- 本の紹介
- 企業がライツ(=新株予約権)を既存株主に割り当てることで資金調達する手法がライツオファリングである。その法的枠組みから実務上の手続までを網羅的に解説する。
目次
詳説 ライツ・オファリング
目次
第1章 ライツ・オファリングの概要
第1節 ライツ・オファリングとは
第2節 海外におけるライツ・オファリング
第3節 スキームの概要
1.ノンコミットメント型ライツ・オファリング
2.コミットメント型ライツ・オファリング
第4節 ライツ・オファリングの特徴
1.ライツ・オファリングのメリット
2.ライツ・オファリングのデメリット ……ほか
第5節 ライツ・オファリングの商品設計と株価への影響
1.商品設計
2.株価への影響 ……ほか
第2章 ライツ・オファリングのスケジュール
第1節 概 要
第2節 ライツ・オファリングの準備期間
1.引受審査
2.管轄財務局への事前相談 ……ほか
第3節 ライツ・オファリングのローンチ
1.概 要
2.取締役会決議 ……ほか
第4節 コミットメント契約の締結
1.コミットメント契約の締結時期
2.コミットメント契約の締結と届出の効力発生との関係
第5節 基準日等の設定
第6節 新株予約権の発行と上場
1.新株予約権の発行
2.新株予約権の上場
第7節 株主に対する割当通知
1.現行制度
2.会社法の改正
第8節 目論見書の交付
1.有価証券届出書を提出する場合
2.発行登録制度を利用する場合
第9節 新株予約権の行使
1.新株予約権の行使期間
2.新株予約権の行使手続 ……ほか
第10節 新株予約権の売買
第11節 未行使新株予約権の取得・売付け
および未行使新株予約権の行使
1.発行会社による未行使新株予約権の取得および引受証券会社
への売付け
2.引受証券会社による未行使新株予約権の行使
第12節 新株予約権の行使状況等の開示
第13節 ライツ・オファリングの日程案
第3章ライツ・オファリングとドキュメンテーション
第1節 概 要
第2節 有価証券届出書
1.届出義務および届出手続
2.様式および記載事項 ……ほか
第3節 目論見書
1.開示ガイドラインの改正による論点解消の経緯
2.作成および交付の義務の免除
第4節 臨時報告書
1.概 要
2.海外募集 ……ほか
第5節 発行登録制度
1.発行登録制度の概要
2.手 続 ……ほか
第6節 証券取引所規則に基づく開示書類等
1.適時開示
2.証券取引所への提出書類
第7節 その他の必要書類
1.引受証券会社に関する書類等
2.日刊新聞紙への掲載
第4章 ライツ・オファリングと金融商品取引業
第1節 概 要
第2節 コミットメント業務の金商法上の位置づけ
1.「有価証券の引受け」という位置づけとその態様
2.引受けに位置づけられたことによる効果
第3節 金融商品取引業者に対する規制
1.総 論
2.情報開示(有価証券届出書等の虚偽記載等)に関する責任
……ほか
第4節 サブ・アンダーライター
1.概 要
2.「サブ・アンダーライター」の概念 ……ほか
第5章 ライツ・オファリングと公開買付規制
第1節 概 要
第2節 コミットメント型ライツ・オファリングの場合
1.スキーム概要
2.平成23年金商法改正の概要 ……ほか
第3節 ノンコミットメント型ライツ・オファリングの場合
1.割当て時
2.行 使 時 ……ほか
第6章 ライツ・オファリングと大量保有報告制度
第1節 概 要
第2節 コミットメント型ライツ・オファリングの場合
1.スキーム概要
2.平成23年金商法改正の概要 ……ほか
第3節 ノンコミットメント型ライツ・オファリングの場合
1.割当て時
2.行 使 時 ……ほか
第7章 大株主等による新株予約権の行使または売却に関する
意向表明
第1節 大株主等による新株予約権の行使または売却に関する意向
確認の必要性と問題点
第2節 上場株券等の既開示株券等の第三者割当に係る事前交渉と
届出前勧誘規制に関する議論
第3節 ライツ・オファリングに関する検討
第4節 大株主等の意思確認を事前に行うためのその他の方法
1.発行登録制度の利用
2.ブックビルディング方式と類似のプライシング方式の利用
第8章 開示書類の虚偽記載等に関する責任
第1節 責任の概要
1.はじめに
2.虚偽記載等の類型 ……ほか
第2節 民事責任
1.概 要
2.発行会社の民事責任 ……ほか
第3節 課徴金の責任
第4節 刑事責任
第9章 ライツ・オファリングに係る内部者取引規制
第1節 金商法上の会社関係者等による内部者取引規制の概要
第2節 コミットメント型ライツ・オファリングとの関係
1.問題となる局面
2.発行会社による取得条項に基づく未行使新株予約権の取得およ
び発行会社から引受証券会社に対する未行使新株予約権の
譲渡について ……ほか
第3節 「重要事実」への追加
第4節 重要事実としての主要株主の異動
1.問題の所在
2.金融庁の考え方と対応策
第5節 短期売買利益返還義務
第10章 ライツ・オファリングに係るその他の諸問題
第1節 外国証券規制に関する諸問題
1.米国1933年証券法上の登録義務とその回避
2.米国以外の国・地域における各種規制への対応 ……ほか
第2節 株主に対する新株予約権無償割当に関する割当通知
第3節 取得条項による取得価格・引受証券会社に対する譲渡価格
に関する問題
1.取得条項による取得価格
2.引受証券会社に対する譲渡価格
第4節 その他の法令上の問題
1.銀 行 法
2.保険業法 ……ほか
第11章 ライツ・オファリングの今後の展望
索 引
著者プロフィール
鈴木 克昌(すずき かつまさ)
森・濱田松本法律事務所 パートナー
ニューヨーク州弁護士・(社)日本証券アナリスト協会検定会員
1998年 慶應義塾大学法学部卒業
2004年 コロンビア大学法科大学院にてLL.M.取得,ロンドンのLinklaters法律事務所で執務(〜2005年)。
