【ひとつ上の経理へ】『企業会計』連載「経理部よ、真のビジネスパートナーたれ」後半戦へ

企業会計

 『企業会計』2021年1月号より掲載中の連載「経理部よ、真のビジネスパートナーたれ 日本版FP&Aの夜明け」の前半が4月号にて終了、5月号より後半に突入します。
 分析、予測、計画の策定などを通じて、経営や事業の意思決定プロセスに貢献するFP&Aプロフェッショナルのあり方を説き、経理部門に真のビジネスパートナーへとレベルアップしていただくことを目指す本連載。この記事では前半の概要と、後半に向けたメッセージを公開します。

 グローバル化による競争の激化、コロナ禍をはじめとした不確実性の増大...ビジネスを取り巻く環境は大きく変化しています。経理部門にご所属の皆様においても、今のお仕事や将来のキャリアを考える際、このままでよいのか、さらにできることがあるのではないかとお悩みの方は多いのではないでしょうか?
 このキャリアを考える一助としていただきたいのが、この連載です。


そもそもFP&Aとは?

 FP&Aとは"Financial Planning & Analysis"の略。多くのグローバル企業においてCFO組織で経理部門・財務部門と並ぶ主要部門で、主に経営管理を担当しています。その真価は、会計の面から事業部門・経営層の「ビジネスパートナー」になることで、CFOの全体最適を目指した経営意思決定を支え、ビジネス全体の質を高めることにあります。管理会計やコーポレート・ファイナンスといった会計の知識をベースに戦略をマネジメントするのです。

FP&Aのキャリアパスとは

 FP&Aを目指すには具体的にどのようなキャリアをイメージすればよいのでしょうか。

FP&A部門の社員は事業部レベルでキャリアを開始し、事業部コントローラーから本社コントローラー、そしてCFOへと続くキャリアを目指す。彼らは「FP&Aプロフェッショナル」と呼ばれている。
(中略)グローバル企業において経理・財務・FP&Aのプロフェッションを3つの円で描くと,3つの円は図表1のとおり、つながっている。グローバル企業のCFO組織においてキャリアを歩むプロフェッショナルは、CFOになることを目指して3つの円を移動しながら個々のキャリアを歩んでいるのである。

(第1回(2021年1月号:102-103頁)より)


 「会計」「財務」「FP&A」それぞれの経験を積むことで、会計だけでない、財務だけでない力を身に着けていくということですね。

ここで問われるのは、事業部門が行う経営意思決定に関して、FP&A部門の社員がこの経営意思決定プロセスにどの程度まで、どのように関わることができるかである。「意思決定プロセスに全く関われていない段階」に始まり、「意思決定プロセスにおいて専門家としての意見を求められる段階」、「意思決定の当事者の1人になることを求められる段階」、「意思決定自体を委される段階」に達することで、「真のビジネスパートナー」になるというビジョンである。

(第1回(2021年1月号:105頁)より)


 意思決定部門と住み分けがされていることが多い日本企業の経理部門に対し、グローバル企業におけるFP&Aは意思決定に対してリーダーシップを発揮する、という違いがポイントです。意思決定に会計の視点・知識を入れることで、より質の高いビジネスに昇華できるということ。これが石橋氏の唱える、日本企業の経理部をパワーアップさせる1つのソリューションであり、本連載の趣旨となります。

本連載の目的

 本連載の目的について、石橋氏は次のとおりまとめています。

本連載の目的は、日本企業の経理部門および財務部門において会計プロフェッショナルおよび財務プロフェッショナルとしてのキャリアを歩まれている読者の皆様に、「FP&Aプロフェッショナル」というキャリアの選択肢を示すことにある。
(第1回(2021年1月号:102頁)より)


 連載は全12回を予定しており、全体の流れは次のとおりです。


本稿から始まる12回の連載の前半では、グローバル企業におけるFP&Aを「組織」と「プロフェッション」の2つの面から紹介する。まず、組織の面から、FP&A部門が果たす役割を「真のビジネスパートナー」と「マネジメントコントロールシステムの設計者および運営者」の2つの側面から紹介する。次に、プロフェッションの面から、必要とされる「スキルセット」と「マインドセット」を紹介する。最後に、日本企業におけるFP&Aの課題を紹介し、日本企業におけるFP&Aが持つ可能性に関して論じる。
本連載の後半では、日本においてFP&Aプロフェッショナルとしてのキャリアを歩まれてきた実務家7名の方々から,FP&Aプロフェッションの課題と可能性に関してご寄稿をいただく。
(第1回(2021年1月号:102頁)より)


