ケイパビリティの組織論・戦略論
- 本の紹介
- ケイパビリティ(競争優位の源泉となる組織の能力)を戦略論と組織論の立場から多角的に検討し、最新のフレームワークを示す。この分野の権威者ティース教授の著名論文の日本語訳を収録。
目次
ケイパビリティの組織論・戦略論
目次
はしがき
第Ⅰ部 ケイパビリティとは何か
第1章 ダイナミック・ケイパビリティの解明
■( 持続的な)企業のパフォーマンスの性質とミクロ的基礎
1 イントロダクション
2 機会,脅威のセンシング(感知)及び形成
ケイパビリティの性質
ミクロ的基礎
3 機会のシージング(活用)
ケイパビリティの性質
4 ミクロ的基礎
製品アーキテクチャとビジネス・モデルの選択
企業境界の選択
補完物と「プラットフォーム」のマネジメント ……ほか
5 脅威とリコンフィギュレーション(再構成)のマネジメント
性質
6 ミクロ的基礎
分権化と準分解可能性の実現
共特化のマネジメント
学習,ナレッジ・マネジメント,コーポレート・ガバナンス ……ほか
7 結 論
第2章 ケイパビリティ論とは何か
■方法と系譜
はじめに
1 分析の方法─問題移動の観点からの問題状況の再構成
2 ケイパビリティ論における問題移動と進化
(1)戦略論の系譜のケイパビリティ論
(2)組織の経済学の系譜のケイパビリティ論
3 ケイパビリティ論の性格と意義
(1)進化経済学の進歩とケイパビリティ論
(2)ケイパビリティ論の課題
おわりに
第3章 ティース理論の変遷
■ダイナミック・ケイパビリティの誕生
はじめに
1 取引コストと内部化
2 ダイナミック・ケイパビリティと学習
3 ダイナミック・ケイパビリティと企業生態系
おわりに
第Ⅱ部 組織とケイパビリティ
第4章 ケイパビリティ論と企業境界
はじめに
1 ケイパビリティ論による企業の境界決定
(1)企業境界の決定要因─2つのケイパビリティ
(2) 企業境界のダイナミクス
─ダイナミック取引コストとダイナミック・ガバナンス・コスト
2 企業境界の歴史的考察─「消えゆく手」仮説
3 企業境界の事例研究
(1)イタリアのプラート産地の事例
(2)わが国の医薬品産業の事例
おわりに
第5章 取引コスト論とケイパビリティ論
■2つの企業観
はじめに
1 企業境界の決定要因
2 ケイパビリティ論の進展
3 企業観の相違
(1)ガバナンス構造としての企業
(2) 学習システムおよび生産段階の共同所有としての企業
(3)企業家精神としての企業
おわりに
第6章 イノベーションとケイパビリティ
■ ダイナミック・ケイパビリティにみるアーキテクチャ
はじめに
1 ケイパビリティとイノベーション論
2 アーキテクチャとケイパビリティ
3 アーキテクチャと企業境界
(1)ビジネスモデルとしてのアーキテクチャ
(2)新たな企業境界の問題
(3) 事例:情報システムにみる新たなアーキテクチャ
おわりに
第Ⅲ部 戦略とケイパビリティ
第7章 戦略論の系譜
■ 資源ベース論からダイナミック・ケイパビリティへ
はじめに
1 資源ベース論の生成と展開
(1)資源ベース論の生成
(2)資源ベース論の展開
2 資源からケイパビリティへ
(1)組織の能力についての代表的な諸研究
(2)1990年代前半の資源ベース論の特徴
3 ダイナミック・ケイパビリティ論と戦略的視点のシフト
(1) レオナルド・バートンによるコア・リジディティ概念
(2)ケイパビリティについての視点のシフト
(3) ティース等によるダイナミック・ケイパビリティ論
おわりに
第8章 企業進化と経営者の戦略的意思決定
■進化経済学から見るケイパビリティ
はじめに
1 ネルソン=ウィンターの問題状況
2 ルーティンから見る経済の進化プロセス
3 ネルソン=ウィンターの問題移動
4 進化経済学の進展とケイパビリティ論─結びにかえて
第9章 ビジネス・グループの制度論的考察
■新たな視角としてのケイパビリティ論
はじめに
1 ビジネス・グループに対する新比較経済学アプローチ
2 ビジネス・グループに対する制度的空白論(取引コスト)
アプローチ
3 ビジネス・グループに対するケイパビリティ論アプローチ
おわりに
著者プロフィール
渡部 直樹(わたなべ なおき)
1949年 神奈川県生まれ
1977年 慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程修了
1975年 慶應義塾大学商学部助手
現 在 慶應義塾大学商学部教授
慶應義塾常任理事
主要著作:
「戦略と構造,そしてケイパビリティ―進化論の観点からの再構成―」
『三田商学研究』第49巻第4号,2006年など。