- 本の紹介
- 米国連邦所得税の土地税制における資産の交換制度を素材とし、米国における課税原則成立の歴史的展開を踏まえながら、課税繰延べの法的根拠を綿密に検討し明らかにする。
目次
資産の交換・買換えの課税理論
目次
第1章 所得概念の展開と課税のタイミングの問題
第1節 所得概念の基礎的考察
1 はじめに
2 発生型・取得型所得概念
3 包括的所得概念と課税繰延べ
第2節 消費課税論の系譜
1 所得または消費
2 1970年以前の消費課税論
3 1970年代の支出税論議
第3節 消費型所得税論
1 アンドリュース(Andrews, W. D.)の消費型所得税論
2 ウォーレン(Warren, A.C.Jr.)の消費型所得税に対する批判論
第4節 消費課税論の展開
1 ブラッドフォード(Bradford, D. F.)の消費課税構想
2 Full-fleged個人キャッシュフロー税
3 ブループリントのキャッシュフロー税
第5節 金融所得課税
1 二元的所得税論
2 わが国の金融所得課税一体化の現状
3 小括
第6節 課税のタイミング(所得の課税時期)の問題
1 課税のタイミング
2 実現の意義
3 未実現所得とみなし譲渡 ・・・他
第2章 課税繰延べ規定の基礎理論
第1節 課税繰延べ規定の導入と背景
1 資産の交換における課税繰延べ規定の沿革
2 課税繰延べの基礎理論
3 課税繰延べ規定の類型化 ・・・他
第2節 租税の基本原則と課税繰延べ
1 効率性
2 公平性
3 税務執行 ・・・他
第3章 固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例
第1節 譲渡所得の課税と課税繰延べの効果
1 はじめに
2 譲渡所得の課税
3 無償譲渡と課税繰延べの効果 ・・・他
第2節 固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例(所税58条)
1 概説
2 同種資産の交換(like kind exchange)の規定(IRC1031条)
3 非適格資産(交換差金)
第3節 同種要件
1 固定資産の交換の特例(所税58条)における同種要件
2 IRC1031条の同種要件
第4節 保有目的要件
1 固定資産の交換の特例(所税58条)の「同一の用途」の意義
2 IRC1031条の保有目的要件
第5節 交換要件
1 固定資産の交換の特例(所税58条)の交換要件
2 IRC1031条の交換要件―交換と売買の区別
3 交換差金 ・・・他
第6節 主要要件に関連する判例理論
1 投資の継続性の理論
2 同一の用途に供するの意義(同種要件と保有目的要件)
3 売買か交換か(交換要件) ・・・他
第7節 交換差金と取得価額(所税58条)
1 交換差金の意義
2 IRC1031条の交換差金の取扱い
3 取得価額
第4章 特定の事業用資産の買換えの場合の特例
第1節 特定の事業用資産の買換えの特例
1 はじめに
2 概説
3 特例の趣旨と沿革
第2節 適用要件
1 同種要件
2 保有目的要件
3 交換(買換)要件 ・・・他
第5章 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例
第1節 収用等の課税の特例
1 はじめに
2 概説
3 アメリカの自己の意思によらない財産譲渡の規定
(InvoluntaryConversion Rule)の規定(IRC1033条)
第2節 適用範囲
1 収用等の課税の特例の適用範囲(租特33条)
2 IRC1033条の適用範囲
3 IRC1033条の補償金等の意義
第3節 適用要件
1 同種要件及び保有目的要件
2 交換(買換)要件
3 IRC1033条の交換(買換)要件 ・・・他
第6章 特定の居住用財産の買換えの場合の譲渡所得の特例
第1節 特定の居住用財産の買換えの場合の特例
1 はじめに
2 特定の居住用財産の買換えの場合の特例の趣旨と沿革
3 居住用財産の譲渡に係る損失の取扱い ・・・他
第2節 適用要件
1 同種要件及び保有目的要件
2 交換(買換)要件
第3節 アメリカの居住用財産の買換えの場合の課税除外規定
1 概要
2 IRC 121条の立法趣旨
第7章 平成21年および平成22年に土地等の先行取得をした場合
の譲渡所得の特例
第1節 土地等の先行取得の特例
1 はじめに
2 概要
3 先行取得土地等の取得価額の取扱い
第2節 適用要件
1 同種要件
2 保有目的要件
3 交換要件
第8章 企業税制
第1節 グループ法人税制
1 はじめに
2 グループ法人税制の概要
3 小括
第2節 法人設立と財産出資に対する課税
1 財産出資と課税繰延べ
2 法人設立における課税繰延べの効果
第3節 アメリカの判例理論 488
1 利益の継続性(continuity of interest)の理論
2 法人組織変更規定の歴史的展開
3 法人組織変更に関する規定の適用 ・・・他
おわりに
著者プロフィール
阿部 雪子(あべ ゆきこ)
一橋大学大学院法学研究科公法学専攻博士課程修了(法学博士,一橋大学2007)
現在 拓殖大学商学部教授,
同大学院商学研究科及び学部において租税法等担当
公認会計士試験委員(現在)
固定資産税制度に関する調査研究委員会委員(㈶資産評価システム研究センター)