ファイナンスド・エミッション―金融機関のためのGHG排出量開示とPCAF基準

金子 康則

定価(紙 版):6,930円(税込)

発行日:2023/03/09
A5判 / 592頁
ISBN:978-4-502-44701-3

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本の紹介
金融機関がその投融資等に基づく間接的な温室効果ガス排出量を測定・開示する際の手法を、PCAF基準やそれが準拠するGHGプロトコルの主要な基準をもとに丁寧に解説。

目次

はじめに:本書の目的 
本書の構成 

第Ⅰ章 GHG排出量削減手段としてのファイナンスド・エミッション開示
 1.目的:2050年カーボンニュートラルの達成
 2.手段:サプライチェーン排出量計測とファイナンスド・エミッションの開示

第Ⅱ章 非財務情報の開示枠組みとTCFD提言
 1.非財務情報とサステナビリティ関連開示とは
 2.非財務情報開示を通じた会社の変革ツールとしてのTCFDガイドライン
 3.シナリオ分析とは
 4.バーゼル銀行監督委員会の気候変動関連金融リスクのガイダンス
 5.比較可能性確保のためのタクソノミーの重要性

第Ⅲ章 GHGプロトコル:温室効果ガス(GHG)排出量測定の全産業向け枠組み
 1.PCAF基準の前提となるGHGプロトコルの各種基準書
 2.GHGプロトコル「コーポレート基準」の概要
 3.GHGプロトコル「企業バリューチェーン(スコープ3)算定報告基準」の概要
 4.GHGプロトコル「スコープ3排出量の算定技術ガイダンス」における
   スコープ3カテゴリ15「投資」の規定概要

第Ⅳ章 SEC公開草案「気候関連開示の拡張と標準化」の概要
 1.公開草案の概要
 2.2種類の導入時期
 3.主要なポイント一覧
 4.財務諸表注記と財務諸表外の開示の2本立て
 5.財務諸表注記の対象となる財務的影響を示す指標とは
 6.支払金額指標とは
 7.GHG排出量の開示
 8.SECによるPCAFへの言及
 9.GHG排出量開示に関する合理的保証と限定的保証
 10.最終化に向けた主な論点

第Ⅴ章 PCAF基準パートAの全体像
 1.PCAF基準とは
 2.PCAF基準パートAの構造
 3.PCAF基準パートAのユーザーとは
 4.PCAF基準パートAの目的
 5.PCAF基準の3つの主要な特長とメリット
 6.PCAF基準の5原則(7アセットクラスに共通)
 7.PCAF基準の7アセットクラス
 8.アセットクラス選択判断基準
 9.PCAF基準の限界(7アセットクラスに共通)
 10.PCAF基準の2023年以降の改訂見込み

第Ⅵ章 PCAF基準パートAにおける7アセットクラス別ファイナンスド・エミッション計算方法
 資料【PCAF基準計算要件一覧】
 ・7アセットクラスごとのPCAF基準全体像
 ・データ品質スコア:全アセットクラスの選択肢の比較
 ・商品別選択肢別:ファイナンスド・エミッションの計算に必要なデータ
 ・上場株式・社債の場合の利用可能データ別選択肢フローチャート
 ・投融資先のスコープ3排出量の取扱いと追加開示の有無
 1.上場株式と上場/非上場社債
 2.事業融資と非上場株式
 3.プロジェクト・ファイナンス
 4.商業不動産(CRE)
 5.住宅ローン
 6.自動車ローン
 7.ソブリン債
 8.まとめとしての報告上の推奨事項と要求事項

第Ⅶ章 PCAF基準パートB
「ファシリテーテッド・エミッション」
 1.ファシリテーテッド・エミッションとは
 2.資本市場取引であることを明示してスコープ3排出量を報告
 3.いつからいつまで報告すればよいか
 4.投資家と金融機関の間の排出量に関する責任分担
   (資金調達を手配した金融機関の責任は発行体排出量の全部か一部か?)
 5.複数の金融機関の間の責任分担決定とアトリビューション適用
 6.株式発行市場と債券発行市場の取扱いに違いはあるのか?
 7.設 例

第Ⅷ章 PCAF基準パートC
「保険関連エミッション」
 1.保険業界からの提案
 2.低炭素経済移行への保険業界の関与とその目的
 3.保険関連エミッションとファイナンスド・エミッションの違い
 4.保険関連エミッションの測定対象
 5.保険関連エミッションの報告時期・報告内容
 6.保険関連エミッション測定方法開発上の指針となる5原則
 7.保険関連エミッション計算式

第Ⅸ章 低炭素社会移行への金融機関の目利き力:削減貢献量の大きい企業を探せ
 1.削減貢献量とは
 2.削減貢献量の例
 3.企業にとっての削減貢献量測定のメリット
 4.経済産業省のロードマップ
 5.金融機関は削減貢献量の多い企業やプロジェクトに優先して投融資すべき

著者紹介

金子 康則(かねこ やすのり)
[プロフィール]
公認会計士,米国公認会計士(ニュー・ハンプシャー州)
1995年,青山監査法人PriceWaterhouse(現PwCあらた有限責任監査法人)入所。2007年より金融機関に勤務し,バーゼル規制/会計アドバイザリー・方針部門を担当,現在に至る。
日本会計研究学会会員。

[主な著作]
『公正価値会計の実務』
『オフバランス会計の実務』
『公正価値測定の実務Q&A』(共著)
『実務Q&A IFRSの一般ヘッジ会計』
『金融機関のためのネッティングの実務』(共著)
『金融機関のROE戦略』(共著)
『不動産リースの会計処理Q&A』(共著)
『バーゼルⅢと会計基準の接点』
『ファイナンスド・エミッション』(すべて中央経済社)