牧誠財団研究叢書25/統合報告・統合思考による企業価値創造

内山 哲彦

定価(紙 版):5,720円(税込)

発行日:2025/12/16
A5判 / 304頁
ISBN:978-4-502-56211-2

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本の紹介
統合報告と統合思考が企業価値創造に貢献するプロセスを、管理会計等の企業内部メカニズムとコーポレート・ガバナンスや社会課題解決等の企業外部メカニズムを関連づけて事例を交えて解明。

目次

序章 統合報告・統合思考と企業価値創造
第1節 本書の背景
第2節 本書の目的
第3節 企業価値創造とは
第4節 統合報告の考え方や取り組みが果たす役割
第5節 本書の構成
第6節 おわりに

第Ⅰ部 経営管理・管理会計を通じた統合報告・統合思考による企業価値創造
第1章 統合報告の目的と統合報告・統合思考の循環

第1節 はじめに
第2節 「結合性」の意義
第3節 手段としての「結合性」と目的としての「結合性」
第4節 統合思考の役割と位置づけ
第5節 統合報告・統合思考と経営管理とのかかわり
第6節 統合報告による経営管理への効果と課題
第7節 「結合性」と管理会計―BSC・戦略マップを視点に―
第8節 おわりに

第2章 統合報告・統合思考と管理会計―2つの研究視点―
第1節 はじめに
第2節 統合報告の歴史
第3節 統合報告の背景と,類似した取り組み
第4節 統合報告と管理会計に関する2つの研究視点
第5節 統合報告の実施に向けた管理会計研究のかかわりと有用性
第6節 統合報告の実施による経営管理,管理会計への影響と効果
第7節 おわりに

第3章 統合報告を用いたインタンジブルズによる企業価値創造―人的資産を題材に―
第1節 はじめに
第2節 統合報告における外部報告と内部管理の関係
第3節 管理会計における人の捉え方
第4節 経営管理における人的資産の持つ意味の変化
第5節 企業価値創造にかかわる人的資産とその管理
第6節 企業価値創造と人
第7節 企業事例―伊藤忠商事株式会社の統合報告書―
第8節 おわりに

第4章 人的資源会計,バランスト・スコアカード,統合報告
第1節 はじめに
第2節 人的資源会計と測定・管理・報告
第3節 人的資源会計,BSC,統合報告
第4節 課題―画一性・規格性と多様性・独自性―
第5節 おわりに

第5章 多様な企業目的を前提とした戦略形成と統合報告
第1節 はじめに
第2節 日本企業における戦略形成プロセス
第3節 多様なステークホルダーの存在と戦略形成プロセス
第4節 戦略形成に作用する2つのガバナンス
第5節 研究課題
第6節 質問項目
第7節 事例研究―オムロン株式会社―
第8節 考  察
第9節 補論―その他の日本企業の事例―
第10節 おわりに

第Ⅱ部 コーポレート・ガバナンス,社会課題解決を通じた統合報告・統合思考による企業価値創造
第6章 企業価値創造に向けたコーポレート・ガバナンスの枠組みと統合報告の目的

第1節 はじめに
第2節 企業の意義と諸側面
第3節 企業価値の構成要素
第4節 コーポレート・ガバナンスの意義と枠組み
第5節 統合報告の役割と課題
第6節 管理会計の役割と課題―統合報告をベースに―
第7節 おわりに

第7章 日本におけるカバナンス改革と新しいステークホルダー資本主義―そこでの統合報告の役割―
第1節 はじめに
第2節 研究の背景と目的
第3節 統合報告と資本主義の形態
第4節 資本主義の形態とその変化
第5節 日本経済と日本企業への圧力
第6節 日本におけるコーポレート・ガバナンス改革と資本主義形態の変化
第7節 アメリカにおける資本主義形態の変化と非財務情報の基準をめぐる競争
第8節 おわりに

第8章 コーポレート・ガバナンスと統合報告,管理会計の役割
第1節 はじめに
第2節 ガバナンスと経営管理
第3節 経済基盤の変容と企業経営
第4節 コーポレート・ガバナンスとその改革
第5節 2つのコード(改訂版)と管理会計とのかかわり,「トリプル・ループ・モデル」
第6節 グループ経営におけるガバナンスと管理会計
第7節 おわりに

第9章 企業観の変化と統合報告の実践
第1節 はじめに
第2節 非財務情報と価値観
第3節 伝統的な企業観と,その変化・収斂と企業報告
第4節 企業観と統合報告実践の類型化
第5節 おわりに

第10章 SDGs マネジメントと統合報告―日本企業の経営実務をベースに―
第1節 はじめに
第2節 SDGsの意義と企業経営
第3節 SDGsマネジメントとそのための基盤
第4節 SDGsマネジメントのフレームワーク
第5節 SDGsマネジメントの課題
第6節 おわりに

終章 本書の結論,貢献,課題
第1節 本書のまとめと結論
第2節 本書の貢献
第3節 本書の課題と今後の展望

著者紹介

内山 哲彦(うちやま あきひこ)
[プロフィール]
青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授
博士(商学)(慶應義塾大学)
1971年 東京都に生まれる。1995年 慶應義塾大学商学部卒業,2001年 慶應義塾大学大学院商学研究科後期博士課程単位取得退学。千葉大学法経学部専任講師・准教授,同大学大学院社会科学研究院教授等を経て,2023年より現職。2021~2022年 ハーバード大学ウェザーヘッド国際問題研究所アカデミックアソシエイト。日本管理会計学会副会長。

[主な著作]
『インタンジブルズの管理会計』(中央経済社,2012年)
『企業グループの管理会計』(中央経済社,2017年)
「企業の社会性・人間性と企業価値創造―統合報告と管理会計の役割―」『管理会計学』(第23巻第2号,2015年)
「ガバナンス改革と管理会計」『国際会計研究学会 年報』(2019年度第1・2合併号,2020年)
「財務・非財務尺度による人的資産にかかわる測定・管理と価値創造」『會計』(第199巻第2号,2021年)
“How the United States and Japan Are Coping with the New Stakeholder Capitalism from Different Standpoints,” Occasional Paper Series, Program on U.S.‒Japan Relations, Weatherhead Center for International Affairs, Harvard University, 2022.