- 本の紹介
- 近年管理会計がダイナミックに変貌しているのはなぜか。本書は、理論のみならず、旭有機材、東芝、花王、トヨタ等へのインタビュー調査等もまじえて解明する研究書。
目次
メルコ学術振興財団研究叢書7
管理会計の変革
―情報ニーズの拡張による理論と実務の進展
目次
序 章 「情報ニーズの拡張と管理会計の変容」に関する研究視座
Ⅰ 問題意識
Ⅱ 研究アプローチ
第Ⅰ部 経営管理用具としての伝統的管理会計の発展
第1章 情報ニーズの拡張と直接原価計算の変容
Ⅰ はじめに
Ⅱ 説明モデル
Ⅲ 情報ニーズの拡張要因
Ⅳ 変容のモデレータとしての情報技術の制約
─情報の作成コストと利用コスト
Ⅴ おわりに
第2章 管理者の権限および責任の変化と責任会計論の変容
─事業部制組織への移行を中心に
Ⅰ はじめに
Ⅱ 分析対象
Ⅲ 分析モデル
Ⅳ 情報ニーズ拡張の要因
第3章 戦略計画と予算管理の関係の変容
Ⅰ はじめに
Ⅱ 予算管理の枠組みとその変容
Ⅲ 修正された枠組みにおける戦略計画
Ⅳ おわりに
第4章 製造環境変化による情報ニーズの拡張と設備投資
キャッシュ・フロー予測の変容
Ⅰ はじめに
Ⅱ 設備投資キャッシュ・フロー予測の分析
Ⅲ 変容のプロセス
Ⅳ おわりに
第5章 電子商取引の発展と営業費会計の変容
Ⅰ はじめに
Ⅱ 電子商取引の発展とインターネット通信販売の拡大
Ⅲ 営業費会計の変容とその要因
第6章 マス・カスタマイゼーション戦略のもとでの情報ニーズの
拡張と原価企画の変容
Ⅰ はじめに
Ⅱ 企業環境の変化と戦略の変化との関係(アメリカ)
Ⅲ 企業環境の変化と戦略の変化との関係(日本の自動車産業)
Ⅳ 情報ニーズの拡張─マス・カスタマイゼーション戦略のために
必要な情報
Ⅴ 管理会計の変容
Ⅵ 情報技術の発展の影響
Ⅶ 会計技術の進歩の貢献の可能性
Ⅷ 管理会計システムが意図する成果に組織構造が与える影響
Ⅸ おわりに
第Ⅱ部 企業経営ニーズによる新たな管理会計の出現と発展
第7章 環境会計分野における情報ニーズの拡張と管理会計の変容
Ⅰ はじめに
Ⅱ 環境会計出現の歴史的背景
Ⅲ 環境会計ガイドライン
Ⅳ 環境管理会計手法ワークブック
Ⅴ おわりに
第8章 サプライチェーン管理会計の拡張と変容
Ⅰ はじめに
Ⅱ サプライチェーン・マネジメント(SCM)の発展過程
Ⅲ サプライチェーン管理会計(SCMA)の変容と導入要因
Ⅳ おわりに
第9章 M&Aに基づくブランドマネジメント活動と会計情報ニーズの
拡張
Ⅰ はじめに
Ⅱ ブランドマネジメントに関する実務と研究
Ⅲ ブランド価値測定・評価の方法と管理会計上の課題
Ⅳ おわりに
第10章 ABC的原価計算実務への変容過程
─日米サービス組織の経験から
Ⅰ はじめに─問題設定
Ⅱ 鉄道原価計算の改定(1960年代後半)
Ⅲ American Bankにおける原価計算の変容(1970年代末)
Ⅳ おわりに
第Ⅲ部 日本企業における管理会計の変容
第11章 管理会計技法の導入事例─旭有機材工業の事例
Ⅰ はじめに
Ⅱ 旭有機材工業株式会社の概要
Ⅲ 本格的な管理会計技法の導入
Ⅳ 変容のモデル
Ⅴ おわりに
第12章 全体最適達成に向けた管理会計への変容─東芝の事例
Ⅰ はじめに
Ⅱ 東芝の概要
Ⅲ 東芝の管理会計
第13章 サプライチェーン管理会計の実践的取組みとその変容過程
─花王の事例
Ⅰ はじめに
Ⅱ サプライチェーン・マネジメントの特長
Ⅲ サプライチェーン管理会計の実態
Ⅳ おわりに
第14章 ブランドマネジメントに資する管理会計情報の拡張
─花王のケースを中心に
Ⅰ はじめに
Ⅱ ブランドマネジャー制の導入
Ⅲ 花王のブランドマネジャー制における予算管理
Ⅳ おわりに─花王のケースからの示唆
第15章 業績管理会計の漸進的・革新的変容の論理
─ソニーの経験から
Ⅰ はじめに─問題設定
Ⅱ なぜ財務会計と管理会計が劇的に分離するのか?
