コーポレートガバナンス・コード講義―会社法と金融商品取引法との関連性

松岡 啓祐

定価(紙 版):2,750円(税込)

発行日:2022/04/27
A5判 / 216頁
ISBN:978-4-502-42451-9

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本の紹介
ソフトローとして実務上重要な役割を有するコーポレートガバナンス・コードにつき、指針の趣旨を、特に会社法と関連付けながら実務家及び法学部・法科大学院生向けに解説。

目次

第1章 コーポレートガバナンス・コードの意義と機能
 第1節 コーポレート・ガバナンスの意義と全体の構成等
   1 上場会社の活動とコーポレート・ガバナンス 
   2 機関投資家とスチュワードシップ・コード 
 第2節 コーポレート・ガバナンスとは何か
   1 企業統治と経営の監視・監督 
   2 攻めのガバナンスと企業の持続的成長・企業価値の向上 
   3 コーポレート・ガバナンスの対応部署 
 第3節 ガバナンス・コード等の性質と拘束力はどうなるか
   1 コーポレートガバナンス・コードの位置付け 
   2 コードの性質と拘束力 
   3 コーポレート・ガバナンスに関する報告書とは何か 
 第4節 コンプライ・オア・エクスプレインとは何か
   1 実施(遵守)または説明ルール 
   2 ガバナンス・コードに違反した場合等への対応 
   3 東京証券取引所の市場の区分とガバナンス・コードの適用範囲 
   4 コードを補完する実務指針等 

第2章 株主の権利・平等性と株主総会
 第1節 株主の権利・平等性の確保
 第2節 株主の権利の確保
   1 反対票の取扱い 
   2 株主総会の決議事項の取締役会への委任
   3 株主権の行使への十分な配慮
 第3節 株主総会の環境整備
   1 株主総会の環境整備の重要性
   2 株主への適切な情報提供と招集通知 
   3 株主総会の日時の設定と議決権の行使 
   4 株主総会と対話ガイドラインの要請 

第3章 会社の資本政策と政策保有株式等
 第1節 会社の資本政策の在り方
   1 資本政策と資本コスト 
   2 株主との対話における資本コストの取扱い
 第2節 政策保有株式
   1 政策保有株式の意義とその開示等 
   2 政策保有株式の検証等と政策保有株主との関係 
 第3節 事業ポートフォリオの取扱い
   1 事業ポートフォリオと企業価値の向上 
   2 会社の事業の評価手法 

第4章 企業買収や支配権の移動等への対応等
 第1節 企業買収と買収防衛策
   1 企業買収と買収防衛策 
   2 ライブドアの敵対的買収事件と買収防衛策の4類型 
 第2節 公開買付け(TOB)への対応
   1 会社側の明確な説明と不当な措置の防止 
   2 敵対的な公開買付けの実施とブルドックソース事件の買収防衛策
 第3節 支配権の変動等への対応
   1 MBO等の意義と問題点 
   2 MBOと二段階買収 
   3 M&A指針の公正性担保措置 
 第4節 関連当事者間の取引の監視
   1 関連当事者間の取引に関するチェックの必要性 
   2 関連当事者間の取引と会社法等 

第5章 株主以外のステークホルダーとの適切な協働等
 第1節 ステークホルダーと企業価値の向上
   1 ステークホルダーとサステナビリティの重視 
   2 経営理念と行動準則の策定等 
 第2節 社会・環境問題への対応や多様性の確保等
   1 社会・環境問題への対応 
   2 中核人材等の多様性の確保 
 第3節 内部通報制度や企業年金の運用
   1 内部通報制度 
   2 企業年金の積立金の運用

第6章 適切な情報開示と透明性の確保
 第1節 情報開示の在り方と建設的な対話
   1 上場会社と情報開示の重要性
   2 適時開示の重要性と適時開示体制の整備
 第2節 情報開示の充実と主体的な情報発信
   1 経営理念や経営戦略等の情報開示 
   2 英語による情報開示 
   3 サステナビリティについての取組みの開示
 第3節 外部会計監査人との関係
   1 会計監査人の意義と責務 
   2 監査役会等による対応 
   3 取締役会と監査役会による対応

第7章 取締役会の役割と責務
 第1節 取締役会の位置付けとその意思決定過程等
   1 経営の中枢としての取締役会 
   2 取締役会の意思決定過程の合理性の担保
 第2節 経営戦略や経営計画の検討等
   1 経営理念等の確立 
   2 経営戦略等に関する3つの補充原則 
 第3節 経営陣の支援と報酬制度の設計
   1 経営陣への支援と報酬のインセンティブ機能の重視 
   2 具体的な報酬制度の設計 
   3 サステナビリティ方針の策定や事業ポートフォリオ戦略の監督

