- 本の紹介
- 本書は、財務諸表監査における監査技術の1つとされる「質問」(Inquiry)を研究対象とし、質問の歴史的展開、質問が有する機能、質問の構造などを学術的に説明する。
目次
序章 質問研究の問題意識、研究命題および論文構成
1 本研究書が有する3つの問題意識
2 研究命題と論文構成
第1章 財務諸表監査における質問の位置づけ
1 本章の研究命題
2 質問の目的およびその対象者
3 監査技術としての質問の位置づけ
4 口頭的証拠の信頼性
5 質問の定義と取り組むべき研究課題
第2章 監査手続として拡張する「質問」の意義
1 分析の視角
2 監査草創期
3 法定監査進展期
4 GAAS形成期
5 監査期待ギャップ基準発効期
6 21世紀の財務諸表監査
7 史的研究から明らかにされたこと
第3章 証拠法における供述証拠の評価
1 問題意識
2 証拠法における供述証拠の位置づけ
3 供述の証明力の判断指標
4 財務諸表監査に対するインプリケーション
第4章 口頭的証拠の評価指標と監査要点の立証
1 問題意識
2 財務諸表監査の領域における口頭的証拠の評価の議論
3 質問に対する口頭的証拠の評価指標
4 実証的手続における質問を用いた監査要点の立証構造
5 おわりに
第5章 追及型質問と反証の理論
1 問題意識
2 追及型質問の意義
3 追及型質問による監査要点の反証プロセス
4 追及型質問の実施におけるテクニック
5 おわりに
第6章 不適切な監査実務をもたらす質問のリスク要因
1 問題意識
2 監査人の技能と経験からもたらされるリスク
3 監査人の認知バイアスのリスク
4 おわりに
第7章 質問実施上の不備に関するPCAOB検査報告書の分析
1 問題意識
2 データの範囲と分析の視点
3 質問の不備が指摘された監査手続の対象
4 質問の不備をもたらした原因の分析
5 質問と職業的懐疑心
第8章 不適切な質問手続に関するAAERの分析
1 問題意識
2 データの範囲と分析の視点
3 質問の不備が指摘された監査手続の対象
4 質問の不備をもたらした原因の分析
5 監査の失敗と職業的懐疑心
第9章 質問の実施プロセスと職業的懐疑心
1 問題意識
2 質問の実施プロセスの枠組み
3 職業的懐疑心が有する2つの側面
4 質問の各フェーズに適用される職業的懐疑心
5 おわりに
第10章 フェーズ1:思考のフレーミングに基づくアサーションの設定
1 問題意識
2 確証バイアスの意義
3 思考のフレーミング
4 アサーションのフレーミング転換
5 おわりに
第11章 フェーズ2:質問の実施準備とメンタル・モデルの形成
1 問題意識
2 質問にあたっての情報の収集
3 メンタル・モデルの形成
4 質問を実施するための計画の策定
5 おわりに
第12章 フェーズ3:多様な質問技術の活用
1 はじめに
2 質問の実施における環境の構築
3 質問の展開
4 聴くこととノートをとること
5 おわりに
第13章 フェーズ4:回答者の言語および非言語のシグナルを読み解く
1 人が嘘をつくこと
2 監査においてクライアントの虚偽の説明を見抜くことの意義
3 非言語コミュニケーションを読み解く
4 言語コミュニケーションを読み解く
5 嘘のシグナルから口頭的証拠の虚偽を判断すること
6 おわりに
第14章 フェーズ5:口頭的証拠の評価と監査判断
1 3つの種類の質問と監査判断
2 リスク評価手続としての質問のプロセスと監査判断
3 実証手続としての質問のプロセスと監査判断
4 おわりに
第15章 フェーズ6:反証情報と回答の不備に基づく協議
1 口頭的証拠の反証と追及型質問
2 追及型質問による監査要点の反証プロセス
3 回答者の虚偽の説明と認知的負荷
4 追及型質問における戦略的証拠活用法の有効性
5 おわりに
終章 研究の総括と将来の課題