前半のトピック

 前半では、FP&Aとはどういうもので、なぜ日本企業の経理部門の皆様に知っていただき、キャリアの1つとして意識していただきたいのかをご執筆いただいています。 

 

第1回 「真のビジネスパートナー」としてのFP&A
 CFOとCFO組織/組織としてのFP&A/「真のビジネスパートナー」としてのFP&A/「真のビジネスパートナー」を目指したCFOの取組み
第2回 「マネジメントコントロールシステムの設計者および運営者」としてのFP&A
 「マネジメントコントロールシステムの設計者および運営者」としてのFP&A/「マネジメントコントロールシステムの設計者および運営者」に関する具体例/
第3回 FP&Aプロフェッショナルに必要とされるスキルセットとマインドセット
 FP&Aプロフェッショナルの役割/FP&Aプロフェッショナルに必要とされるスキルセット/なぜマインドセットが、FP&Aプロフェッショナルにとって重要なのか/「FP&Aプロフェッショナル」の先駆者:ハロルド・ジェニーン
第4回 日本企業における「組織としてのFP&A」の課題と可能性
 日本企業における「組織としてのFP&A」の成り立ち/経営企画部の課題と可能性/上場日本企業におけるCFOとしての挑戦



後半(第5~11回)の内容は?

 いよいよ連載後半(第5~11回、それぞれ2021年5~11月号で掲載予定)が始まります。

本連載の前半では,FP&Aを「FP&A組織」と「FP&Aプロフェッション」の2つの観点から紹介した。本連載の後半では,FP&Aプロフェッショナルとしてのキャリアを歩まれてきた実務家の方々から,日本におけるFP&A組織とFP&Aプロフェッションの課題と可能性に関してご寄稿をいただく。


 「FP&A」という言葉をまだあまり耳にしたことがない、聞いたことはあるがよくわからない、という方も多いのではないでしょうか。先駆者の経験とメッセージをお読みいただけるのが後半の大きな魅力です。








関連書籍

関連書籍1 
『CFO 最先端を行く経営管理』

 CFOの本来の役割とは? そして右腕となるFP&Aの機能とは? CFOは、経理部門の延長線上ではなく、全ての機能の上位に位置づけられます。そんなCFO組織のあり方を「FP&A」の機能から解説した1冊。連載とあわせてお読みいただくと理解が進むはず。筆者による「事例紹介」も魅力です。



関連書籍2 
『CFO 最先端を行く経営管理』

 CFOのキャリアや報酬は? CFOになるためにはどのような知識やスキルが必要となるかをわかりやすく体系化。グリーなどの10名のCFOが実際に歩んできた経歴を紹介。「CFOって何だろうという人」「ファイナンス関係の業務をしている人」「明確にCFOを目指している人」「現在CFOをしているが自信が持てない人」の羅針盤になるべくして記された本書。経理・財務人材としてのキャリアを考えるうえで参考になること間違いなしです。

 

【第1章】CFOになるために最低限知っておきたい基礎知識
【第2章】10人のCFOの履歴書
 大塚寿昭(バリューアップパートナー㈱ 代表取締役)
 石橋善一郎(元 日本トイザらス㈱ 代表取締役副社長 兼 CFO)
 太田博之(㈱イントラスト 取締役執行役員)
 大矢俊樹(グリー㈱ 取締役上級執行役員コーポレート統括)
 佐々木義孝(元 ㈱ショーケース・ティービー 取締役CFO)
 鈴木裕之(㈱ミサワ 取締役管理本部長)
 薛仁興(元 GMOアドパートナーズ㈱ 専務取締役経営管理本部長)
 藤田利之(㈱レアジョブ 取締役 副社長)
 安川徳昭(元 ヒト・コミュニケーションズ㈱ 取締役管理本部長)
 吉田知史(㈱ジオコード 専務取締役CFO)
 渡邉淳(元 ㈱エラン 取締役CFO)


  • CFOの履歴書
  • 『CFOの履歴書』
    大塚 寿昭 編著
    定価:2,750円(税込)

    発行日:2019/07/05
    A5判/228頁
    ISBN:978-4-502-31091-1

 いかがでしたでしょうか。ますます加速する当連載をお楽しみに!
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