牧誠財団研究叢書22/経営者報酬の理論と実証

濵村 純平 編著
井上 謙仁 編著
早川 翔 編著

定価(紙 版):4,730円(税込)

発行日:2024/11/21
A5判 / 248頁
ISBN:978-4-502-51731-0

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本の紹介
「日本企業の経営者報酬はどう決まっているのか?」を実態調査や大規模データによる実証分析から明らかにした研究書。自社の経営者報酬を決定する際にも役立つ。

目次

序章 日本企業の経営者報酬はどう決まっているのか?-先行研究と本書の構成-

[第Ⅰ部] 経営者報酬決定に関わる理論

第1章 日本の経営者報酬の開示制度と決定プロセス
第2章 経営者報酬研究を支える業績評価の理論
第3章 経営者報酬契約での目標設定に関わる先行研究

[第Ⅱ部] 日本企業の経営者報酬契約に関する実態調査

第4章 相対的業績評価の利用実態
第5章 日本企業での非財務指標の利用例
第6章 経営者報酬の没収-日本企業でのクローバック条項の事例-
第7章 中小企業における経営者報酬の決定要因

[第Ⅲ部] 日本企業の経営者報酬契約に関する実証研究

第8章 出る杭は打たれる? 日本企業の経営者報酬のベンチマーク
第9章 日本企業における相対的業績評価の利用度-テキストベースの業種分類による分析-
第10章 幸運と報酬-日本における証拠-
第11章 製品市場の競争と経営者報酬

著者紹介

濵村 純平(はまむら じゅんぺい)
[プロフィール]
関西学院大学商学部准教授
2017年3月に神戸大学大学院経営学研究科にて博士(経営学)取得。2017年4月より桃山学院大学経営学部講師、2020年10月より同大学准教授を経て、2024年4月より現職。

井上 謙仁(いのうえ けんと)
[プロフィール]
近畿大学経営学部准教授
2018年3月に大阪市立大学大学院経営学研究科にて博士(経営学)取得。2018年4月より大阪市立大学大学院経営学研究科特任講師、2019年4月より近畿大学経営学部特任講師、2021年4月より同大学講師を経て、2023年4月より現職。

早川 翔(はやかわ しょう)
[プロフィール]
流通科学大学商学部准教授
2019年3月に神戸大学大学院経営学研究科にて博士(経営学)取得。2019年4月より流通科学大学商学部講師、2022年4月より現職。

担当編集者コメント
「日本企業の経営者報酬(役員報酬)はどう決められているのか!?」

実際のところ、最近までよくわかっていませんでした。しかし、近年の法令等の改正によって、上場企業においては経営者報酬の決定方法の詳細な開示が求められることとなりました。これによって、ブラックボックスだったその決定プロセスが、徐々に明らかになりつつあります。

関西学院大学の濵村純平准教授を中心とする研究チームは、「経営者報酬の決め方」に関するエビデンスを求めて、有価証券報告書から抽出したテキストデータによる実態調査やケース研究、大規模データを利用した統計的な実証研究等を2022年から開始し、経営者報酬契約に関する多くのエビデンスを明らかにし、本書にまとめました。

濵村先生らの研究チームが明らかにしたエビデンスの一端をご紹介しましょう(括弧内は本書で取り上げている章)。
・相対的業績評価の利用を明示している企業は少ない(第4章)
・報酬の返還を求める「クローバック条項」の導入が近年進んでいる(第6章)
・中小企業の経営者報酬決定は、上場企業と異なるケースがある(第7章)
・他社の経営者報酬を、自社の経営者報酬のベンチマークとして利用する傾向がある(第8章)
・経営者の能力と関係のない「幸運」にも経営者報酬は影響を受ける(第10章)
・市場競争が激しい企業の場合、報酬契約と連動する指標に株価よりも利益を使う傾向がある(第11章)
…etc.


実際はまだ詳細な開示をしていない企業も少なくないようですが、そうした企業こそ、本書が参考になるのではないでしょうか。
研究者はもちろん、実務家の方にも手に取っていただきたい1冊です。