- 本の紹介
- 日本企業が競って進出しているアジア諸国なかでも中国を中心に、日本企業への課税環境を考察し、移転価格税制やタックスヘイブン税制など日本の国際企業課税を論じる書。
目次
アジア投資からみた日本企業の課税
目次
序 章■本書の目的と構成
1 本書の目的
2 本書の構成
第1部 国際課税と直接投資
第1章■国際課税の基本的仕組み
1 はじめに
2 国際課税問題とは何か
3 国際課税制度の概要
4 居住地国と源泉地国
5 居住者と非居住者
6 国内源泉所得―非居住者の国内経済活動への課税
7 外国税額控除
8 租税条約
9 ワールドワイド方式とテリトリアル方式
第2章■国際課税とタックス・プランニング
1 はじめに
2 タックス・プランニング
3 国際的タックス・プランニング
4 国際的租税回避対策税制
第3章■日本の海外直接投資―統計からみた実態
1 はじめに
2 一国全体の経済活動と海外取引
3 「国民経済計算」の対外取引と国際収支統計
4 海外直接投資の統計上の扱いと問題点
5 日本の海外直接投資の特徴
6 おわりに
第4章■税制の直接投資・利益送金に及ぼす効果―研究展望
1 はじめに
2 税制が海外直接投資に与える影響
3 税制が本国への利益送金に与える影響
4 おわりに―日本における研究への示唆
第2部 アジア諸国における企業課税の動向
第5章■アジア諸国の企業課税―概観
1 はじめに
2 アジア諸国の企業所得課税
3 アジア諸国間の租税条約
4 外国からの投資への優遇措置
5 タックス・プランニングの視点
第6章■アジア諸国の移転価格課税の動向
―日系多国籍企業の対応策と実務上の課題を中心として
1 はじめに
2 移転価格税制の概要
3 アジア諸国における移転価格税制の整備状況
4 アジア諸国における移転価格税制の執行状況
5 日系多国籍企業に望まれる対応策
6 アジア諸国における移転価格に係る実務上の課題
7 税務当局に望まれる今後の対応
8 おわりに
第7章■軽課税国の視点
―シンガポールの法人所得税と投資優遇税制
1 はじめに
2 日本の法人税との主要な異同
3 Income Tax Act における利子・配当・キャピタルゲイン課税の
特色
4 Income Tax Act における主要な租税優遇措置
5 経済拡大奨励法(Economic Expansion Incentives Act)による
主要な租税優遇措置
6 まとめ
第3部 中国の企業課税
第8章■中国における外資系企業の税務上の課題
1 はじめに
2 中国の現行税制
3 中国の税制改正
4 外資系企業の税務上の課題
5 おわりに
第9章■中国の移転価格執行に関する実務上の問題点
1 中国における移転価格税制の導入
2 移転価格調査概説
3 調査対象の選定過程
4 移転価格調査の手順
5 救済措置
6 事前確認(Advance Pricing Agreement または“APA”)
7 日中移転価格問題への取組み
第10章■中国のアンチダンピング課税―ケーススタディ
1 はじめに
2 アンチダンピング関税の概要
3 ダンピングマージンの計算
4 中国アンチダンピング調査
5 ヒドラジン案件の概要
6 アンチダンピング課税が利害関係企業の行動に与える影響
7 おわりに―アンチダンピング課税の適法な回避に係る企業の
挑戦
第4部 国際化と企業課税
第11章■経済の国際化と企業課税改革
1 はじめに
2 アメリカにおける企業課税の実態と改革試案
3 全世界所得課税から国外所得免除に
4 むすびに代えて―日本の選択
第12章■日本企業の配当政策と税制
1 はじめに
2 日本企業の株主構成の変遷と最近の外国人投資家の急増
3 配当政策と税制の理論
4 従来の日本企業の配当政策と配当関連税制の関係
5 海外機関投資家の増加を通じた日本企業の配当政策への影響
6 おわりに
索 引
著者プロフィール
■編著者紹介
田近栄治(たぢか えいじ)
一橋大学 国際・公共政策大学院教授
主要著作等:
『昭和財政史─第6巻租税,昭和27〜48年度』(1990),『年金の経済分析─保険の視点』(1996),『日本の企業課税─中立性の視点による分析』(2000),『昭和財政史─第4巻租税,昭和49〜63年度』(2003),ともに共著,東洋経済新報社。『日本の所得分配─格差拡大と政策の役割』(2006),共編著,東大出版会など。
渡辺智之(わたなべ さとし)
一橋大学 国際・公共政策大学院教授
主要著作等:
『インターネットと課税システム』(2001),『税務戦略入門:タックス・プランニングの基本と事例』(2005),ともに東洋経済新報社など。