為替リスク管理の教科書〈改訂版〉―基本方針の設定から具体的な実践方法まで
- 本の紹介
- 円安が続こうが円高に振れようが関係なし。為替相場の変動リスクを上手に回避する考え方と対応法を指南。事業構造の修正も視野に入れ、管理スパンに応じた事例とともに解説。
目次
第0章 為替リスク管理の必要性
第1節 為替リスクと企業経営の関わり
1⃣為替リスクへの関わりの広がり
⑴ 外貨建てから円建てに変えても残るリスク
⑵ 海外取引がなくても関わる為替リスク
2⃣管理スパンの長さと為替相場の見方
⑴ 管理スパンによって変わる為替相場の見方
⑵ 管理スパンは事業内容に従う
3⃣為替リスクへの関わり方
第2節 本書の構成と展開の方法
第1章 為替リスク管理の基本方針
第1節 為替リスクとその管理
1⃣為替リスクとは
⑴ 取引リスク
⑵ 会計リスク
⑶ 潜在リスク
⑷ 経済リスク
2⃣為替リスク管理とは
⑴ 為替リスク管理の定義
⑵ エクスポージャーとボラティリティ
第2節 ボラティリティとは
1⃣ボラティリティ観察の対象期間
⑴ 企業活動A
⑵ 企業活動B
2⃣観察上の留意点
⑴ 為替投機
⑵ 経済活動以外の要因
⑶ 為替相場予想の可能性
第3節 エクスポージャーとは
1⃣外国為替取引とその構成要素
⑴ 送金と取立て
⑵ 銀行間決済の仕組み
2⃣外国為替持高でエクスポージャーを測る
⑴ 外国為替持高
⑵ 外国為替持高と為替差損益
3⃣外国為替取引の流れと外国為替持高の変化
⑴ 信用状付輸出取引
⑵ 信用状付輸出取引の外国為替持高変化
⑶ 送金ベースの輸出取引
⑷ 海外子会社への貸付け
第4節 為替リスク管理の基本方針
1⃣管理範囲絞り込みとリスク別特質分析
⑴ 実体的な損益か否か
⑵ 直接影響か間接影響か
⑶ 管理スパンの長さ
2⃣為替リスク管理の基本方針設定
⑴ 基本方針設定の意義
⑵ 種類別・期間別為替リスク管理方針の設定
第2章 ボラティリティ観察と為替相場予想方法
第1節 為替相場
1⃣為替相場の種類
⑴ 実質為替相場
⑵ 実効為替相場
2⃣相場変動の仕組みと市場取引
⑴ 外国為替市場の様子
⑵ 為替相場変動の仕組み
⑶ 外国為替市場での取引パターンと種類
3⃣スワップ取引価格と先物為替相場
⑴ 直先スプレッド発生の仕組み
⑵ 金利平価式
⑶ 先物為替相場の計算
第2節 為替相場決定理論とその実用性
1⃣購買力平価説
2⃣国際収支説
3⃣アセット・アプローチ
⑴ ポートフォリオ・バランス・アプローチ
⑵ 通用利回りに関わるリスクの測定困難性
4⃣相場決定理論の実用性
⑴ 購買力平価説の実用性
⑵ 国際収支説の実用性
⑶ アセット・アプローチの実用性
第3節 その他通貨への対応と理論の補強
1⃣その他通貨の基本的な見方
2⃣国際収支発展段階説
⑴ 未成熟債務国
⑵ 成熟債務国
⑶ 債務返済国
⑷ 未成熟債権国
⑸ 成熟債権国
⑹ 債権取崩国
3⃣国際金融のトリレンマ
⑴ 資本の自由な移動が犠牲になるケース
⑵ 金融政策の自立性が犠牲になるケース
⑶ 為替相場の固定が犠牲になるケース
4⃣為替管理制度によるバイアス
⑴ 厳格な固定相場制
⑵ 柔軟な固定相場制
⑶ 変動相場制
