特集バックナンバー
新型コロナウイルス感染拡大をきっかけとして、私たちの働き方が大きく変わろうとしています。そこで、第2回目の特集では、テレワークや在宅勤務等の新しい働き方を支え、ウィズコロナ時代を生き抜く「知恵」を収録した書籍・雑誌を紹介します。担当編集者に本の魅力や編集秘話を語ってもらいましたので、ぜひご覧ください。
この記事では、『テレワークで困ったときに読む本―設計・運用・メンタルヘルス対策』(植田 健太 編著)について取り上げます。
Q1 本の内容を簡単にご紹介ください。
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、2021年2月中旬現在(2回目の緊急事態宣言中)も、企業では「出勤者7割減」を目指してテレワークが実施されている状況です。
もともと、働き方改革の一環で、テレワークを導入しようという流れはありました。
それが、2020年4月の緊急事態宣言で、いわば緊急避難的に一気に進んだわけです。
本書は、そこで経営者や人事担当者が直面した課題、「困ったこと」を集め、回答する形式で作りました。
各問いに対し、15名の専門家にご執筆いただいています。
たとえば、以下のようなことに回答しています。
Q2 この本を企画した理由を教えてください。
企画をしたのは、2020年5月の緊急事態宣言下のときです。
多くの企業がテレワークになりましたが、慣れないことで色々な問題が生じていると感じました。
編集者という仕事は比較的テレワークがしやすいですが、そうでない仕事もあります。
また、同じ会社でも部署によって大きく違います。
経営者や人事担当者にも色々な声が寄せられているのではないかと思いました。
また、人に会わないテレワークで、精神的に追い込まれる人もいるのでは、と思いました。
そのとき、『図解ストレスチェック実施・活用ガイド』(中央経済社、2015年)の著者の植田健太先生が同様のことを発信されており、すぐさま先生にご連絡しました。
「東日本大震災後も、同じようにイレギュラー対応で大変だった経営者や人事担当者が多くいらっしゃった。助けになる書籍を作ることができれば」「テレワークでは労働者の異変に気がつくのが難しいですが、気づくヒントはあるはず」とご快諾いただき、書籍企画を進めることになりました。
Q3 コロナ禍において、今どのような問題を感じていますか?
編集作業をしていた夏ごろには、感染者は大幅に減り、「コロナの問題は終わった」と解釈していましたが、今はむしろ夏より酷い状況にあります。
ここまでコロナ禍が長くなってくると、メンタルヘルスの問題が深刻になってきます。
テレワークだけでなく、実家にも帰れない、友達にも会えない、という状況が続いているのですから。
会社にも「いつもと違う」同僚がいるかもしれません。
そういった面で、この書籍の後半、メンタルヘルス対策の部分はぜひお読みいただければと思います。
Q4 この本を「今」どのような人に、あるいはどのような場面で読んでいただきたいですか?
まずは、「困ったこと」に直面している経営者や人事担当者の方です。
本書は、すべて前向きな姿勢で書かれています。
今、「困ったこと」は色々あるかと思いますが、それは「ワークスタイルの再設計」「多様な人材活用」へのきっかけになるのではないでしょうか。
フリーアドレスやフレックスタイム制などの導入についても解説されているので役に立つと思います。
また、同僚にメンタルが心配される人がいる場合、自分自身が「あれ? なんだか疲れている?」と感じている場合にもおすすめします。
公認心理師によるアドバイスが参考になると思います。
Q5 装丁を考える際にイメージされていたことやこだわり等ありますか。
青系の類書が多かったので、オレンジ系にしました。
Q6 ご執筆者の先生より、読者の方に注目していただきたいポイントや出版にあたっての想いなどありましたら、コメントをいただけますか。
こんなご時世だからこそ、おすすめの1冊です。
- 『テレワークで困ったときに読む本―設計・運用・メンタルヘルス対策』
植田 健太 編著
定価:2,090円(税込)
発行日:2020/09/28
A5判 / 172頁
ISBN:978-4-502-36051-0