の相続税の仕組みと対策
7 同族会社の相続税対策❶
――公益法人の活用
8 同族会社の相続税対策❷
――事業承継税制特例措置の適用
9 同族会社の相続税対策❸
――持株会社の課題と遺言書作成の要点
コラム
1 「伝統文化」の承継
2 M&Aのその後の状況は?
3 同族会社継続の危ぶまれる背景
4 経営者家庭内の予期せぬ出来事
5 事業承継を支援するべきか否か
6 親子間の葛かっ藤とうと解決策
資 料
1 各種会社の主な相違点
2 少数株主権と単独株主権
3 株主総会の決議要件株数
4 退職金に関する判例
5 属人的株式
6 種類株式導入時の手続
7 単元株
8 株式譲渡承認 フローチャート
9 合同会社と株式会社の比較
10 租税特別措置法第40条・第70条
11 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(抄)
12 わが国のSDGs
著者プロフィール
〈監 修 〉
一般財団法人 事業承継支援財団
- 担当編集者コメント
- ◆本書の趣旨
近年大きくクローズアップされている事業承継については、さまざまなトラブルが生じています。
その中には、もう少し早くガードを固めておけば、円満に承継できたのにと思うケースも多々みられます。
その根底には、会社の支配と所有の関係が十分に理解出来ていないことも一因です。
そこで本書は、日本の社会、経済を支えている同族会社の経営者の役に立てればと考え、主として見逃しがちな法的観点から、トラブルの原因、予防、対策についてケースを交えて解説しています。
同族会社の経営者、後継者、親族の方々、そしてそれらの方々を支援する専門家の必読書です。
◆本書の構成
第1章 会社は誰のものか
第2章 会社経営者の罪と罰
第3章 同族会社の特質
第4章 ケーススタディ
第5章 同族会社経営者の落とし穴と予防策
第6章 理想的な同族経営
資 料
◆本書の特徴
➊事業承継の書籍の多くは税務の視点から解説されていますが、トラブルの原因の多くは法的な視点であることから、特に会社法の視点から解説しています!
❷読者に読みやすいように、1論点原則見開き2頁で解説しています!
❸ケースが充実しています! そして、これらのケースについては、解決のヒントが提示されています!
(ケースの内容)
1.下克上-株数の過半数を保有した子が創業者である父を排除
2.後継者(息子)の急逝と未亡人の反乱
3.事業にかける“想い”の違いに悩む母子
4.兄弟姉妹三すくみの中で孤立する経営者
5.創業家一人娘の経営者の行末
6.後継者なき1人株主の焦り
7.子供達に株式を与える親と過半数取得を願う後継者
8.後継者と意思疎通に欠ける家族経営の経営者
9.オーナー不在の「社員による社員の会社」の経営者
10.物言う少数株主(公開会社)に縛られる経営者
11.兄弟姉妹が株式を均分所有している会社の経営者
12.共同経営者間の持分バランスの崩れによる争い
13.多数株主に囲まれた少数株主の創業家経営者
14.安定株主であった名義株主の死亡
15.株価の高い創業経営者の支配力維持の悩み
❹事業承継の問題を解決する視点は、制度のみならず人間の心理的な側面も大きいと思われます。著者の事業承継にかんする豊富な経験にもとづき、これらの視点からも多くのアドバイスが盛り込まれています!
❺コラムが充実・かつ面白い! 著者の豊富な経験をもとにしたコラムは必読ですね。
◆理想的な後継者とは?
さまざまなトラブルをふまえ、中野先生が提示されている「理想の後継者」としてのポイントは、次のとおりです。
① 「万人・万物皆我師」の謙虚な気持ちを持っている。
② 親を支え、子を育てる中継ぎ役に徹する。
③ 家の行事には積極的に参加し、気配りを忘れない。
④ 役職につきたがらない。見栄を張らない。
⑤ 自ら先頭に立って実行する。
⑥ 好奇心旺盛で情報収集力と直感力がある。
⑦ 下積みの者の気持ちを理解している。
⑧ 陽気で口と腹は一致し、約束は守る。
⑨ 常に人格陶冶に努力している。
⑩ いかなる時代にでも残る事業を考える先見性がある。
⑪ 社会的貢献にも取り組む。
ぜひぜひご覧ください!
(監修者紹介)
一般財団法人 事業承継支援財団
事業承継の意思があるにもかかわらず、後継者や事業不振等により事業承継(継続)に悩む企業をサポートし、永続的に持続可能な姿にすることにより、地域経済・社会の活性化と雇用の確保を図ることを目的とし、平成25年4月に京都府において設立された。
以後、事業の承継(継続)や健全化等の計画・立案、承継者の教育、セカンドオピニオンの提供等の活動を行っている。
(連絡先 電話番号:075-431-9975)
(著者紹介)
中野 淑夫(なかの よしお)
(一財)事業承継支援財団 代表理事
公認会計士・税理士・商学博士
1934年 京都府生まれ
<歴任>
同志社大学助教授、同大学院商学研究科・総合政策科学研究科講師
日本公認会計士協会 京滋会会長
中野公認会計士事務所(二代目)代表
清友監査法人 理事長
学校法人同志社 監事
公認会計士第三次試験委員
京都府第一回包括外部監査人
<現任>
日本公認会計士協会 京滋会相談役
京都商工会議所 名誉議員
公認会計士・税理士 中野淑夫事務所代表