監査意見形成の構造と分析

長吉 眞一

定価(紙 版):4,400円(税込)

発行日:2013/07/19
A5判 / 280頁
ISBN:978-4-502-48600-5

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本の紹介
公認会計士が財務諸表監査を実施し、監査意見を形成する際の重要な概念--監査の目的、内部統制監査、監査計画、組織的監査、監査証拠等のあり方について検証していく。

目次


監査意見形成の構造と分析
目次

 はじめに

序章 本書の目的と構成
 第1節 本書の目的
 第2節 本書の構成

第1章 「第一 監査の目的」の設定の意義
 第1節 はじめに
 第2節 財務諸表監査とその周辺業務との異同
  1 財務諸表監査とコンサルティング業務との異同
  2 監査人と他の専門職業人との異同
 第3節 「第一 監査の目的」の意義と構造
  1 「第一 監査の目的」の意義
  2 「第一 監査の目的」の構造
 第4節 「第一 監査の目的」の位置づけ
 第5節 むすび

第2章 期待ギャップ縮小のための方策
 第1節 はじめに
 第2節 利害関係者を啓蒙する方策
 第3節 監査基準の改訂と監査対象を拡大する方策
  1 監査基準の改訂
  2 監査対象を拡大する方策の具体例 ……ほか
 第4節 2つの方策の併用
 第5節 むすび

第3章 財務諸表監査と内部統制監査との異同
 第1節 はじめに
 第2節 適正性監査と有効性監査
 第3節 財務諸表監査と内部統制監査の特徴
  1 静的な取引の検証と動的な活動の検証
  2 取引記録の監査と内部統制の監査
 第4節 公認会計士法の改正
 第5節 むすび

第4章  リスク・アプローチにおける監査計画の理論的意義
 第1節 はじめに
 第2節 従来の監査計画の意義
 第3節 リスク・アプローチと監査計画
  1 リスク・アプローチの構造
  2 リスク・アプローチにおける監査計画 ……ほか
 第4節 リスク・アプローチにおける監査計画の意義
  1 5つの報告書とリスク・アプローチ
  2 監査計画の理論的意義の再構築
 第5節 むすび

第5章  監査計画の策定における監査上の重要性の取扱い
 第1節 はじめに
 第2節 リスク・アプローチにおける監査計画の特徴
 第3節 リスク・アプローチにおける監査計画の策定要件
 第4節 監査上の重要性
  1 重要性に関するJICPAの見解
  2 監査計画策定要件と監査上の重要性
 第5節 むすび

第6章  監査計画策定の効果と監査人の全般的な対応
 第1節 はじめに
 第2節 経営者不正と監査人の対応
  1 経営者不正の特徴
  2 監査人による経営者不正への対応
 第3節 監査計画策定の効果
  1 2種類の監査計画策定の効果
  2  リスク・アプロ-チの適用にともなって新たに発生した
     監査計画策定の効果
 第4節 RMMと〔効果①〕および〔効果②〕
  1 RMMと〔効果①〕
  2 RMMと〔効果②〕
 第5節 むすび

第7章 組織的監査概念の拡大
 第1節 はじめに
 第2節 組織的監査の要請と組織的監査要綱
  1 組織的監査の要請
  2 組織的監査要綱
 第3節 「監査の品質管理」の意義
  1 2種類の監査の品質管理
  2 不正リスクに対応した監査事務所の品質管理
 第4節 監査意見の審査と監査計画
  1 組織的監査概念の事後的拡大
  2 組織的監査概念の事前的拡大 ……ほか
 第5節 むすび

第8章  監査要点,監査証拠,意見表明の基礎の相互関係
 第1節 はじめに
 第2節 監査証拠
  1 監査証拠の意義
  2 十分かつ適切な監査証拠
 第3節 監査要点と財務諸表の適正性の立証
  1 勘定科目への分解と監査要点への分割
  2 監査要点の立証 ……ほか
 第4節 検出事項と財務諸表の適正性
  1 検出事項の集計結果と勘定科目の適正性
  2 検出事項の再集計結果と財務諸表の適正性 ……ほか
 第5節 むすび

第9章 監査証拠の三面性
 第1節 はじめに
 第2節 監査証拠の意義
  1 監査要点の立証と監査証拠
  2 十分かつ適切な監査証拠と虚偽表示のリスク
 第3節 財務諸表項目の監査における監査証拠
  1 財務諸表項目の適正性の立証
  2 会計上の見積りの監査
 第4節 取引記録の監査における監査証拠
  1 取引記録の監査の特徴
  2 内部統制の有効性の検討
 第5節 むすび

第10章  「意見表明の基礎」と「合理的な保証」との関係
 第1節 はじめに
 第2節 意見表明の基礎と財務諸表監査の限界
  1 意見表明の基礎
  2 財務諸表監査の限界 ……ほか
 第3節 監査人が得る心証としての「合理的な保証」
  1 意見表明の基礎と「合理的な保証」
  2 保証と心証
 第4節 利害関係者に与える保証としての「合理的な保証」
 第5節 むすび

第11章 意見表明の基礎の確立と監査意見
 第1節 はじめに
 第2節 財務諸表の適正性と意見表明の基礎
 第3節 意見表明の基礎の確立要件
  1 重要性の基準値と手続実施上の重要性
  2 監査リスクと意見表明の基礎 ……ほか
 第4節 意見表明の基礎の展開
  1 監査意見と意見表明の基礎
  2 意見表明の禁止と意見表明のための基礎 ……ほか
 第5節 むすび

補章 監査領域の拡大と監査業務の変容
 第1節 はじめに
 第2節 監査領域の拡大
  1 会計処理と監査領域
  2 監査領域拡大の態様 ……ほか
 第3節 監査業務の変容
  1 監査業務変容の意義
  2 監査業務変容の態様
 第4節 拡大・変容と監査人の新たな役割
 第5節 むすび

結章 本書のまとめと今後の課題
 第1節 本書のまとめ
  1 本書の構造と論理モデル式
  2 監査基準改訂の方向性 ……ほか
 第2節 今後の課題

 ■参考文献

 ■索  引



著者プロフィール 長 吉 眞 一






















著者紹介

長吉 眞一(ながよし しんいち)
[プロフィール]
明治大学名誉教授。博士(商学)。公認会計士。
1980年明治大学大学院商学研究科博士後期課程単位修得満期退学。大手の監査法人に勤務し,約20年間にわたって大企業の財務諸表の監査業務に従事した後,九州大学助教授,立正大学教授を経て,2005年ー2021年明治大学専門職大学院会計専門職研究科教授。2006年ー2008年度公認会計士試験試験委員,文部科学省独立行政法人評価委員会委員, 日本公認会計士協会各種委員会委員,金融庁公認会計士試験実施検討委員会委員等を歴任。

[主な著作]
『監査意見形成の構造と分析』(2014年度日本公認会計士協会学術貸ー会員特別賞受賞)
『監査一般基準論』(2005年度日本監査研究学会監査研究奨励賞受賞)
『監査基準論』(以上,いずれも単著,中央経済社)