オフバランス会計の実務―金融資産の消滅、連結範囲からネッティング処理まで
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- 金融商品の譲渡と連結範囲の論点をセットで考える必要があるオフバランス会計の全貌を米国基準とIFRSの新連結基準を中心に日本基準を対比して詳解。適用フローや要件などを徹底図解。
目次
オフバランス会計の実務
―金融資産の消滅,連結範囲からネッティング処理まで
目次
はじめに
巻頭図解 フローチャートで見るオフバランス会計の全体像
第Ⅰ部 オフバランス会計の意義と動向
第1章 オフバランス会計の意義
1 オフバランス会計とは
2 オフバランス会計の範囲
3 オフバランス会計の背景と問題の所在
4 金融危機とオフバランス会計
5 シティグループ2007年12月期年次報告書の開示
第2章 オフバランス会計の理論的背景
1 会計基準の変遷
2 金融資産の認識の中止に関する理論的背景
3 金融市場の発展と財務構成要素アプローチの登場
4 2つの支配概念(その1:個別資産レベルの支配)
5 2つの支配概念(その2:事業体レベルの支配(連結))
6 持分法の位置付け
第3章 コンバージェンスの動向
1 IASB/FASB の作業工程表(2011年7月改訂)
2 「金融商品の消滅」のコンバージェンス
3 金融資産の消滅(IASB の新アプローチ)
4 「連結」のコンバージェンス
5 連結会計に関する米国基準の動向
第4章 不動産のオフバランス会計
1 不動産の特殊性
2 不動産信託受益権の会計処理
3 開発型SPC の問題点
4 米国基準における不動産売却処理の要件
第Ⅱ部 金融資産の譲渡
第1章 証券化スキームの理解のために(会計・監査の観点から)
1 証券化の出口は何か?
2 倒産隔離を実現する仕組み
3 証券化に用いられる仕組み
4 トランチングの考え方
5 不動産証券化ストラクチャー
6 会計上・監査上レビューすべき契約書とレビューのポイント
第2章 米国基準FAS166(ASC860)「金融資産の譲渡」の解説
1 米国基準の歩み
2 FAS166によるFAS140改訂の概要
3 問題の所在
4 FAS166の適用範囲
5 会計上の売却処理の要件
6 要件1:倒産隔離の要件(FAS166 par.9a)
7 要件2:譲受人の売却制限の要件(FAS166 par.9b)
8 要件3:実効支配要件(FAS166 par.9c)
9 金融資産の譲渡の会計処理
10 FAS166で取り上げる各種譲渡取引の会計処理 ……ほか
第3章 IFRS における認識の中止
1 IAS39における金融商品の認識中止の要件
2 Step1の解説
3 Step2の解説
4 Step3の解説
5 Step4・Step5の解説
6 Step6の解説
7 Step7の解説
8 Step8の解説
9 各種取引への具体的適用例(IAS39 par. AG51)
10 IAS39に基づく金融資産認識中止の会計処理 ……ほか
第4章 日本基準における金融商品の消滅の認識
1 日本基準の歩み
2 日本基準における金融商品の消滅の認識
3 要件1(譲受人の契約上の権利の法的な保全)
4 要件2(契約上の権利の享受)
5 要件3(譲渡人の買戻権・買戻義務)
6 ローン・パーティシペーション
7 その他個別取引に関する金融資産の消滅の認識
8 金融資産の消滅の認識に係る会計処理
9 デット・エクイティ・スワップ
10 金融負債の消滅の認識 ……ほか
第Ⅲ部 連結会計
第1章 米国基準FAS167(ASC810)の解説
1 変動持分事業体モデルの概念整理
2 FAS167公表の背景
3 米国基準における連結モデルのフローチャート
4 論点1:投資先,保証先など連結検討対象となる事業体の
リスト作成
5 論点2:FAS167の適用範囲
6 論点3:リスクに直面するエクイティ投資が十分か
7 論点4:エクイティ投資家を1つのグループとして見た場合の支配
の欠如
8 論点5:議決権割合と不釣り合いな経済的権利
9 VIE の分析や連結の検討はいつ行うのか(再考事由)
10 自社がVIE に対して変動持分を有するかの判定 ……ほか
第2章 IFRS における連結会計
1 IFRS10の概要
2 IFRS10フローチャートの解説
3 事例から見るIFRS10の考え方
4 会計処理
5 経過措置
6 公開草案からの主要な変更点(par.BC206参照)
7 米国基準との間に残るGAAP 差異
8 現行日本基準との差異
9 IFRS における連結規定の適用事例
10 IFRS11「共同アレンジメント」の概要 ……ほか
第3章 日本基準における連結会計(連結の範囲を中心に)
1 日本基準連結会計の歴史
2 日本における連結をめぐる問題
3 日本基準におけるSPE の連結の考え方
4 ファンド投資の連結
5 米国基準と日本基準の差異に関する開示例
第Ⅳ部 資産負債のネッティングおよび損益のネッティング
第1章 ネッティング会計処理の前提となる決済実務の知識
1 決済実務の流れ
2 清算手続
3 決済実務上のネッティングの種類
4 会計上のネッティング
5 決済手続
6 商品ごとの取引の流れと会計上の留意点
第2章 IASB/FASB 金融資産負債の相殺表示に関する
共同公開草案
1 公開草案の背景と影響
2 公開草案の提案内容
3 結論の背景の概要
4 米国基準上問題となるネッティング
5 金融機関の特殊性
6 現行米国基準の概要
7 2011年5月9日:IASB/FASB ラウンド・テーブルの概要
8 2011年6月14日:FASB 現状維持を仮決定
(IFRS との差異埋まらず)
第3章 金融資産・負債の相殺表示に関する現行IFRS・日本基準の
規定
1 現行IFRS に基づく資産・負債,収益・費用の相殺表示
2 日本基準の取扱い
3 金融資産・負債のネッティング3基準比較
4 今後の方向性
第4章 米国基準における費用・収益勘定のネッティング
1 費用・収益の総額表示と純額表示の区分の考え方
2 EITF99-19の規定
第5章 その他の論点
1 支払承諾
2 信託勘定
3 保 証
おわりに
巻末資料
1 FAS166の構成表
2 FAS166における用語定義の概要
3 IAS39における金融商品認識中止規定の構成表
4 日本基準の金融資産・負債消滅認識関連規定構成表
5 FAS167の構成表
6 IFRS10の構成表
索 引
著者プロフィール
金子 康則(かねこ やすのり)
公認会計士・米国公認会計士(ニューハンプシャー州)
1995年 横浜市立大学商学部卒業,公認会計士2次試験合格,青山監査法人Price Waterhouse(現あらた監査法人)東京事務所入所。
1999年 公認会計士登録。
2003~2005年 PricewaterhouseCoopers LLP, London, Banking and Capital Market 勤務。
2007年 モルガン・スタンレー証券株式会社(現モルガン・スタンレーMUFG 証券株式会社)入社,
会計方針部門を担当,現在に至る。
著書
『公正価値会計の実務』(中央経済社)がある。
日本公認会計士協会 会計制度委員会委員(2011 年)
日本公認会計士協会 中小事務所等施策調査会監査専門部会専門委員(2010 年~)
日本公認会計士協会 東京会会計委員会委員長(2011 年)
- 担当編集者コメント
- 外資系証券会社の会計方針部門に従事し,IASB・FASBの動向をウォッチしている著者だからこそ書き得た内容です。まさに専門実務書。使える図解も大きな魅力です。