- 本の紹介
- IFRS公正価値会計は、記録を前提とする会計からの離脱とみる観点から、中世イタリア以降、会計記録の技術が理論として進化する過程を繙いて日常取引を記録する会計記録の営みの今後を考察。
目次
会計記録の基礎
目次
序文
第1部 会計記録の生成と本質
第1章 会計記録の本質
1 はじめに
2 会計記録の本質
3 記録手段と様式の多様性
⑴ 記憶と声,記録と文字
⑵ 文字以前
⑶ 文字の誕生
4 会計における記録の意味
5 むすび
第2章 公証人制度と会計記録の社会的意義
1 はじめに
2 中世イタリアにおける公証人と公証力の源泉
3 公証人の社会的存在と記録社会
4 公証人と会計記録
5 会計記録の新しい担い手
6 むすび
第3章 商人による会計記録の生成
1 はじめに
2 商人教育とリテラシーの獲得
3 現存する主要な会計記録
4 1211年の勘定記録に関する先行研究
⑴ 言語学の研究対象:資料の発見
⑵ 簿記会計史の研究対象:借方・貸方そして振替記入
⑶ 1211年勘定記録への接近:原資料を素材として
⑷ 1211年勘定記録の内容に関する本格的検討
5 勘定記録の内容とその検討
⑴ 貸付および回収記録
⑵ 振替記入
⑶ 商人記録の社会的信用性
6 むすび
第4章 複式記入の実践と記録様式
1 はじめに
2 複式記入の展開
⑴ 複式記入と複式簿記
⑵ 複式記入による会計記録
3 複式記入様式とその検討
4 むすび
第2部 複式簿記記録の理論と展開
第5章 複式簿記知識の普及と簿記書の役割
1 はじめに
2 活版印刷と簿記書の普及
3 16世紀イギリスにおける簿記書
⑴ オールドキャッスルの簿記書(1543年)
⑵ インピンの簿記書(1547年)
⑶ ピールの簿記書(1553年)
⑷ ウェディントンの簿記書(1567年)
⑸ ピールの簿記書(1569年)
⑹ メリスの簿記書(1588年)
4 The maner and fourmeの構成と概要
⑴ 文章による簿記技法の解説:前半部分
⑵ 帳簿組織とそれらへの記入による例解:後半部分
5 仕訳帳アプローチと会計記録法則の定立
6 勘定記録の手続き
⑴ 財産目録から元帳勘定への記入
⑵ 収益費用の認識と損益勘定
⑶ 勘定の繰越手続き
⑷ ピール簿記書にみる計算構造
7 むすび
第6章 複式簿記の初期理論
1 はじめに
2 仕訳帳・アプローチ以前の教授法
3 仕訳の一般原則の形成
⑴ マンツォーニの簿記書(1540年)
⑵ オールドキャッスル=メリスの簿記書(1588年)
⑶ ピール第1の簿記書(1553年)
⑷ ピール第2の簿記書(1569年)
4 仕訳法則の多様化・複雑化
⑴ ダフォーン第1の簿記書(1635年)
⑵ ダフォーン第2の簿記書(1670年)
5 仕訳法則の暗誦:簿記の詩
第7章 複式簿記教授法と理論の相互進展
1 はじめに
2 簿記教授法と理論の進展
⑴ 元帳アプローチ
⑵ 貸借対照表アプローチ
3 コストアプローチの構想
4 むすび
第8章 会計教育制度の充実と複式簿記理論の深化
1 はじめに
2 商業教育の充実と会計知識の普及
3 フォルサム簿記理論の基礎概念
⑴ 価値の分類
⑵ 価値の交換
⑶ 価値の記帳
⑷ 小括
4 フォルサム簿記理論の検討
⑴ 単純価値の交換の結果
⑵ 複合価値の交換の結果
⑶ 決算手続と決算報告書
5 むすび
第9章 複式簿記記録の対象と機能の拡張
1 はじめに
2 工業会計の背景
3 工業会計と複式簿記
⑴ 労務費の計算と記帳
⑵ 材料費の計算と記帳
⑶ プライムコストの計算と記帳
⑷ 製品の計算と記帳
⑸ 小括
4 むすび
第10章 会計記録から会計計算への理論展開
1 はじめに
2 複式簿記理論の体系化としての勘定学説
⑴ 勘定学説の意義
⑵ 複式簿記理論としての勘定学説の展開
⑶ 勘定学説の段階的発展
3 財産計算を指向する物的勘定学説の特徴
4 損益計算を指向する物的勘定学説の特徴
5 むすび
■参考文献
■索引
著者プロフィール
工藤栄一郎(くどうえいいちろう)
1962年熊本市生まれ
1990年西南学院大学大学院経営学研究科博士後期課程満期退学
1990年鹿児島経済大学経済学部専任講師
1994年鹿児島経済大学経済学部助教授
1996年熊本学園大学商学部助教授
2001年熊本学園大学商学部教授(現在に至る)
2003-04年メルボルン大学会計およびビジネス情報システム学科客員研究員
【著書】
『貸借対照表能力論』(分担執筆)税務経理協会,1993年
『近代会計と複式簿記』(分担執筆)税務経理協会,2003年
『新版複式簿記入門』(共著)中央経済社,2006年
『スタンダードテキスト財務会計論』(分担執筆)中央経済社,2007年
【訳書】
『FASB 財務会計の概念フレームワーク』(分担執筆)中央経済社,1997年
『ゴールドバーグの会計思想』中央経済社,2005年