第4節 為替相場予想の方法
1⃣相場変動予想の体系
⑴ 為替相場理論と補強策の相互関係性
⑵ 為替相場予想のマナー
⑶ 為替相場予想の体系
2⃣購買力平価の予想(相対価格要素からのアプローチ)
⑴ 貨幣的視点
⑵ 財・サービスの視点
⑶ 物価連動国債の流通利回り
3⃣貿易需要の予想(マクロ的景気要素からのアプローチ)
⑴ 貿易サービス収支決定理論とその意味
⑵ 景気循環の仕組み
⑶ 為替相場予想への利用
4⃣長期投資の予想
⑴ 長期投資に着目する意義
⑵ 国際収支発展段階説の応用
⑶ アセット・アプローチの応用
⑷ 為替相場予想への利用
5⃣その他通貨の予想
⑴ 制限的為替管理制度採用通貨
⑵ 外国為替市場の需給の吸収力がない通貨
6⃣為替相場予想方法のまとめ
第3章 エクスポージャーの調整と操作の方法
第1節 リスク対応方法とエクスポージャーの調整
1⃣リスク対応方法の為替リスクへの応用
2⃣リスク対応方法別のエクスポージャー調整方法
⑴ リスクの回避
⑵ リスクの共有
⑶ リスク源の除去
⑷ 起こりやすさの変更,結果の変更
⑸ リスクの保有,リスクの増加
第2節 為替リスクのヘッジ方法(外部ヘッジ)
1⃣先物為替予約
⑴ 先物為替相場の乖離部分で陥る罠
⑵ 先物為替予約利用上の留意点
⑶ 包括ヘッジ予約
⑷ 先物為替予約利用上の心得
2⃣通貨オプション
⑴ 通貨オプションの仕組み
⑵ オプションの活用
⑶ ゼロコスト・オプション
⑷ 通貨オプション利用上の心得
3⃣通貨スワップ
⑴ ベーシス・スワップ
⑵ クロス・カレンシー・金利スワップ
⑶ クーポン・スワップ
⑷ 通貨スワップ利用上の心得
4⃣通貨先物取引
⑴ 通貨先物取引の活用方法
⑵ 通貨先物取引利用上の心得
第3節 為替リスクのヘッジ方法(内部ヘッジ)
1⃣外貨建債権・債務
⑴ 金利負担と直先スプレッド
⑵ 外貨建債権・債務利用上の心得
2⃣自然ヘッジ
⑴ ネッティングと持高傾き圧縮のための調整
⑵ リーズ&ラグズによる持高傾き調整
⑶ 自然ヘッジ利用上の心得
第4節 ヘッジ対応の留意点
1⃣ヘッジ手法のまとめと留意点
⑴ 管理の方針:積極的為替操作の許容度
⑵ 事業の性格:短期・長期,大口・小口,頻度
⑶ 管理の負担:管理能力,組織の大きさ,実需取引の・利益率
2⃣その他通貨への対応
⑴ NDFによるヘッジ方法
⑵ 相関の高い国際通貨でヘッジする方法
⑶ リスクの除去による方法
⑷ 当該通貨建債権・債務による内部ヘッジ
第4章 エクスポージャーの構造的調整と事業
第1節 考慮すべき事項
1⃣環境の構造的変化
⑴ 経済外リスクの考慮
⑵ 日本固有の産業構造を考慮
2⃣貨幣の機能面からみた変動材料のウェイト付け
⑴ 貨幣機能からみた変動材料への視点
⑵ 交換機能か保蔵機能か
3⃣相場水準の予定外シフトという考え方
⑴ 相場を一定水準に回帰させる圧力
⑵ フェアバリューの効かないシフト
4⃣考慮すべき事項の考慮の仕方
第2節 エクスポージャーの構造的調整
1⃣近年の為替相場の流れの捉え方
⑴ 構造的な相場変動のうねり
⑵ 円安メリットと円高メリットの整理
⑶ 長期的なヘッジの方法
2⃣事業構造に着目した対処方法
