業界分析組織の経済学―新制度派経済学の応用
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- 経営学・経済学両分野において急速に発展してきた新制度派経済学の理論的アプローチを用いて、わが国のさまざまな業界の組織や戦略を分析。業界の特徴や課題を明らかにする。
目次
組織の経済学
目次
はしがき
序 章 本書の目的,理論,構成
1 本書の目的
2 戦略と組織の新制度派経済学アプローチ
2.1 新制度派経済学の3つの特徴
2.2 戦略と組織の取引コスト理論
2.3 戦略と組織のエージェンシー理論
2.4 戦略と組織の所有権理論
3 本書の構成
3.1 オールド・エコノミーをめぐる新制度派経済分析
3.2 ニュー・エコノミーをめぐる新制度派経済分析
3.3 新しい動きをめぐる新制度派経済分析
第?部 オールド・エコノミーをめぐる新制度派経済分析
第1章 マス・メディアの比較制度分析
1 はじめに
2 取引コスト理論からみたマス・メディア
2.1 コースの取引コスト理論
2.2 ウィリアムソンの取引コスト理論
2.3 取引コスト節約制度としてのマス・メディア
3 3つのマス・メディアの制度的特徴
3.1 新聞について
3.2 テレビについて
3.3 インターネットについて
3.4 3つのマス・メディアの制度的特徴のまとめ
4 マス・メディアの比較制度分析
4.1 「データ」をめぐるマス・メディアの比較制度分析
4.2 「情報」をめぐる比較制度分析
4.3 「知識」をめぐる比較制度分析
5 結 語
第2章 化学工業におけるイノベーションの取引コスト理論分析
1 はじめに
2 日本の化学工業に対する従来の見方とその限界
2.1 日本の化学工業に関するイメージと実体
2.2 化学工業に関する従来の分析
2.3 従来の見方の限界:機能性化学品に焦点をあてた見方
3 取引コスト理論とイノベーションと企業の境界問題
3.1 新古典派経済学の議論
3.2 コースの取引コスト理論と企業の境界
3.3 ウィリアムソンの取引コスト理論とイノベーションと企業の境界
4 なぜ日本の機能性化学品が高いシェアをしめることになったのか
4.1 一般的な説明
4.2 日本の化学工業の取引コスト理論分析
5 結 語
第3章 酒類業界の組織戦略をめぐる比較制度分析
1 はじめに
2 組織戦略の取引コスト理論分析
2.1 取引コスト理論
2.2 多角化戦略の取引コスト理論分析
2.3 多角化と企業の境界
3 酒類メーカーの組織戦略をめぐる取引コスト理論分析
3.1 事業部制組織戦略
3.2 カンパニー制組織戦略
3.3 2つの組織戦略の一般的意味
4 結 語
第?部 ニュー・エコノミーをめぐる新制度派経済分析
第4章 コンサルティング・ファームの比較制度分析
1 はじめに
2 コンサルティング業界の歴史
2.1 日米コンサルティング・ファームの起源
2.2 米国の現状
2.3 日本の現状
3 コンサルティング業界に存在する3つのファーム・グループと
その特徴
3.1 戦略系ファーム
3.2 IT系ファーム
3.3 総合系ファーム
4 コンサルティング業界の取引コスト理論分析
4.1 コースの取引コスト理論とコンサルティング業界の存在
4.2 ウィリアムソンの取引コスト理論
5 経験的事例研究
5.1 IBMによるPwCC買収の分析1
5.2 IBMによるPwCC買収の分析2
5.3 IBMによるPwCC買収の分析3
6 結 語
第5章 ヘッジファンドのエージェンシー理論分析
1 はじめに
2 ヘッジファンドの概況とその問題点
2.1 ヘッジファンドの特徴
2.2 ヘッジファンドの現状とその問題点
3 ヘッジファンドをめぐるエージェンシー問題
3.1 エージェンシー理論
3.2 シュライファー=ビシュニーの先行研究
3.3 ヘッジファンドをめぐるもう1つのエージェンシー問題
3.4 ヘッジファンド業界のエージェンシー問題―その具体例
4 ヘッジファンドをめぐるエージェンシー問題の解決(1)
―規制論の限界
4.1 ヘッジファンドをめぐる規制強化論
4.2 ヘッジファンドをめぐる規制強化の限界
4.3 ヘッジファンド規制をめぐるエージェンシー理論分析
5 ヘッジファンドをめぐるエージェンシー問題の解決(2)
―最適な規制の形態
