企業革新のマネジメント―破壊的決定は強い企業文化を変えられるか
- 本の紹介
- 3M(スリーエム)・IBM・HP(ヒューレットパッカード)・松下電器といった強い文化を持つ企業をケースとして、低迷からの革新プロセスを分析し課題を明らかにする。
目次
企業革新のマネジメント
目次
まえがき
第1章 強い企業文化の存在
第2章 強い企業文化と企業革新とは
2.1 強い文化を持つ企業をめぐる議論
2.1.1 企業文化とは何か
2.1.2 経営戦略に影響を与える企業文化
2.1.3 強い企業文化は業績に影響するのか
2.1.4 企業文化を変えることは可能か
2.2 4つの企業革新モデルとトップの役割
2.2.1 組織開発(OD)モデル
2.2.2 戦略的企業革新モデル
2.2.3 進化論的モデル
2.2.4 相互作用モデル
2.3 強い企業文化と企業革新を考えるための枠組み
2.3.1 トップによる働きかけ
2.3.2 社員の反応
2.3.3 組織における不動点の存在
第3章 強い文化を持つ企業の調査
3.1 どの企業を調査するか
3.1.1 強い文化を持つ企業
3.1.2 戦略革新という現象の観察
3.2 企業革新が試みられた時期について
3.3 調査内容とデータについて
3.3.1 調査内容
3.3.2 3Mに関するデータ
3.3.3 IBM,松下電器,HPに関するデータ
第4章 3Mにみる企業革新のマネジメント
─3Mらしからぬ施策の連続
4.1 3Mの強さの源泉と企業革新の背景
4.1.1 3Mにみる一貫性
4.2 3Mを取り巻く環境変化
4.2.1 80年代以降の企業業績
4.2.2 経営環境の変化と3Mが直面した困難
4.3 3Mの革新
4.3.1 革新への着手
4.3.2 「かつての姿に戻る」戦略ビジョンとペーシング・プログラム
4.3.3 コーポレイト・スポンサーシップ
4.3.4 ニーズ志向の強化(90年代前半から)
4.3.5 イメーションのスピンオフ
4.3.6 ペーシング・プラスの導入(96年実施)
4.3.7 ペーシング・プラスの強調と株主重視の姿勢
4.3.8 新しい開発ストーリーの流布
4.3.9 成功事例の出現と新しい仕組み(ペーシング・プラス)
への認知
4.3.10 経営コンサルティング会社への依頼
4.3.11 社外からのCEOの招聘
4.3.12 2X/3Xへ
4.3.13 不動点の存在
4.4 競合の激しい分野で戦う3Mへの変化
4.5 3Mの戦略革新プロセスの分析
4.5.1 トップによる働きかけ
4.5.2 現状否定に対する社員の反応
4.5.3 不動点の存在と意義
4.6 3Mの戦略革新プロセスから浮かび上がるモデル
第5章 社外からのCEOによるIBMの革新
─ガースナーの視点と施策
5.1 IBMの強さの源泉と革新の背景
5.1.1 IBMの成功
5.1.2 IBMの80〜90年代の苦悩
5.2 ガースナーによるIBM革新への施策
5.3 「問題解決を売る」企業への戦略革新
5.4 ガースナーによる戦略革新プロセスの分析
第6章 松下電器にみる破壊的な意思決定
─経営理念以外のすべてに着手した中村改革
6.1 松下電器の強さの源泉と革新の背景
6.1.1 松下電器の強さの源泉
6.1.2 中村改革の背景
6.2 連続的に打ち出された中村改革の内容
6.3 「ブラック・ボックス」戦略の創出
6.4 中村社長による破壊と創造の戦略革新プロセス
第7章 フィオリーナによるHPの革新
─フィオリーナの強いリーダーシップ
7.1 HPの強さの源泉と革新の背景
7.1.1 HPウエイ
7.1.2 HPの革新の背景
7.2 カールトン・フィオリーナのリーダーシップ
7.3 価格競争への戦略シフトとフィオリーナ会長の解任
7.4 フィオリーナによるHPウエイの革新プロセス
第8章 企業革新モデルからみた事例
8.1 革新にいたる背景の違いについて
8.1.1 3Mにおけるイノベーション能力の低下
8.1.2 IBM,松下電器における業績悪化と決定的危機感なきHP
8.2 革新の主導者の属性について
8.2.1 3Mのデジモニとマックナーニ
8.2.2 IBM,HPにおける社外からのCEOと松下電器の中村改革
8.3 トップによる破壊的決定について
8.3.1 3Mらしからぬ働きかけ
8.3.2 IBM,松下電器,HPにみるリーダーシップと破壊的決定
8.4 社員の反応と突出について
8.4.1 3Mにみる新たなタイプの製品開発
8.4.2 IBM,松下電器,HPにみる社員の行動様式の変化
8.5 トップによるシンボリックな正当化と伝播について
8.5.1 3Mにみる新製品開発のストーリー化
8.5.2 IBM,松下電器,HPにおけるトップの発言
8.6 相互作用モデルからみた4社の事例と結論づけ
第9章 強い文化を持つ企業は本当に変わったのか
─破壊的決定の効果と限界
9.1 3Mは本当に変わったのか
9.1.1 3Mにみる戦略革新
9.1.2 3MにおけるCEOの継投
─マックナーニによる革新への試み
9.1.3 CEOの継投に関する意味
9.1.4 戦略策定の断絶とその効果のコンテクスト依存性
9.2 強い企業文化の執拗さ
9.2.1 事業システムをめぐる3Mの攻防
9.2.2 事業部制組織をめぐる松下電器の攻防
9.2.3 IBMとHPにみる組織構造と結びついた企業文化の執拗さ
9.2.4 企業文化の戦略拘束力を低下させる破壊的決定
9.2.5 相互作用モデルを超えて
9.2.6 まとめ
終章 破壊的決定をめぐる今後の議論
巻末資料
索引
著者プロフィール
河合 篤男(かわい あつお)
1989年慶應義塾大学経済学部卒業,日本生命保険(相)資金債券部勤務の後,1995年神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程退学。
名古屋市立大学経済学部助手,専任講師を経て,
現在,名古屋市立大学大学院経済学研究科助教授。
博士(経営学・神戸大学)。
(著書・論文)
『組織能力を活かす経営 3M社の自己超越ストーリー』(中央経済社,
共著),『日本企業の新事業開発体制』(有斐閣,共著),『日本企業の
経営革新』(白桃書房,共著),『企業と活動』(千文堂,共著),
『マネジメント(第6版)』(講談社,共同監訳),「「NAGOYA」が世界ブラ
ンドになる日」(『プレジデント』第40巻23号)ほか。