⑴ 円安・円高メリットのコーディネート
⑵ 事業構造の機能要素からみる対処方法
⑶ 事業別仕入機能の見直し
⑷ 事業別販売機能の見直し
⑸ 貨幣の保蔵機能からみた考え方
⑹ 事業構造修正の留意点
第5章 為替リスク管理体制の構築
第1節 基本ルールの制定
1⃣考え方
⑴ 基本ルールの位置づけ
⑵ 定型処理手順と意思決定手順
2⃣管理対象リスクの特定
⑴ 会計リスクと潜在リスク
⑵ 経済リスク
リスクテイク限度の設定
⑴ ヘッジ基準の作成
⑵ ロスカット・ルールの作成
⑶ 決裁権限の設定
4⃣社内レート
⑴ 経理上の平均レート
⑵ 利益計画上の想定レート
⑶ 部門間仕切レート
⑷ 固定値決めレート
⑸ 社内レート設定の心得
5⃣自社に合ったルール水準
第2節 管理組織の構築
1⃣組織機能
2⃣現場情報伝達機能
⑴ 為替リスク発生部署の役割
⑵ 情報集中部署の役割と情報の仕分け
3⃣ヘッジ実行機能
⑴ ヘッジ実行の業務フロー
⑵ 部署間の牽制機能
4⃣意思決定機能
⑴ 個別案件リスク対応方法決定
⑵ 現行の体制や基本方針などの見直し
5⃣調査分析機能
⑴ 情報の価値化
⑵ 2種類の調査分析
6⃣報告機能
自社に合った組織
第3節 管理ツールの制定
1⃣連絡ツール
⑴ 為替リスク異動連絡票と記載項目
⑵ 為替リスク異動連絡票の使用例
2⃣外国為替持高の把握
⑴ 外国為替持高表と記載内容
⑵ 差損益表示タイプの外国為替持高表
⑶ 持値の取扱いに関する注意
3⃣ヘッジ管理
⑴ ヘッジ管理表の利用
⑵ 未実現損益の計算ロジック
4⃣為替リスク対応検討・管理票
5⃣為替相場予想材料記録整理表
6⃣未来年表
7⃣自社に合ったツール選択
第6章 期間別為替リスク管理の実務と事例
第1節 短期リスク管理の要点と事例
1⃣短期為替リスク管理の要点
2⃣事例:小規模企業の為替リスク管理体制の構築(短期取引リスク)
⑴ 管理の基本方針
⑵ 実行の方法選択
⑶ 組織立て
3⃣事例:社内レートと為替差損益(短期取引リスク)
⑴ 実態調査の開始
⑵ 実勢相場から乖離した社内レート
⑶ 対応策
4⃣事例:材料輸出,委託加工輸入による自然ヘッジ(短期取引リスク)
⑴ 外国為替持高表による点検
⑵ 対応策と今後の方針
第2節 中期リスク管理の要点と事例
1⃣中期為替リスク管理の要点
2⃣事例:円安予想下の原材料確保(長期も視野に入れた中期経済リスク)
⑴ 中期の為替相場予想
⑵ 為替リスク対応方針と対応選択肢
⑶ クーポン・スワップの検討
⑷ 対応策と評価
3⃣事例:円高で国内仕入を輸入に切替え(中期経済リスク)
⑴ 円高対策の立案
⑵ 対策効果の試算
4⃣事例:当事者間で独自の取引価格換算レート設定(中期取引リスク)
⑴ ヘッジ困難な固定換算レート
⑵ 対応策
第3節 長期リスク管理の要点と事例
1⃣長期為替リスク管理の要点
⑴ 広い視野と意思決定の重要性
⑵ 管理の要点
2⃣事例:新興国への生産拠点移転を検討(長期取引・経済リスク)
⑴ 戦略の検討手順
⑵ 調査結果
⑶ 戦略の選択
⑷ 評 価
3⃣事例:将来の為替安を見込んだ戦略的配当支払い(長期潜在リスク)
⑴ 購買力平価
⑵ 為替自由化の行方
⑶ 配当方針への反映