会社法の規制緩和における司法の役割
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- わが国会社法の規制緩和、自由度の拡大を踏まえ、それがもたらす危険性には事後的に是正を行う裁判所の役割を重視し、自由の制約方法を米デラウエア州法による司法判断をもとに詳論。
目次
会社法の規制緩和における司法の役割
目次
序章
第1節 本書の目的
第2節 本書の概要
第3節 従来の議論との関係:会社法の強行法規性・任意法規化
第4節 デラウエア会社法の背景的制度との関係
第1章 授権法モデルの形成過程
第1節 授権法思想と授権法モデル
第2節 デラウエア会社法のタイムフレイム:事前の自由と事後的な
制約
第3節 授権法モデルの形成:授権法思想の発生と信認義務による
補完
第1款 会社法革命前
第2款 会社法革命:立法政策の転換と授権法思想の発生
第3款 1899年デラウエア会社制定法
第4款 信認義務による補完
第2章 デラウエア会社法の特徴
第1節 デラウエア会社法の特徴:司法依存モデル
第2節 立法の特徴
第1款 デラウエア会社制定法の立法過程
第2款 デラウエア会社制定法の立法ポリシーの説明仮説
第3節 司法の特徴
第1款 デラウエア衡平法裁判所の歴史
第2款 現代のデラウエア裁判所システムの特徴
第3款 デラウエア裁判所の役割とエクイティ
第4款 デラウエア裁判所のポリシー
第3章 デラウエア会社法における自由
第1節 会社契約の自由:定款自由
第2節 証券設計の自由
第1款 デットとエクイティ
第2款 株式設計の自由度
第3節 管理運営機構の設計の自由
第1款 強行的な制約
第2款 管理運営機構の設計の自由度
第3款 Sarbanes-Oxley法による制約
第4節 デラウエア会社法のデフォルトルールの特徴
第1款 取締役会の至高性
第2款 株主の経営関与の制限
第3款 デフォルトルールの特徴:ファイナンシャルアプローチ
第4章 会社法における自由の制約根拠と制約方法
第1節 会社法の性質に関する従来の議論:強行法か任意法か
第1款 任意法主義者の主張
第2款 任意法主義に対する批判
第3款 議論の実質的な一致
第4款 信認義務に関する主張の実質的同一性
第2節 自由の制約根拠
第1款 会社内部の利害対立
第2款 後発的事情
第3款 外部性
第3節 自由の制約方法
第1款 事前の制約と事後的な制約:「ルール」と「スタンダード」
第2款 制約の明確性と制約のタイミング
第5章 デラウエア会社法における自由の制約
第1節 デラウエア州の会社訴訟:信認義務とM&A
第2節 事後性への対処:取引保護装置に関するデラウエア裁判所
の判断
第1款 合併契約と取引保護装置
第2款 デラウエア裁判所の判断:判例法理の発展
第3款 後発的事情に対するデラウエア裁判所のポリシー
第3節 曖昧性への対処:締出取引に関するデラウエア裁判所の
判断
第1款 締出取引の概要
第2款 合併を用いた少数株主の締出:締出合併
第3款 公開買付を用いた少数株主の締出:締出公開買付
第4款 締出取引に対するデラウエア裁判所のポリシー
第4節 まとめ:事前のインセンティブと効率性の尊重
第6章 日本の会社法と裁判所
第1節 日本の会社法の特徴:行政主導モデル
第1款 会社法の立法ポリシーの特徴
第2款 会社法の立法過程
第3款 会社法の立法ポリシーの説明仮説
第2節 デラウエア会社法と日本の会社法の比較
第1款 法の制作段階
第2款 法の利用段階
第3款 法の執行段階
第3節 日本の裁判所の役割
第1款 デラウエア会社法と日本の会社法の機能的な類似性
第2款 デラウエア裁判所のポリシーの反映
第4節 行政提供の指針:効率性の尊重
終 章
索 引
著者プロフィール
玉井 利幸(たまい・としゆき)
1969年生まれ。
一橋大学大学院法学研究科博士課程修了。
一橋大学大学院法学研究科助手を経て、
現在小樽商科大学商学部企業法学科准教授。