Ⅲ 連結管理会計への革新的変容─管財一致が目指された瞬間
Ⅳ おわりに─ソニーの経験から何を学ぶか?
第16章 原価管理の進展による管理会計の変容─トヨタの事例
Ⅰ はじめに
Ⅱ トヨタの概要
Ⅲ 管理会計をめぐる概況
Ⅳ おわりに
終 章 結論と今後の展望
Ⅰ 結 論
Ⅱ 今後にむけて
索 引
著者プロフィール
◆編著者紹介
中村 博之(なかむら ひろゆき)
横浜国立大学大学院教授 商学修士(一橋大学)
1960年生 青森県青森市出身
1985年 横浜国立大学経営学部卒業
1989年 一橋大学大学院商学研究科博士後期課程中退
同 年 富山大学経済学部助手
1990年 同 講師
1992年 同 助教授
1994年 横浜国立大学経営学部助教授
2001年 ポワチエ大学外国人招聘助教授
2004年 横浜国立大学経営学部教授
2005年 ポワチエ大学外国人招聘教授
2012年 ポー大学外国人招聘教授
現在,日本会計研究学会評議員,日本原価計算研究学会常任理事
〈主要業績〉
『企業経営の財務と会計』(蜂谷豊彦氏との共著)朝倉書店,2001年。
「設備投資における固定費キャッシュ・フローの予測」『會計』第178巻第2号(2010年8月)。
高橋 賢(たかはし まさる)
横浜国立大学大学院教授 博士(商学,一橋大学)
1968年生 長崎県諫早市出身
1991年 一橋大学商学部卒業
1996年 一橋大学大学院商学研究科博士後期課程単位修得退学
同 年 千葉大学法経学部講師
1998年 同 助教授
2000年 横浜国立大学経営学部助教授
2004年 ポワチエ大学外国人招聘助教授
2005年 日本簿記学会学会賞受賞(泉宏之氏,原俊雄氏と共同受賞)
2011年 横浜国立大学大学院国際社会科学研究科教授
現在,会計検査院特別研究官,日本原価計算研究学会理事
〈主要業績〉
『直接原価計算論発達史 米国における史的展開と現代的意義』中央経済社,2008年。
「産業クラスターへの管理会計の応用〜BSCの適用可能性」『企業会計』第63巻第10号(2011年10月)。
- 担当編集者コメント
- 本書では、以下の内容について、理論研究のみならず企業へのインタビュー調査をもとに検討をしています。
① 過去において情報ニーズへの対応のために、個別の管理会計領域でどのように管理会計変容のダイナミックな展開があったのかを過去に遡って解明すること
② その背後にあった企業における情報ニーズの拡張の具体的検討
③ ①②の研究成果を受けて、これらを管理会計システム全体の構図の中で、現在と将来の明示的あるいは暗示的な情報ニーズの変化に対し、どのような管理会計システムの対応が行われるかについて明確にすること
管理会計の変革における現代的意義と将来の方向性を提示する研究者、実務家の必読書です。
(2021年1月より,「公益財団法人メルコ学術振興財団」は「公益財団法人牧誠財団」に名称変更いたしました。)