詳解排出権信託―制度設計と活用事例
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- 複雑かつ煩雑な排出権取引に信託の機能を活用すると、譲渡・処分などが簡単にできるようになり個人の参加も可能となる。取引と市場の現状を踏まえ、このスキームを豊富なケースで詳説。
目次
詳解
排出権信託─制度設計と活用事例
目次
は じ め に
序 章 低炭素社会に向けて
1 地球温暖化の現実
⑴ 始まった温暖化
⑵ 温暖化の将来予測
⑶ 急変する国際世論
2 温暖化を巡る理念
⑴ 予防原則
⑵ 共通だが差異のある責任
⑶ 持続可能な発展
3 動き始めた国際社会
⑴ 大幅削減の数値目標
⑵ 「バックキャスティング」の活用
4 低炭素社会の本質
⑴ 「CO2本位制」の始まり
⑵ 外部コストの内部化
5 低炭素社会への移行
⑴ 国家戦略の構築
⑵ 法的規制の導入
⑶ 社会規範の創出
第Ⅰ章 京都議定書と排出権取引の骨格
1 京都議定書・第一約束期間への道
⑴ 京都議定書採択(1997年12月)まで
⑵ 京都議定書発効(2005年2月)まで
⑶ 第一約束期間開始(2008年1月)まで
2 アローアンスベース取引とプロジェクトベース取引
⑴ アローアンスベース取引―キャップ&トレード・スキーム
⑵ プロジェクトベース取引―ベースライン&クレジット・スキーム
3 京都メカニズムの概要
⑴ 京都メカニズムの全体像
⑵ 国際排出権取引(IET)
⑶ JIとERU ……ほか
4 EU‒ETS について
⑴ EU‒ETS の仕組み
⑵ フェーズⅡに移行するEU‒ETS
5 国内の温暖化対策について
⑴ 地球温暖化対策推進法
⑵ 京都議定書目標達成計画
⑶ 日本経団連の環境自主行動計画の概要 ……ほか
第Ⅱ章 世界の排出権市場の現状
1 排出権取引市場の分類と各市場のリンケージ
⑴ 「マイナスCO2」の価格メカニズム
⑵ コンプライアンス市場とボランタリー市場
⑶ 価格と取引形態 ……ほか
2 拡大する排出権取引市場
⑴ 世界的な取引量の拡大
⑵ EU‒ETS 市場について
⑶ CDM とJI の市場について ……ほか
3 日本の排出権取引市場
⑴ CDM セカンダリー市場
⑵ 環境省の自主参加型国内排出量取引制度(再掲)
⑶ 今後の国内排出権取引市場
第Ⅲ章 CDM の仕組みと手続き
1 CDM の基本的仕組みと意義
2 CER 分配までのCDM の手続き
⑴ CDM プロジェクト遂行の基本的なプロセス
⑵ CDMプロジェクトの計画策定とPDD の作成
⑶ 関係締約国による承認 ……ほか
3 各種CDM の仕組み
⑴ 小規模CDM(SSC)
⑵ 新規植林・再植林CDM
⑶ プログラムCDM ……ほか
4 CDM の主な担い手
⑴ COP/MOP
⑵ CDM 理事会(EB)
⑶ DNA(指定国家機関) ……ほか
5 CDM プロジェクトにおける契約とリスク
⑴ CDMプロジェクトにおけるCER 取得のための契約
⑵ 海外プロジェクトとしてのCDM のリスク
⑶ CDM プロジェクト固有のリスク
第Ⅳ章 信託の仕組みとその新たなる展開
1 信託の基本的仕組みと機能
⑴ 信託とは
⑵ 信託の特徴
⑶ 信託の機能 ……ほか
2 信託の分類
⑴ 契約信託と遺言信託
⑵ 私益信託と公益信託
⑶ 自益信託と他益信託 ……ほか
3 信託の歴史と現代の新しい展開
⑴ 信託の生成と発展―イギリス・アメリカの信託
⑵ 日本の信託の歴史
⑶ 新しい時代の信託
第Ⅴ章 排出権取引における信託活用(排出権信託)の
ケーススタディ
1 排出権取引における信託の活用について
⑴ 排出権取引における信託活用への道筋
⑵ 信託の基本的仕組み
⑶ 排出権取引における信託活用の範囲
2 排出権取引における信託活用の基本機能
―ケーススタディ基本編
⑴ 信託を活用した排出権の小口譲渡(転換機能)
⑵ 担保としての信託受益権の活用(転換機能)
⑶ 信託銀行を活用した排出権取引の同時決済機能
3 排出権取引における信託活用の応用型―ケーススタディ応用編
⑴ カストディ型・排出権信託
⑵ エスクロー型・排出権信託
⑶ カーボンファンド型・排出権信託(金外信託) ……ほか
第Ⅵ章 排出権取引に関連する法制度
1 排出権に関する法制度の概要
⑴ 排出権とは何か
⑵ 排出権に関する法的枠組みの具体例
⑶ 京都議定書およびこれに関連する法的枠組みの概要
2 排出権の法的性質
⑴ 従来の議論
⑵ 財産権性の有無
⑶ 排出権の具体的な法的性質
3 割当量口座簿制度
⑴ 割当量口座簿に関する法規の構造
⑵ 割当量口座簿制度の概要
⑶ 割当量口座簿の具体的な運用
4 排出権取引の法的問題点(その①:排出権の譲渡取引)
⑴ 排出権の譲渡
⑵ 排出権売買における同時履行性の確保
⑶ 排出権取引における善意者保護(善意取得)
