しくみ図解 会計思考のポイント

村井 直志

定価(紙 版):2,310円(税込)

発行日:2023/09/26
A5判 / 184頁
ISBN:978-4-502-47741-6

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本の紹介
「数字」はビジネスコミュニケーションツール! 数字や会計のしくみを理解し、読みこなし、実務で使いこなすための「会計思考」を身につける。基本77項目をやさしく解説。

目次

はじめに

第1章 制度会計①(基本の財務3表等)
1 決算書の眺め方
会社法で「計算書類」、金商法で「財務諸表」という決算書を「鳥・虫・魚」の目線で眺める
2 基本財務2表
BSで3つ、PLで2つ、合計5つの箱が基本の「財務2表」
3 決算書のつながり
「会計直観力養成マップ」でつながりを理解
4 貸借対照表BSと株主資本等変動計算書SS
BSの純資産の内訳がSS
5 損益計算書PLと包括利益計算書CI
個別(単体)と連結で損益計算書の表現が異なる
6 損益計算の基本原則
対象期間の収益と費用を対応させる「期間損益計算」の理解は不正防止の理解にも必要
7 売上計上のタイミング
発生・実現・回収の3段階のうち、実現した収益を計上するのが原則
8 費用・損失計上のタイミング
発生・実現・支出の3段階のうち、発生した費用・損失を計上するのが原則
9 損益計算のタイミングと粉飾
規定どおりの取引計上タイミングで損益計算をしないと粉飾につながる
10 収益認識基準
収益(売上)をどのように決算書に反映するか
11 キャッシュ・フロー計算書(CF計算書)
キャッシュ・フロー計算書とフリー・キャッシュ・フロー
12 黒字倒産する理由
キャッシュ・フロー経営の本質は、決算書の一体理解が必要
13 附属明細書と注記表
財務3表の内訳明細と作成方法
14 公正なる会計慣行
GAAPという会計処理の基本ルールとIFRSの論点
コラム 決算書は一体理解が大切

第2章 制度会計②(知っておくべき会計と税務のルール)
15 棚卸資産の評価
商品・製品・仕掛品・原材料などの棚卸資産は、収益性の低下に基づき簿価を切り下げる
16 固定資産の減価償却
①費用配分、②資産評価、③資金回収の側面が減価償却にはある
17 資産除去債務
汚染物質の除去にコストがかかるとすれば、将来の経営に負担を及ぼすので会計上見積もる
18 減損会計
収益性が低下し、投資額の回収が見込めなくなった状態の資産の簿価を切り下げる
19 有価証券の区分と評価
株式等は、①売買目的、②満期保有目的、③子会社・関連会社、④その他、4区分で評価する
20 会計上の見積り
仮定や予想に基づく「会計上の見積り」は粉飾リスクに直結するので、妥当性の検証は必須
21 税効果会計
PLに法人税等調整額、BSに繰延税金資産・負債を計上し、税金負担率を調整する
22 繰延税金資産の回収可能性
会社分類とスケジューリングの有無がポイント
23 退職給付会計
退職給付とは、将来従業員に支給する退職一時金や企業年金という退職金
24 引当金
会計上の見積りの典型でもある引当金には4要件がある
25 デリバティブ取引
「派生的、副次的」という意味の取引には2つの目的がある
26 時価
財政状態を把握する「時価主義」の時価
27 継続企業の前提(ゴーイング・コンサーン)
会社が将来にわたって事業活動を継続していく前提
28 主な税金
税金の取扱いはさまざま。税効果会計とともに税金の基本的な理解も必要
29 法人税のしくみ
加算・減算・申告調整の基本
コラム 内部留保に対する誤解

第3章 制度会計③(連結会計のしくみ)
30 連結の基本
グループ総合力を表す「連結」のプロセスは、大きくわけて3段階
31 連結と単体(個別)の違い
債権債務の相殺消去、資本連結、持分法など、連結特有の処理が存在する
32 連結の会社分類
他の企業の議決権を50%超所有している会社が「親会社」、持たれている会社が「子会社」
33 連結の範囲
すべての子会社を連結の範囲に含めるのが原則。関連当事者の理解も必要
34 のれん
M&Aで買収した企業が計画通り収益を上げなければ、のれんの減損処理を迫られる
35 M&Aとデューデリジェンス
投資対象の実態把握に必要な適正評価手続きの種類とプロセス
36 企業価値の評価手法
投資判断の基準となる代表的な企業評価アプローチ法
コラム 子会社等管理とCAAT

