- 本の紹介
- 平成17年改正により会社法が単行法化して3年を経過した。昭和から平成にかけての会社法現代化の集大成と位置づけ、立法要請と立法の対応を主要な制度ごとに検討する論集。
目次
改正史から読み解く
会社法の論点
目次
序章 現代化立法としての会社法の位置づけ
1 会社法制改正の意義
2 日本の会社法制変遷の系譜―平成17年会社法の意味
3 会社法根本(全面)改正作業の経過
(1) 会社法根本改正(全面見直し)作業の開始
(2) 部分改正による法整備の方針決定 ……ほか
4 会社法の制定
(1) 特色として提示されているものとその問題点
(2) 会社法における法形式の整理
5 会社法と全面改正作業の理念―「大小(公開・非公開)会社区分
立法」を中心にして
? 非公開会社の管理運営機構と残された課題
1 はじめに
2 改正までの経緯
(1) 昭和49年9月からの会社法全面改正作業
(2) 昭和61年「商法・有限会社法改正試案」の公表 ……ほか
3 会社法における非公開会社の管理運営機構の見直し
(1) 会社法における非公開会社向けの規律
(2) 会社法における大会社であることに伴う規律の強制
4 会社法における非公開会社の管理運営機構の運用上の問題点
(1) 株主総会関連
(2) 取締役による業務執行についての問題点 ……ほか
5 結びに代えて―非公開会社の管理運営機構に関する改正史
(改正の経緯)からみた会社法の評価と残された課題―
(1) 積極的な評価ができる部分
(2) 残された課題
? 公開型株式会社に関するガバナンス制度の変遷と課題
1 はじめに
2 公開型株式会社のガバナンスに関する制度の変遷
(1) 平成以前の状況
(2) 平成5年商法改正 ……ほか
3 現行ガバナンス制度の検討―公開型株式会社の内部的監視・
監督機関について
(1) 監査役(会)制度について
(2) 委員会設置会社制度・監査委員会制度について ……ほか
4 取締役等の民事責任制度と公開型株式会社のガバナンス
(1) 損害.補機能について
(2) 抑止機能について
5 公開型株式会社のガバナンス制度に関するその他の問題点・
課題
(1) 株主(投資家)の多さ・多様性と公開型株式会社のガバナンス
(2) 情報開示制度とガバナンスの関係 ……ほか
6 おわりに
? 役員等の株式会社に対する損害賠償責任
1 はじめに
2 明治32年商法制定から平成改正以前までの状況
(1) 明治32年商法
(2) 明治44年商法改正 ……ほか
3 平成5年改正―株主代表訴訟制度の改正および監査制度の改正
(1) 立法趣旨・背景
(2) 株主代表訴訟制度の改正 ……ほか
4 平成13年12月改正―取締役・監査役の責任軽減
(1) 立法趣旨・背景
(2) 制度の概要
5 平成14年改正―委員会等設置会社の取締役・執行役の
過失責任化
(1) 規制の概要と過失責任化
(2) 任務懈怠責任・違法配当に関する責任 ……ほか
6 平成改正からみた会社法の諸規定の検討
(1) 諸規定の整理
(2) 過失責任化とみなし行為者規定の廃止 ……ほか
7 内部統制システム整備義務と役員等の責任
(1) 大会社・委員会設置会社における会社法上の内部統制
システムの整備・運用
(2) 中小会社における内部統制システムの整備 ……ほか
8 寄与度に応じた因果関係の割合的認定による取締役等の
責任軽減の可否
(1) 問題の所在
(2) 裁判例と学説 ……ほか
9 むすびに代えて
? 自己株式と平成改正
―バブル崩壊とファイナンス理論と規制の整理―
1 はじめに
2 商法の伝統的なスタンス
3 バブル崩壊と規制緩和
4 金融危機と緊急経済対策立法
(1) 平成9年商法改正