5 排出権取引の法的問題点(その②:担保設定)
6 排出権取引の法的問題点(その③:信託)
⑴ 排出権の信託
⑵ 信託の公示
⑶ 信託を利用した排出権取引の具体例
7 排出権取引の業法上の取扱い
⑴ 業法における基本的な位置づけ
⑵ 金融商品取引業者による排出権取引
⑶ 銀行による排出権取引 ……ほか
8 今後の課題
第Ⅶ章 排出権取引に関連する会計・税務処理
1 排出権取引に関連する会計処理
⑴ 「事業投資」としての排出権取得
⑵ 専ら第三者に販売する目的で排出クレジットを取得する場合の
会計処理
⑶ 将来の自社使用を見込んで排出クレジットを取得する場合の
会計処理
2 排出権信託の会計処理
⑴ 信託の会計の枠組みと受託者会計
⑵ 受益者の会計と排出権信託の受益権の処理
⑶ 排出権信託・会計処理の実例
3 排出権取引に関連する税務
⑴ 排出権取引への課税
⑵ 4ケースの課税ポイント
4 排出権信託の税務
⑴ 平成19年度税制改正前の信託課税
⑵ 平成19年度税制改正後の信託課税
⑶ 金融商品取引法上での信託受益権の取扱い ……ほか
第Ⅷ章 排出権取引とシステム
1 排出権取引関連業務とシステム
2 国別登録簿システムとは
⑴ 登録簿システムの概要
⑵ 登録簿ネットワークに係るスケジュール
⑶ 登録簿ネットワークの国際間接続について ……ほか
3 環境省自主参加型排出量取引制度におけるシステム整備
⑴ 制度概要
⑵ 本事業で使用されるシステムについて
⑶ まとめ
第Ⅸ章 CDM プロジェクトの技術的・事業的特性
1 登録CDM の各種特徴と傾向
⑴ プロジェクト規模別にみたCDM の特徴
⑵ ホスト国別にみたCDM の傾向
⑶ 投資国別に見たCDM の傾向
2 大規模CDM プロジェクトの技術的・事業的特性
⑴ 非エネルギー系の大規模CDM プロジェクト
⑵ エネルギー系の大規模CDM プロジェクト
⑶ 大規模CDM プロジェクトに関する今後の見通し
3 中規模CDM プロジェクトの技術的・事業的特性
⑴ 再生可能エネルギーを活用した中規模CDM プロジェクト
⑵ 家畜排泄物の高度処理を行う中規模CDM プロジェクト
4 小規模CDM プロジェクトの技術的・事業的特性
⑴ 省エネ小規模CDM プロジェクト
第Ⅹ章 排出権取得の実態について
1 一次取得の実態について
⑴ 一次取得の特徴
⑵ 候補案件の発掘
⑶ 最近の傾向
2 二次取得の実態について
⑴ 国際排出権取引
⑵ CDM/JI へのプロジェクト参加者追加型
⑶ 国内排出権取引 ……ほか
3 CDM 化手続きの事例
⑴ PDD 作成
⑵ ホスト国承認
⑶ 投資国承認 ……ほか
4 信託への期待
⑴ 中・小口需要家の期待
⑵ 排出権所有者(当初受益者)の期待
第Ⅺ章 地球温暖化と企業経営―環境配慮型社会への波
1 地球環境問題における潮流の変化
⑴ IPCC 報告書
⑵ スターン報告
⑶ アメリカの政策変更の可能性
2 地球温暖化問題と企業の社会的責任
⑴ 「社会的責任」の内容の変化
⑵ 情報開示と環境報告書における変化
⑶ 企業におけるリスク・マネジメントの重要性
3 企業を取り巻く環境配慮への波(グリーンウェーブ)
⑴ NPO,NGO の働きかけ
⑵ グリーン調達とサプライチェーン・マネジメント
⑶ 環境問題に取り組む金融
4 グリーンウェーブと環境配慮型ビジネス
⑴ カーボンニュートラルとカーボンオフセット
⑵ カーボンオフセット・プランの提供
⑶ グリーン商品とカーボン・フットプリント
終 章 カーボンオフセット社会の将来と排出権信託
―結びにかえて
1 共益化社会とカーボンオフセット
2 カーボンオフセットと排出権信託
付 録
1 気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書(和訳)
2 地球温暖化対策の推進に関する法律(抄録)
3 割当量口座簿に係る各種申請書
索 引
著者プロフィール
<編者紹介>
中央三井トラスト・ホールディングス株式会社
本店所在地:東京都港区芝3丁目33番1号
グループ企業
中央三井トラスト・ホールディングス:銀行持株会社
中央三井信託銀行:個人・法人向け金融サービス
中央三井アセット信託銀行:機関投資家向けサービス
中央三井アセットマネジメント:個人・機関投資家向け金融サービス
中央三井キャピタル:法人向け金融サービス
主な沿革:
大正13年3月:三井信託株式会社設立。
信託業法に基づくわが国最初の信託会社として,設立。
昭和37年5月:中央信託銀行株式会社設立。
平成12年4月:中央信託銀行株式会社と三井信託銀行株式会社が合併,中央三井信託銀行株式会社となる。
平成14年2月:持株会社三井トラスト・ホールディングス株式会社設立。
平成19年10月:三井トラスト・ホールディングス株式会社の社名を中央三井トラスト・ホールディングス株式会社に改称。