第4章 財務分析(経営実態の把握方法)
37 生産性
付加価値という生産性の基本を高めるには、財務・非財務の「数字」への理解も必要
38 収益性
利益を生み出す構造を知ることは経営管理の基本
39 安全性
安定経営に必要な資金的余裕度、支払能力を示す財務健全性を指し、流動性ともいう
40 運転資金
資金管理のポイントは「社長は出る資金にだけ注意しておけば、会社が潰れることはない」
41 有利子負債
借金は少ない方が良いイメージがあるが、先行投資には必要
42 自己資本利益率ROEと総資産利益率ROA
総合指標といわれるROEとROAの意義、弱点、留意点
43 ROE経営
経済産業省公表の通称『伊藤レポート』が示すROE経営の本質
44 投下資本利益率ROIC
どれだけ投資し、どれだけ利益を上げたか?
45 投資の経済性計算
投資効果を事前想定しておくDCF法などの手法
46 資本コストWACC
WACCと、これを支えるCAPM理論
47 財務制限条項と財務比率
与信・ランク分け・格付けで用いられる財務指標の基本
コラム 数字を紐解く8つの目線

第5章 管理会計(プラスの管理会計)
48 企業価値経営と7つのルール
「売上を最大に、経費を最小にすれば、儲けが生まれる」に欠かせない7つのルール
49 残高管理
「P×Q」に分解し、「入・出・残」で残高を把握する
50 残高管理の技術
業務プロセスを把握し、勘定分析、実査、確認などの技術を用いて経営管理
51 債権管理
得意先元帳の見方は、サイトと残高の関係に注目し「入・出・残」の問題をつかむことにある
52 在庫管理
「在庫」を「罪庫」から「財庫」へ変貌させるには「情物一致」が不可欠
53 実地棚卸
現物管理の重要性を意識することが肝心
54 ABC分析
在庫管理を徹底するには、情物一致させ、ABC分析のような工夫も必要
55 回転分析
効率性がわかる回転分析。交叉比率や製作・調達日数との関係にも注目
56 損益分岐点分析
「売上を最大に、経費は最小に」を徹底するには、決算書をえぐることも必要
57 利益感度分析
売上高と同じ割合で利益が伸びるわけではない
58 マネジメント専用の数字
公表用の決算書は必須だが、経営管理を行うにはマネジメント専用の数字も必要
59 原価計算
製造コスト管理のしくみは「IN=OUT」の関係に注目
60 予算制度
予算編成・統制のしくみと、予算の弊害と対策
61 セグメント情報
どの事業で儲かっているか、類似性のある事業セグメントを束ねて開示する
62 SWOT分析
消費者が求める「ここにしかない価値」は自社の強み
63 バランスト・スコアカードBSC
財務・顧客・業務・成長の4つの視点を持つ戦略ツール
64 重要業績評価指標KPI
KPIとROICの構造
65 事業再生と会計
資産超過、欠損金、債務超過という耳目を集める経済用語も3つの箱で理解
コラム 会計の体系

第6章 不正会計(マイナスの管理会計)
66 不正のトライアングルと9類型
「売上を最大に見せかけ、経費を最小にできれば、儲けが生まれる」、不正発生のメカニズム
67 内部統制
経営管理と内部統制は密接不可分
68 詐欺と承認
ビジネスメール詐欺BECに注意
69 危ない兆候
不正会計の痕跡=異常点は必ず残る
70 循環取引
「売りも、買いも」は異常点だが、「盾」を使って隠蔽されることもある
71 不祥事の予防と対応のプリンシプル
日本取引所が示す、不祥事への処方箋
コラム 異常点をつかむ5つの視点

第7章 IT経営(活用、リスク、ガバナンス)
72 脱エクセル脳
複雑なシートに四苦八苦しない、3つの鉄則
73 ダイス・スライス・ドリリング分析
ピボットテーブルで、視点を変えて、ファクトから新たな洞察を得るのが、データ分析の基本
74 レガシーシステム
ITにも寿命がある、更新投資しなければブラックボックス化でデジタル敗者になりかねない
75 サイバーセキュリティ
身近に迫るサイバーリスクに立ち向かうには、情報セキュリティ確保が重要
76 経営ダッシュボード
武器としての情報を活用するデータビジュアライズ
77 DXの阻害要因
生産性向上に必要なPC性能とサイバーセキュリティ等のリスク対応
コラム 経営管理に「モダンExcel」が最適な理由

参考文献

著者紹介

村井 直志(むらい ただし)
[プロフィール]
公認会計士・データアナリスト

日本公認会計士協会東京会コンピュータ委員長(通算3期),経営・税務・業務委員会委員などを歴任。
監査ビッグ4等で,法定監査,株式公開支援,M&A支援,金融機関やメーカー等のIT監査などの業務に従事。上場会社役員などを経て,独立。価値創造機構理事長。
日本公認会計士協会研究大会第34回兵庫大会に『CAAT(コンピュータ利用監査技法)で不正会計に対処する,Excelを用いた異常点監査技法』で選抜される。

[主な著作]
『モダンExcel入門』(日経BP)
『決定版 会社四季報から始める企業分析 最強の会計力』(東洋経済新報社。共著)
『経営を強くする 会計7つのルール』(ダイヤモンド社。別途翻訳本)
『Excelによる不正発見法 CAATで粉飾・横領はこう見抜く』(中央経済社)

管理会計や不正会計に関する著作を多数上梓