第8章 取締役会による監督と監査役の役割等
 第1節 取締役会による経営陣等に対する監督機能
   1 実効性の高い監督の具体化 
   2 情報開示の監督・内部統制等の整備 
   3 利益相反の適切な管理 
 第2節 監査役と監査役会等の役割
   1 監査役等の意義と役割 
   2 監査役会の独立性と情報収集力 

第9章 社外取締役と独立社外取締役等
 第1節 社外取締役の意義
   1 会社法における社外取締役の意義 
   2 社外取締役の役割と活用方法
 第2節 独立社外取締役の役割等
   1 独立社外取締役の位置付け 
   2 独立社外取締役の活用 
 第3節 独立社外取締役の実効性の確保
   1 独立社外取締役同士の情報交換・情報共有等 
   2 筆頭独立社外取締役の選定等 
 第4節 独立社外取締役の独立性の判断基準
   1 社外役員と独立社外取締役 
   2 独立役員と各社の独立性判断基準 
   3 独立役員届出書とは何か 

第10章 指名委員会・報酬委員会等の活用
 第1節 任意の委員会の設置と活用
   1 会社法の委員会の位置付け 
   2 任意の委員会の設置 
   3 各会社の委員会の設置等の状況
 第2節 指名委員会
   1 指名委員会の意義 
   2 社長・CEO等の選任等 
   3 後継者計画とは何か 
 第3節 報酬委員会
   1 報酬委員会の意義 
   2 報酬委員会の役割 

第11章 取締役会と監査役会の実効性
 第1節 取締役会の多様性とスキルの開示等
   1 取締役会の多様性と適正規模の両立 
   2 監査役の財務・会計に関する知見等 
   3 取締役等の他社の役員兼任状況の開示 
 第2節 取締役会の実効性の評価と評価結果の開示
   1 取締役会の実効性の評価 
   2 実効性の評価結果の概要の開示 
 第3節 取締役会の審議の活性化と情報入手等
   1 取締役会の会議運営の在り方 
   2 取締役等の情報入手等 
   3 取締役等のトレーニング 

第12章 株主との対話
 第1節 株主との建設的な対話の重要性
   1 株主との建設的な対話の重要性 
   2 対話と持続的な成長に向けた取組み 
 第2節 株主との対話に関する方針の開示
   1 株主との対話(面談)への対応 
   2 対話方針の意義と具体的な記載事項 
   3 株主構造(実質株主)の把握の重要性 
 第3節 経営戦略や経営計画の策定・公表
   1 経営戦略等の開示と説明の在り方等 
   2 収益力・資本効率等の重視 
 第4節 スチュワードシップ・コードと対話ガイドライン
   1 スチュワードシップ・コードの意義と概要等
   2 対話ガイドラインの意義と概要等 

第13章 グループ企業のガバナンス
 第1節 グループ経営の在り方とグループ本社等の役割
   1 グループ経営の意義 
   2 グループ経営と会社法・実務指針等 
   3 グループ経営と取締役会等の役割 
 第2節 親会社の取締役会や支配株主の責務等
   1 親会社取締役会と親会社取締役の責務 
   2 支配株主の責務とガバナンス・コード 
   3 対話ガイドラインと支配株主の責務 
 第3節 支配株主を有する上場会社と独立社外取締役等
   1 相当数の独立社外取締役の選任か特別委員会の設置 
   2 特別委員会の意義と役割 
   3 内部統制システムや内部監査部門等 

著者紹介

松岡 啓祐(まつおか けいすけ)
[プロフィール]
専修大学法科大学院教授

東京都出身。早稲田大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学後,1994年専修大学法学部専任講師,助教授を経て,現職。専門は商法,会社法,金融商品取引法。元公認会計士試験委員(2011年より2021年まで企業法を担当),行政書士試験委員(2024年より)。

[主な著作]
『証券会社の経営破綻と資本市場法制-投資者保護基金制度を中心に』(中央経済社,2013年)
『最新金融商品取引法講義(第6版)』(中央経済社,2021年)
『コーポレートガバナンス・コード講義-会社法と金融商品取引法との関連性』(中央経済社,2022年)
『商法総則・商行為法のポイント解説(第2版)』(財形詳報社,2023年)
『ロースクール演習会社法(第5版)』(共著,法学書院,2022年)
『商法演習Ⅰ 会社法』(共著,成文堂,2020年)
『会社法重要判例(第3版)』(共著,成文堂,2019年)
「コーポレート・ガバナンス改革の過去20年を振り返る-ソフトローが果たした役割を中心に」(月間監査役764号,2024年)
「アメリカにおける証券の過当売買の規制と認定基準(一)~(四・完)」早稲田大学法研論集63号以下(1992年~1993年)
『金融商品取引法判例百選』(共著,有斐閣,2013年)