管理会計・原価計算の変革―競争力を強化する経理・財務部門の役割
- 本の紹介
- 著者の実務経験と研究の集大成として、日本企業の管理会計・原価計算に関する現在の危機的状況を明らかにして、変革に向けた具体的な解決策と経理・財務部門の役割を提示。
目次
第1章 日本企業の管理会計・原価計算の動向
1 財管一致の管理会計
2 日本企業の経営目標指標
3 予算管理
4 中期経営計画
5 設備投資の経済性評価
6 標準原価計算
7 直接原価計算
8 原価企画
9 ミニ・プロフィットセンターとアメーバ経営
10 ABC/ABM/ABB
11 バランス・スコアカード
12 EVA
13 カンパニー制と持株会社制の管理会計
14 シェアードサービス
15 研究開発費管理
16 収益の管理
17 無形資産・知的資産の管理
18 その他の管理会計・原価計算
19 総括と対応
第2章 管理会計・原価計算の理論と実務の乖離
1 原価計算の形態
2 材料消費価格の計算
3 補助部門費の製造部門への配賦計算
4 予定配賦と製造間接費予算
5 標準原価計算―製造間接費の差異分析
6 標準原価差異の処理
7 棚卸資産在庫評価時の進捗度
8 単位原価計算
9 原価計算基準
10 原価計算の理論と実務の乖離
第3章 管理会計・原価計算とICT
1 ERPパッケージソフトウエア
2 連結決算パッケージソフトウエア
3 RPA
4 原価計算システム
5 クラウドシステム
6 その他のICTツール
7 ICTが管理会計・原価計算に与えた影響
8 AIと管理会計・原価計算
9 経理DX
10 経理・財務部門のICT化の進め方
第4章 経理・財務部門の現状と会計人財
1 レレバンス・ロストの衝撃
2 日本企業の管理会計・原価計算停滞の状況
3 財務会計の優位性と経理・財務部門の業務負荷の増加
4 上場市場区分と管理会計・原価計算
5 製造業,非製造業別の管理会計・原価計算
6 経理・財務部門従業員数の減少
7 経理・財務部門従業員の能力向上
8 日本企業の管理会計・原価計算の停滞のもう1つの要因
第5章 日本の会計学教育の現状
1 商業高等学校における会計学教育
2 大学における会計学教育
3 大学院における会計学教育
4 企業における簿記・会計実務教育
5 会計離れ
6 会計学教育の変革に向けて
7 会計学教育の分類
8 経営シミュレーションゲームの活用
第6章 日本企業の国際競争力回復に向けた管理会計・原価計算の提案
1 管理会計・原価計算の変革の必要性
2 会計の本質の再確認
3 管理会計・原価計算の体系化と手法の選択
4 ネットワーク型連結管理会計・原価計算
5 ドライバーの管理
6 Cから始まるPDCAサイクル
7 貸借対照表重視の管理会計
8 回収期間別損益計算書
9 MFLACとiMFLAC
- 担当編集者コメント
- 著者の実務経験と研究の集大成として、日本企業の変革へのヒントを提示!
日本企業の管理会計・原価計算は、財務会計の優位性によって、今なお停滞が続いているといわれています。
また、商業高等学校、大学、企業の会計学教育方法もこれまでほぼ変わっていません。
本書で川野先生は、日本企業の競争力を再び回復させるためには、経理・財務部門及び会計学教育の変革が必要であり、その現状を明らかにした上で、具体的な解決策を示しています。
〇具体的内容
第1章では日本企業の管理会計・原価計算において、新しい手法が採用されていない現状を明らかにしています。
第2章は、管理会計や原価計算の教科書と異なる企業実務の状況を明らかにしています。
第3章は、管理会計・原価計算分野でのICTが進展して進んでいない状況を明らかにして、ICTによる経理・財務部門の従業員数の減少や経理DXにも触れています。
第4章では、日本企業の管理会計・原価計算が進歩せず、停滞している要因を分析すると共に、今後の経理・財務部門の人財開発について提言しています。
第5章では、日本企業に人財を送り出す役割を担う商業高校、大学、大学院での会計教育と「会計離れ」の現状を説明しています。
最後に第6章では、川野先生がこれまで提案してきた新しい管理会計・原価計算の提案をとりまとめています。
〇主な読者対象
実務家の方々は日々の仕事のヒントになることはもちろんですが、研究者の皆様にも、特に実務の現状をアンケート調査等と結び付けて客観的に考察している部分は研究資料としても有用ですし、また教育の側面からも有益な示唆が得られると思います。
ぜひ多くの方々にお読みいただき、日本企業の競争力回復にお役立ていただければ嬉しいですね。