環境債務の実務―資産除去債務への対処法
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- 2010年から適用される資産除去債務を代表とする「環境債務」への対応方法を会計制度面のみならず環境評価、調査・浄化や債務の移転手法など金融ビジネスの側面までくわしく解説。
目次
環境債務の実務
■資産除去債務への対処法
目次
はじめに
第?部 グローバル化する環境債務
第1章 企業価値を左右する環境債務
1 環境債務とは
2 外部不経済としての環境の内部化
(1) 環境債務「内部化」の経済学
(2) 財務会計による内部化 ……ほか
3 市場での評価が進む環境債務
(1) NonからExtraへ
(2) 米SOX法によって脚光 ……ほか
4 多様な環境債務の視点
(1)「越境」環境債務
(2) EUの環境債務指令
第2章 米国での資産除去債務(ARO)に関する会計基準の導入
1 FAS143の導入の経緯
2 FAS143における資産除去債務の会計処理の概要
3 資産除去債務の範囲
4 資産除去債務の公正価値による測定
5 資産除去コストの有形固定資産への計上
6 資産除去債務の事後測定及び開示
第3章 国際財務報告基準における資産除去債務(ARO)等の会計
1 IAS37及びIAS16における資産除去債務の会計処理の概要
2 資産除去債務の認識
3 資産除去債務の測定
4 資産除去の有形固定資産への計上
5 資産除去債務の事後測定
6 開 示
7 その他の解釈指針等
第?部 環境債務の実態と課題
第4章 日本の資産除去債務(ARO)に関する会計
1 ARO会計基準の公表の経緯
2 ARO会計基準における資産除去債務の会計処理の概要
3 資産除去債務の範囲
4 資産除去債務の負債計上とその算定
5 除去費用の有形固定資産への計上
6 資産除去債務の事後測定
第5章 日本の環境債務の動向
1 環境債務の範囲と定義
2 土壌汚染
3 アスベスト関連
4 PCB廃棄物関連
5 その他の特別管理廃棄物
6 国内の環境債務の規模
第6章 不動産取引と環境債務の動向
1 不動産市場における環境リスクに対する認識
(1) 不動産市場全体として
(2) 担保評価 ……ほか
2 環境リスク関連以外の資産除去債務とは?
(1) 資産除去の本体である建物等の取り壊し費用
(2) 基礎等の地中埋設物の扱い
3 不動産市場からみた環境に関する資産除去債務
(1) 範 囲
(2) 合理的な定量化 ……ほか
4 正確な会計情報とするために
第7章 環境債務の調査・浄化ビジネス等の動向
1 PCB廃棄物
(1) PCB廃棄物の処理事業
(2) ステップ1:都道府県等の廃棄物処理計画を確認する
……ほか
2 アスベスト122
(1) アスベスト(石綿)の除去に関するビジネス
(2) アスベスト建材等の調査方法 ……ほか
3 土壌汚染
(1) 土壌汚染の発生
(2) 土壌汚染浄化ビジネス ……ほか
第8章 環境債務へのCBRアプローチの応用
1 土壌,地下水汚染浄化コストの算定
(1) 土壌,地下水汚染
(2) 浄化手法と浄化費用
2 事例ベース推論
(1) 事例ベース推論(Case Based Reasoning:CBR)
(2) CBRとその他の手法
3 CBRの坑廃水量予測への応用
(1) 坑廃水と降雨
(2) CBRの坑廃水量予測への応用
4 CBRを使った土壌,地下水汚染浄化コスト試算
(1) 背 景
(2) CBRの応用
第9章 期待値法による評価 計算手法の論点?
1 期待値法とは?
2 土壌汚染の対策費用の見積り
3 ASTMにおける環境債務の評価方法
4 期待値法による評価
(1) ケーススタディ
(2) 決定樹のメリットと注意
第10章 期待キャッシュ・フローの推定方法,信用リスクの反映方法
計算手法の論点?
1 伝統的な固定資産の会計処理と負債性引当金の計上
2 期待現在価値アプローチの意義
3 資産除去コストの見積変更がないケースの会計処理
4 資産除去コストの見積変更のある場合
5 各国における資産除去コストの会計基準
6 資産除去債務のオン・バランス化の有用性
第?部 環境債務をどう扱うか
第11章 米国企業の対応事例 ケーススタディ?
1 環境浄化債務と資産除去債務に関する規定と開示
2 企業別の対応状況
(1) フォード自動車(Ford Motors)
(2) イーストマン・コダック(Eastman Kodak) ……ほか
第12章 日本企業の先行事例 ケーススタディ?
1 対照的な商社の開示例
(1) 三井物産
(2) 三菱商事 ……ほか
2 その他の日本企業の資産除去債務の開示例
(1) 三菱UFJフィナンシャルグループ
(2) コナミとジュピュターテレコム ……ほか
第13章 環境債務の移転手法
1 環境債務の移転とは
(1) 債務移転ビジネスの背景
(2) 債務移転ビジネスの分類
2 債務移転ビジネスに必要な要素
(1) 債務に対する合意
(2) 保険(債務移転に使用される保険とその種類等)
3 債務移転の会計上の取扱い
4 国内でのビジネス化に向けて
第14章 日本でのファンド化の試み
1 ファンドの立ち上げ
2 土壌汚染対象地の市場規模,汚染サイト数
3 ファンドの運営手法
4 ファンドが目指すもの
5 ファンドの果たす役割―取れるリスク,取らないリスク
6 今後のファンドの展開
7 金融商品取引法の施行に関するファンド運営方針
―まとめに代えて
第15章 環境保険
1 環境汚染リスクと環境保険の特徴
2 環境保険マーケットの現状
3 土壌汚染賠償責任保険(Pollution Liability Policy)
4 土壌浄化差額費用保険(Cost Cap Policy)
5 今後の展望
第16章 環境会計と財務会計
1 環境会計の範囲
2 環境会計の財務会計に対する補正効果
3 環境債務をめぐる環境会計と財務会計の対応
(1) 財務会計上の取り扱い
(2) 環境会計上の取り扱い ……ほか
第17章 進化する環境債務と環境資産
1 環境法制への影響
(1) 基準と実務の距離は?
(2) 日米での環境法制と会計基準の関係 ……ほか
2 温暖化債務への対応288
(1) 浮上する温暖化債務開示論
(2) ISO 14064−65 ……ほか
3 環境資産293
(1) 資産化環境費用
(2) 環境保険 ……ほか
付録: 付録1
企業会計基準第18号
資産除去債務に関する会計基準
付録2
企業会計基準適用指針第21号
資産除去債務に関する会計基準の適用指針
付録3
資産除去債務に関する会計基準の比較
索引
著者プロフィール
編著者略歴
藤井 良広(ふじい・よしひろ)
上智大学大学院地球環境学研究科教授。
1972年大阪市立大学経済学部卒業。
日本経済新聞記者,同編集委員,英オックスフォード大学客員研究員等を経て,
2006年上智大学教授に就任。
専門は環境金融論,CSR経営論など。
社団法人国際情勢研究会理事,非営利法人:地球環境経済研究機構
理事のほか,日本金融学会,環境経済・政策学会などに所属。
主な著書
『金融で解く地球環境』
『金融NPO』(いずれも岩波書店)など。