モノづくり企業の技術経営―事業システムのイノベーション能力
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- 技術力・生産ラインや従業員の勤勉さは好調時と変わらないものの、低迷するモノづくり企業を回復させる方策が、技術力を活かす事業システムのイノベーション能力にあることを実証的に示唆。
目次
モノづくり企業の技術経営
―事業システムのイノベーション能力
目次
序 章 日本のモノづくり企業が置かれた現状
1 日本のモノづくりの現状
(1)モノづくりの主力産業の推移
(2)電機産業と自動車産業の動向
2 日本企業のモノづくりのマネジメント
第Ⅰ部 技術と事業競争力に関する基礎的考察
第1章 モノづくりビジネスの困難性
1 モノづくりを困難にする3つの要因
2 経営スピードを競う時代
(1)時間を重要視するに至った背景
(2)経営のスピードが求められる場面
(3)投資と市場のタイムスパンのアンバランス ……ほか
3 技術と価格との相関関係の希薄化
(1)利益獲得の源泉の多様化
(2)携帯電話ビジネスと端末機メーカー
(3)サービスの収益化
4 技術力の向上がもたらすパラドックス
(1)低価格品を造れない日本企業
(2)携帯端末や白物家電にみる現状
(3)低価格品を造ることの困難さ
5 小括
第2章 技術イノベーションと製品ライフサイクル
1 イノベーションの基礎理論
(1)イノベーション・プロセス
(2)技術イノベーションの分類
(3)技術イノベーションの発生パターン
2 技術イノベーションと製品ライフサイクルとの関係
(1)製品のライフサイクル
(2)パソコンのドミナント・デザインの確立
(3)ドミナント・デザインの形成プロセス
3 断続的イノベーションがもたらすインパクト
(1)断続的イノベーションの登場
(2)断続的イノベーションの担い手
(3)既存事業者にとっての困難性
4 アーキテクチャ・イノベーション
(1)市場の成熟期における新たなイノベーション
(2)組立型製品と素材型製品のイノベーションの相違
5 小括
第3章 製品のアーキテクチャとモジュール化
1 アーキテクチャとモジュールの概念
(1)日本のモノづくりの強さの源泉
(2)モジュール化とは何か
(3)アーキテクチャの概念
2 モジュール型のモノづくり
(1)モジュール化の利点
(2)モジュール化の進展に伴う収益源の移行
(3)完成品と部品からアーキテクチャとモジュールの設計へ
3 デジタル技術への転換とモジュール化の促進
(1)日本の中小工場の衰退
(2)中小企業でも造れるデジタル製品の隆盛
4 小括
第4章 経済性と事業システム
1 企業における経済性の実現
(1)競争優位性と経済性
(2)規模の経済性
(3)範囲の経済性 ……ほか
2 家庭用テレビゲーム産業と経済性
(1)テレビゲーム事業の勃興
(2)事業成長の原動力としての外部経済性
(3)互換性の確保が事業に及ぼす影響 ……ほか
3 米国企業における経済性の発揮
(1)日米企業の経営行動の相違
(2)IBMの変身
(3)ビッグ3の凋落 ……ほか
4 小括
第Ⅱ部 新たなモノづくり時代の技術経営
第5章 経営スピードの実現
1 戦略的焦点の明確化
2 業界時計とスピードのコントロール
(1)業界時計をコントロールする要因
(2)コンピュータ業界における時計の針
(3)デルの競争力の源泉 ……ほか
3 経営スピードの焦点化
(1)キョウデンのプリント基板事業
(2)イビデンのプリント基板事業
(3)ユー・エス・エス(USS)の中古車オークション事業
4 事例を通じた考察
(1)スピードを求める場所の焦点化
(2)組織の凝集性を活用した事業の仕組みづくり
5 小括153
第6章 スキルと競争優位性
1 素材・機械・人間の融合
2 中小企業のケース分析
(1)樹研工業
(2)三プレシジョン
(3)2社のケースの比較
3 競争力の源泉としてのスキル
(1)スキルの意義と役割
(2)スキルの概念
4 スキルの多様性と変容
(1)スキルの多様性
(2)組立作業におけるスキルの変容
5 金属熱処理工場におけるスキル
(1)金属熱処理工場における競争優位性
(2)熱処理作業の流れと生産管理システム
(3)QCDの確保とスキル ……ほか
6 小括
第7章 市場のグローバル化とニッチ企業
1 グローバル化の変容
(1)地球規模市場への拡大
(2)日本企業の成長と現在の置かれた状況
2 トヨタ自動車のグローバル化行動
(1)自動車の海外生産と現地化プロセス
(2)トヨタ自動車における現地化行動
(3)世界市場における新製品の同時立上げ
3 ニッチ企業の探求
(1)グローバルニッチ企業の成長
(2)中小企業にとってのグローバルニッチ市場の拡大
4 グローバルニッチ企業へ向けた3つのマッチング
(1)市場ニーズと技術シーズのマッチング
(2)戦略的焦点とコア能力のマッチング
(3)内部資源と外部資源のマッチング
5 小括
第8章 企業間連携による新事業の創出
1 新事業への取組みと課題
(1)新事業創出に向けた課題
(2)新連携施策の概要
2 新事業開発に潜む困難性
(1)製品開発と新事業の異同
(2)新事業開発の困難性
(3)新連携支援案件の進捗状況の評価 ……ほか
3 企業間の連携を利用した新事業創出のマネジメント
(1)企業間連携を促進するための5つの要因
(2)コア企業による事業戦略の明確化
(3)強者の強みを持ち寄った連携体の構築 ……ほか
4 小括
終章 日本のモノづくり企業の行方
1 議論の要約と3つの課題への対応
(1)ここまでの議論の流れ
(2)3つの課題への対処
2 今後の日本のモノづくりに向けて
(1)モノづくりにおける戦略的焦点
(2)高価格・高機能品市場の開拓
(3)新興国市場の開拓 ……ほか
3 日本企業に求められるイノベーション行動
(1)求められる産業構造の組換え
(2)アーキテクチャ・イノベーションへの取組み
4 結びに代えて
参考文献
索 引
著者プロフィール
山田基成(やまだ もとなり)
1954年岐阜県生まれ。
1982年名古屋大学大学院経済学研究科博士後期課程満期退学。
名古屋大学経済学部助手,専任講師を経て,
現在,名古屋大学大学院経済学研究科准教授。
主要著作
・「21世紀の工場づくりへの挑戦」日本中小企業学会編『中小企業21世紀への展望』同友館,1999年.
・林明夫と共編著『中小企業IT 活用』ぎょうせい,2002年.
・「モノづくりのマネジメント再考―グローバルニッチの探求と事業モデルの再構築―」日本経営学会編『グローバリゼーションと現代企業経営』千倉書房,2004年.