特集バックナンバー
2020年12月に、中央経済社の書籍販売サイト「ビジネス専門書Online」がリニューアルしました。これを機に、読者の方が本を選ぶ際の参考としていただければ...!との思いをもとに、テーマごとに数点ずつ本を選んで担当編集者のコメントとともにご紹介する特集を掲載していくこととしました。
記念すべき第1回目の特集では、中央経済社の歴史を物語り、現在も読み継がれている本をご紹介します。大学の講義で、資格試験の勉強で、あるいは実務の傍らにと、過去に愛読された方もいらっしゃるのではないでしょうか。担当編集者に本の歴史や編集の秘話を語ってもらいましたので、ぜひご覧ください。
この記事では、「検定簿記講義」シリーズについて取り上げます。
Q1 書籍はいつ頃から発刊されていますか。
『検定簿記講義』の初版刊行は1956年です。
1954年に第1回試験が施行された日商簿記検定試験のテキストとして刊行されました。
1976年には、問題集の役割を担う『検定簿記ワークブック』を姉妹書として刊行し、簿記の学習書として60年以上におよぶ歴史があります。
Q2 平易に本の内容をご紹介ください。
日商簿記検定試験の合格を目指す方のためのテキストおよび問題集です。
3級、2級、1級の各級の試験範囲に対応し、多くの大学でも教科書としてご採用をいただいています。
Q3 現在発行されているものは、初期のものと比較して、時代に応じてどのような変遷を辿ってきましたか。
本シリーズは60年以上の歴史がありますので、初期に刊行されたものと、編著者をはじめとして執筆陣が異なります。
しかしながら、初版刊行時と変わらず、一貫して日商簿記に最も精通した執筆陣に解説をしていただいています。
また、試験制度の変更にも対応してきました。最近では2級を中心として2016年度から段階的に試験範囲の見直しが行われており、この変化を的確にフォローして刊行しています。
2021年度からは、2級・3級において紙の統一試験に加えてネット試験が導入され、試験時間も変更となります。
本シリーズの2021年度版は、この試験制度の変更にも対応して刊行する予定です。
Q4 この本を「今」どのような人に、あるいはどのような場面で読んでいただきたいですか?
日商簿記検定試験に挑戦しようと考えている方はもちろん、高校や大学、社会人となって簿記や会計を学習しようとしている方にも読んでいただきたいと考えています。
また、昔、検定試験に合格された方も、久しぶりに本シリーズの最新版を開いてみてはいかがでしょうか。
以前の日商簿記3級では個人商店を対象としていましたが、現在では株式会社を対象としています。
さらに、2級には連結会計も導入されています。
実務の変化にあわせて簿記検定も変化していますので、面白い気づきがあるかもしれません。
Q5 装丁を考える際にイメージされていたことやこだわり等ありますか?
装丁を作成する際に気を付けているポイントは主に3つです。
まず1つめは、毎年改訂しているので、「変わった感」を出すことです。
前年度が白地をベースにした装丁であれば、色を敷いたデザインに変更するなどです。
2つめは、「検定簿記講義」シリーズであることを、一目でわかるようにするということです。
本シリーズは全国の書店さんでご好評をいただいているので、書店員さんが「あのシリーズの改訂版だね!」とわかるような装丁にしています。
1つめと相反するポイントで難しいのですが、「書名の書体は大きく変えない」など、気をつけています。
3つめは、若者の意見を大事にするという点です。
本書で学習して受験する方や、大学でテキストとして使用する学生さん(つまり読者層)は、20歳前後の方が多いです。
そのような年齢層の方の意見は、できるだけよく聞くように心がけています。