2008年 アジア資本市場協議会メンバーThe Best Lawyers International,Chambers Global,Chambers
Asia,Legal 500など複数のメディアにより,Capital Marketsにおいて日本を代表する弁護士の一人に選ばれる。
主要著作
“Future Prospects of Takeovers in Japan Analyzed from the View of Share-ownership
Structures and Laws in Comparison with the United States and the European
Union”Columbia Journal of Transnational law(2004)
“Japan exercises US-style control” IFLR: The 2007 Global report(2007)
『会社法・金商法下の内部統制と開示』(共著,商事法務,2007年)
『新会社法実務問題シリーズ10 内部統制 会社法と金融商品取引法』(共著,中央経済社,2009年)
「ライツ・イシューの実務上の諸問題〔上〕〔下〕」旬刊商事法務No.1896・1897(2010年)
「ライツ・オファリングに係る制度改正の動向と実務上の諸問題(上)(下)」旬刊商事法務No.1925・1926(2011年)
『金融商品取引法 資本市場と開示編〔第2版〕』(共著,商事法務,2011年)
『過年度決算訂正の法務(第2版)』(共著,中央経済社,2011年)
『エクイティ・ファイナンスの理論と実務』(共著,商事法務,2011年)
「内部者取引規制(インサイダー取引規制)」Lexis Nexis『Business Issues』(Lexis AS ONE収録)(2011年)
「金融商品取引法令改正後のライツ・オファリングの実務上の留意点」旬刊商事法務No.1965(2012年)
峯岸 健太郎(みねぎし けんたろう)
森・濱田松本法律事務所 オブ・カウンセル
2001年 一橋大学法学部卒業
2006年 金融庁出向(総務企画局企業開示課専門官(任期付公務員))(〜2007年9月)
2008年 中央大学法科大学院兼任講師(企業金融と法)
主要著作
『金融商品取引法 資本市場と開示編〔第2版〕』(共著,商事法務,2011年)
「自社株対価TOBの実務上の諸問題〔上〕〔下〕」旬刊商事法務No.1942・1943(2011年)
『エクイティ・ファイナンスの理論と実務』(共著,商事法務,2011年)
『別冊商事法務 事例分析からみた上場会社法制の現状 ―上場会社投資と資本政策―』(共著,商事法務,2011年)
石井 絵梨子(いしい えりこ)
森・濱田松本法律事務所
ニューヨーク州弁護士
2003年 慶應義塾大学法学部法律学科卒業
2007年 金融庁出向(総務企画局企業開示課専門官)(〜2008年12月)
2010年 コロンビア大学法科大学院にてLL.M.取得,伊藤忠商事欧州会社にて執務(〜2011年)
2012年 慶應義塾大学法学部講師(契約法)
主要著作
「英文開示,適格機関投資家制度に係る改正内閣府令の概要」旬刊商事法務No.1835(2008年)
「有価証券届出書・公開買付届出書等の記載内容等の見直しについて」週刊経営財務No.2902(2009年)
「種類株式に関する情報開示の充実,公開買付規制等に係る政府令改正の要点」週刊T&AmasterNo.292(2009年)
「プロ向け市場の創設(平成20年金融商品取引法改正)等に関する政令・内閣府令について」会計・監査ジャーナルVol.21 No.4(2009年)
「金融商品取引法令改正後のライツ・オファリングの実務上の留意点」旬刊商事法務No.1965(2012年) ほか
田井中 克之(たいなか かつゆき)
森・濱田松本法律事務所
2004年 東京大学法学部卒業
2006年 東京大学法科大学院修了
主要著作
『エクイティ・ファイナンスの理論と実務』(共著,商事法務,2011年)
宮田 俊(みやた すぐる)
森・濱田松本法律事務所
2005年 東京大学法学部卒業
2007年 東京大学法科大学院修了
主要著作
『エクイティ・ファイナンスの理論と実務』(共著,商事法務,2011年)
「ライツ・オファリングに係る金商法令の改正と実務対応」旬刊経理情報No.1311(2012年)
「金融商品取引法令改正後のライツ・オファリングの実務上の留意点」旬刊商事法務No.1965(2012年)
西尾 賢司(にしお けんじ)
森・濱田松本法律事務所
2007年 神戸大学法学部法律学科卒業
主要著作
「ライツ・オファリングに係る金商法令の改正と実務対応」旬刊経理情報No.1311(2012年)
石橋 誠之(いしばし まさゆき)
森・濱田松本法律事務所
2007年 東京大学経済学部卒業
2009年 東京大学法科大学院修了
主要著作
「エクイティ・ファイナンスに係る株主との利害調整」旬刊経理情報No.1285(2011年)
- 担当編集者コメント
- 株式価値の希釈化と増資インサイダーの問題を回避する新たな資金調達手法であるライツオファリング。
本書では、制度改正の動向も踏まえ、法規制および実務と今後の展望について網羅的に解説します。
- 著者から
- ライツ・オファリングは、日本企業のエクイティ・ファイナンスの主要な手法である公募増資・第三者割当増資に比して、既存の株主が被る希釈化の影響を回避または軽減できるスキームであり、世界各国で広く利用されている。
日本国内では2010年に第1号案件が実施され、筆者らはそのリーガルカウンセルを務めた。
その案件で得たノウハウを事務所内に留める方がよいという考えもあったが、この経験を広く共有し日本の資本市場の健全な発展に貢献すべきであると考え、本書の刊行に至ったものである。