(2) 平成9年消却特例法制定 ……ほか
5 規制緩和のその後
(1) 株式消却特例法上の時限措置の恒久化
(2) 金庫株の解禁
6 会社法上の規制の問題点
(1) 自己株式の取得・保有の有用性と法環境の変化
(2) 証券市場と自己株式取得 ……ほか
? 平成改正と種類株式
1 はじめに
2 平成商法改正における種類株式制度の変遷
(1) 平成2年商法改正
(2) 平成13年以降の商法改正 ……ほか
3 会社法における種類株式制度
(1) 概要
(2) 公開株式会社における種類株式 ……ほか
4 結びに代えて
? 新株予約権制度の導入と会社法制の再構築
1 はじめに
2 新株予約権制度に関連する会社法の規定の推移
(1) 転換社債制度の導入(昭和13年の商法改正)
(2) 転換社債発行権限の推移(昭和49年の商法改正) ……ほか
3 新株予約権制度が会社法制に与えた影響
(1) 新株予約権に関する法制度の変遷
(2) 新株予約権制度の導入に伴う転換 ……ほか
4 おわりに
? 会社の計算
1 はじめに
2 商法会計の変遷
(1) 明治23年(1890年)商法における会計規定
(2) 明治32年(1899年)商法改正から昭和25年(1950年)
商法改正まで ……ほか
3 会社法会計制度
(1) 株式会社会計と持分会社会計
(2) 株式会社における各事業年度計算書類に係る規律内容
……ほか
4 企業会計の国際化と会社法会計の将来
(1) 概念フレームワークにみる企業会計の将来像
(2) コンバージェンス・プロジェクトと「東京合意」
5 おわりに
? 資本・剰余金分配規制
1 資本の意義・機能
2 資本関連法制の変遷
(1) 昭和25年改正前における資本(金)関連法制
(2) 昭和25年改正―授権資本制・無額面株式の導入等 ……ほか
3 会社法における資本関連法制をめぐる問題
(1) 序説―資本法制の矮小化
(2) 有限会社と株式会社との統合 ……ほか
? 組織再編法制における規制緩和と公正性の確保
1 はじめに
2 組織再編にかかる法改正史
(1) 平成9年以前
(2) 合併法制の簡素・合理化(平成9年商法改正) ……ほか
3 会社法における組織再編制度改正の概要
4 組織再編対価の柔軟化と少数株主の保護
(1) 少数株主の締出しのニーズ
(2) 要綱試案から会社法制定 ……ほか
5 債務超過会社の組織再編
6 結合企業法制の不備
7 結びにかえて
? 敵対的買収防衛策の変遷と法規制
1 はじめに
2 買収防衛策・法規制とその歴史的背景
(1) 昭和56年商法改正前の状況
(2) 昭和56年商法改正前後の状況 ……ほか
3 買収防衛策と会社法
(1) 新株予約権
(2) 種類株式 ……ほか
4 問題点・検討・評価
(1) 買収防衛策
(2) 敵対的企業買収のルール
5 結びにかえて
著者プロフィール
〔編者紹介〕
稲葉 威雄(いなば・たけお)
昭和13年(1938年)生まれ
京都大学法学部卒業
弁護士
法務省大臣官房審議官,広島高裁長官,早稲田大学大学院法務研究科教授等を歴任。
〔主要著作〕
『改正会社法』(1982年,金融財政事情研究会)
『会社法の基本を問う』(2006年,中央経済社)
「会社法の論点解明(1)〜(11)」(民事法情報245号〜257号,2007年・2008年)
尾崎 安央(おさき・やすひろ)
昭和29年(1954年)生まれ
早稲田大学法学部卒業・同大学院法学研究科博士後期課程単位取得満期退学
早稲田大学大学院法務研究科・法学学術院教授
〔主要著作〕
『新会社法(改訂版)』(共著,2008年,青林書院)
『会社法重要判例解説(第3版補正版)』(共編著,2008年,成文堂)