5.1 ヘッジファンド規制の諸形態
5.2 3つの規制方法の批判的検討
5.3 最適な規制形態
6 結 語
第6章 ベンチャーキャピタルをめぐるエージェンシー理論分析
1 はじめに
2 ベンチャーキャピタルをめぐる2つのエージェンシー関係
3 ベンチャーキャピタルとベンチャー企業間のエージェンシー
理論分析
3.1 1990年半ばまでの第2のエージェンシー関係
3.2 1990年半ば以降の第2のエージェンシー関係
3.3 ベンチャー企業をめぐるエージェンシー問題の解決案
4 ファンド出資者とベンチャーキャピタルのエージェンシー理論分析
4.1 米国のベンチャーキャピタルをめぐる第1のエージェンシー
関係
4.2 日本のベンチャーキャピタルをめぐる第1のエージェンシー
関係
4.3 ベンチャーキャピタルをめぐるエージェンシー問題の解決案
5 結 語
第?部 最新の動きをめぐる新制度派経済分析
第7章 ナレッジ・マネジメントの取引コスト理論分析
1 はじめに
2 従来のナレッジ・マネジメントの問題点
3 新しいナレッジ・マネジメントの理論的研究
3.1 取引コスト理論からみたナレッジ・マネジメントの企業観
3.2 企業が扱う4つの知識
3.3 洗練されたナレッジ・マネジメント
4 洗練されたナレッジ・マネジメントの経験的妥当性
5 結 語
第8章 企業の情報システム化をめぐる比較制度分析
1 はじめに
2 情報システム化の3つの方法
3 情報システム化の比較制度分析
3.1 コースの考え
3.2 ウィリアムソンの考え
3.3 情報システム化の比較制度分析
4 情報システム化失敗の分析
4.1 内部組織化失敗の分析
4.2 分社化失敗の分析
4.3 アウトソーシング失敗の分析
5 結 語
第9章 コーポレート・ガバナンスの所有権理論分析
1 はじめに
2 なぜ企業は存在するのか―ラマルク主義とダーウィン主義
3 企業を効率的に統治できるのは誰か
3.1 完全合理性の世界と絶対的単一所有
3.2 限定合理性の世界と絶対単独統治不可能性のテーゼ
3.3 状況依存的ステイクホルダー論
4 日米独のコーポレートガバナンスをめぐる現状
4.1 ドイツの企業統治
4.2 米国の企業統治
4.3 日本の企業統治
5 結 語
結 章 多元論的マネジメントに向けて
1 知識資産の時代
2 ポパーの多元論的実在論
3 多元論的実在論にもとづくマネジメントの重要性
索 引
著者プロフィール
【編著者紹介】
菊澤 研宗(きくざわ けんしゅう)
慶応義塾大学商学部・大学院商学研究科教授
1981年 慶應義塾大学商学部卒
1986年 慶応義塾大学大学院商学研究科博士課程修了
1988年 防衛大学校社会科学教室専任講師・助教授
1993年 ニューヨーク大学スターン経営大学院客員研究員
1998年 商学博士(慶応義塾大学)
1999年 防衛大学校社会科学教室・総合安全保障研究科教授
2002年 中央大学大学院国際会計研究科(アカウンティングスクール)
教授
2006年 慶応義塾大学商学部・大学院商学研究科教授,現在に至る
主要著書
『比較コーポレート・ガバナンス論』(第1回経営学史学会賞)有斐閣(単著)2004年
『組織の不条理』ダイヤモンド社(単著)2000年
『日米独組織の経済分析』文眞堂(単著)1998年
『企業統治構造の国際比較』ミネルヴァ書房(共著)2003年
『企業統治の国際比較』文眞堂(共著)2000年
『コーポレート・ガバナンス』中央経済社(共著)1995年
主要論文
「組織の不条理―限定合理性からのアプローチ」『ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レヴュー』2001年6月号:149-152頁。
「クラウゼヴィッツか リデル・ハートか」『ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レヴュー』2005年4月号:82-95頁。
「リーダーの心理会計」『ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レヴュー』2006年2月号:94-108頁。
e-mail: kikuzawa@fbc.keio.ac.jp
http://homepage3.nifty.com/kikuzawa/