論点詳解係争事案における株式価値評価〈第2版〉―日米の株式買取請求事件等のトレンドと考え方
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- 当事者間で合意された価格を裁判所が重視する契機となったジュピターテレコム事件やDell事件、Aruba事件等、最近の重要な裁判例のほか、新MBO指針等を織り込んだ最新版。
目次
論点詳解係争事案における株式価値評価〈第2版〉
日米の株式買取請求事件等のトレンドと考え方
目次
第1章 株式買収請求制度等の概要
1 わが国における株式買収請求制度と「公正な価格」
2 デラウェア州における株式買取請求制度と「公正な価格」
3 評価時点
(1)どの時点を基準日にして、選択すべきか
(2)法的な基準日は評価上の基準日と同視できるか
4 金利
5 わが国とデラウェア州における買取請求事件のトレンド
(1)申立件数の推移
(2)決定価格の合併価格に対するプレミアム
(3)評価アプローチの傾向
(4)決定総額の比較
第2章 評価方法の選択
1 価値評価手法の特徴
2 併用法
3 合併価格の採用
(1)わが国における状況
(2)デラウェア州における状況
(3)合併価格の形成時点と公正な価格の評価時点の間のタイムラグ
第3章 インカム・アプローチ
1 DCF法
(1)DCF法の概要
(2)わが国とデラウェア州におけるDCF法の採用
(3)フリー・キャッシュフロー
(4)ターミナルバリュー
(5)リスクフリーレート
(6)株式リスクプレミアム
(7)ベータ
(8)資本構成
(9) 負債コスト
(10) サイズプレミアム
(11)業界リスクプレミアム
(12)個別企業リスクプレミアム
2 その他の手法
(1) 配当還元法
(2)収益還元法
(3)エンベディッドバリュー(EV)
第4章 マーケット・アプローチ
1 市場株価法
(1)市場株価法の概要
(2)わが国の裁判所における市場株価法の扱い
(3)デラウェア州の裁判所における市場株価法の扱い
(4)参照方法の論点―ピンポイントの時価の株価か、一定期間の
平均株価か?
(5)参照方法の論点―平均株価とすれば、どの程度の期間を採用
するか?
(6)基準時点と参照時点のタイムラグに係る補正
2 イベント分析に基づく企業価値が毀損されたかについての判断
(1)株式買取請求事件におけるイベント分析の役割
(2)イベント分析の概要
3 インテリジェンス事件へのイベント分析の応用
4 類似上場会社法および類似取引法の論点
(1)一般的手法の概要
(2)比較可能性の担保
(3)わが国の裁判所における議論
(4)デラウェア州の裁判所における議論
5 効率的市場
(1)効率的市場と本源的価値
(2)効率的市場仮説についてのコンセンサス
(3)市場の効率性についての反証可能性
第5章 ネットアセット・アプローチ
1 ネットアセット・アプローチの概要
2 ネットアセット・アプローチの論点
(1)継続企業を前提としない場合の評価
(2)資産管理会社の評価における論点
(3)1株当たり純資産価額(または清算価値)は公正な価格の下限
となるか
第6章 シナジーの配分
1 日本とデラウェア州における考え方の違い
2 マーケット・アプローチとシナジー
3 インカム・アプローチとシナジー
4 合併価格とシナジー
5 シナジーの合理的な水準
第7章 マイノリティ・ディスカウント
1 デラウェア州におけるマイノリティ・ディスカウントの扱いについての
批判
(1)これまでの経緯
(2)支配権プレミアムを加えることの合理性
(3)エージェンシーコスト
(4)支配株主の特権
(5)マイノリティ・ディスカウントの度合い
(6)DCF法との間の整合性
2 わが国における支配権プレミアムおよびマイノリティ・ディスカウント
の扱い
第8章 非流動性ディスカウント
1 非流動性ディスカウントの概要
2 株式買取請求事件簿における論議
資料編1 わが国における株式買取請求事件事例集
(平成19年以降の主な事例)
資料編2 わが国における株式売買価格決定申立事件事例集
(平成16年以降の主な事例)
資料編3 デラウェア州における株式買取請求事件等事例集
(2010年以降の主な事例)
著者プロフィール
【著者紹介】
池谷 誠(いけやまこと)
アルファフィナンシャルエキスパーツ株式会社マネージンクディレクター。デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社バリュエーション・モデリング・エコノミクス部門マネージングディレクター等を経て現職。会社訴訟(株式買取請求事件を含む),証券訴訟,知財訴訟,商事訴訟や国際仲裁事件などで,損害算定や公正価値評価を行う専門家(エコノミスト)として各種事件に関与。
著書に『証券訴訟の経済分析』,『移転価格の経済分析』(中央経済社,ともに共著),『事例研究証券訴訟不実開示の法的責任』(清文社,共著)。コロンビア大学国際関係学修士(国際金融・ビジネス専攻),上智大学経済学部卒。