『セーレンの管理会計―高不確実性下の予算管理と人事評価』(2021年10月特集第3回)

特集バックナンバー

2021年10月号特集受賞図書特集(2021年4月~9月受賞)

学会、経済関連団体より、2021年4月から9月に表彰された書籍5点をご紹介。担当編集者に書籍の内容や企画背景、受賞した賞について尋ねてみました。読書の秋に、最高水準の"知"の息吹を感じてみませんか。

今回は、「日本原価計算研究学会 2021年度学会賞(著作賞)」受賞書籍を紹介します。

Q1 本書の内容を教えてください。

日々の経営環境が激化し不確実性が高まるなかで、利益の最大化に管理会計がどう活用されてきたかを、福井県の総合繊維メーカーであるセーレン株式会社の事例研究をもとに明らかにした研究書です。


目次


Q2 本書を企画したきっかけや背景を教えてください。

日本の管理会計研究を手厚くサポートしている公益財団法人牧誠財団が、毎年、日本企業で実践されている優れた管理会計実務の定式化や理論化を目指す研究に対して助成を行っています。その助成の出版部門が、牧誠財団研究叢書(本書刊行時は「メルコ学術振興財団研究叢書」)として書籍化されています。

本書はその叢書シリーズの第13冊目として刊行されました。


Q3 本書が受賞した賞はどのようなものですか?

本書が受賞したのは「日本原価計算研究学会」の「学会賞(著作賞)」です。「日本原価計算研究学会」は、1975年に創立された歴史ある学会です。毎年必ず受賞作があるわけではなく「該当作なし」の年もあるため、非常に厳しく審査されているようです。

なお、同学会は2010年7月に「若手会員の育成強化を目的」として推薦論文制度を新設しました。その第1号として雑誌『企業会計』2011年3月号に掲載された推薦論文が、本書の著者・足立洋先生による「製造部門における利益責任の付与と原価改善システム-セーレンの事例検討を通じて」です(『原価計算研究』2015,日本原価計算研究学会40周年記念号,p.77参考資料より)。

それからちょうど10年の時を経て、セーレンの事例研究をまとめた書籍が学会賞を受賞したことから、研究を継続し、そして発展させることの重要性を改めて感じています。


Q4 本書のこだわりポイントを教えてください。

セーレンは創業130年以上の老舗企業のため、歴史を感じさせるような雰囲気を本書のどこかに入れたいと考えました。

そこで、著者を通じて新旧の社屋の写真を提供してもらい、本扉(カバーを開いた1枚目)に対比させる形で掲載しています。

本扉を一目見るだけで、セーレンが歴史のある企業だということがわかってもらえると思います。

本扉・写真
本扉・写真


Q5 読者の方へのメッセージをお願いします。

研究者にも研究者を目指している方にも、そして実務家にも、それぞれの視点で気づきや役立つポイントがつまっています。

在庫がかなり僅少になってきて稀少本となっているため、書店さんで見つけたら即買いすることをおススメします!