【Webマンガ】税の歴史（第11話）

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第11話「豊臣秀吉」

世阿弥が活躍した室町時代後半、幕府は弱体化してしまい、戦乱は地方へも広がって、いわゆる「戦国時代」へ突入しました。
各地の戦国大名は、征服した土地の「検地（けんち）」を行って、土地の面積や米の取れ高などを自己申告させていたとされています（「指出検地（さしだしけんち）」）。
「検地」とは、当時の主な税である年貢を計算するために、戦国大名の領地の田畑を調査することです。
しかし、その検地に使われた面積を表示する単位や、穀物の量をはかる枡（ます）が地域や用途ごとに異なっていたため、田畑の正しい状況は伝わっておらず、税を免れる不正などが起きていたとされています。
一方で、豊臣秀吉は、戦国の世を終息させ、天下統一を進めるために、「検地」と「刀狩」を中心的な政策に据えます。
豊臣秀吉が行ったこの新しい「検地」は、のちに「太閤検地（たいこうけんち）」と呼ばれます。
太閤検地では、これまでバラバラだった面積の単位や枡の大きさなどを統一し、全国一律の検地竿、枡を使って、正確な土地の広さを測定することを実現しました。
そして、土地の面積だけでなく、その土地からどれくらいの米が収穫できるか、土地の状況や条件を調べて、上・中・下・下下にランクを付けて計算することによって、土地の生産力（石高）を明確にしました。
さらに、その土地の耕作人の名簿をつくることで、土地と農民を紐づけて管理しました。これによって長く続いた荘園制度は終焉を迎え、複雑になっていた土地の権利関係が単純化されました。
このような政策が功を奏し、「誰がどれくらい税を納めるのか」ということが明確になり、年貢徴収の合理化が図られました。
太閤検地の目的は、単位の統一と税収の安定だけでなく、税制度を全国各地に広げることによる社会全体の統一でもあったのかもしれません。

改めて、税のしくみが国づくりの中心であることを確認した「チームむぎ」。
茶子さん、千年先生とはぐれてしまった様子......。次回、むぎくんたちはどんな世界に迷い込むのでしょうか？

参考文献

日本史広辞典編集委員会編『山川日本史小辞典改訂新版』山川出版社、2016年
石ノ森章太郎『新装版マンガ日本の歴史』中央公論新社、2020年
北條恒一『日本古代税制史の研究』白鳳社、1986年
平凡社編『新版日本史モノ事典』平凡社、2017年
井筒雅風『日本服飾史　男性編』光村推古書院、2015年
下向井龍彦監修『歴史人物できごと新辞典』増進堂・受験研究社、2015年
佐藤信・五味文彦・高埜利彦・鳥海靖編『詳説日本史研究』山川出版社、2017年
笹山晴生・佐藤信・五味文彦・高埜利彦・老川慶喜・加藤陽子・坂上康俊・桜井英治・白石太一郎・鈴木淳・吉田伸之『詳説日本史改訂版日B３０９』山川出版社、2017年
笹山晴生・五味文彦・吉田伸之・鳥海靖『詳説日本史史料集』山川出版社、2007年
中野等『太閤検地-秀吉が目指した国のかたち』中公新書、2019年

茂垣　志乙里（税理士）

2012年税理士登録。

イラスト経歴

• 連載：「税理士は社交力が命 4コマDEマナー」『税務弘報』中央経済社、2020年1月号～
• 連載：「DANDANわかる！非営利法人のAtoZ」『公益一般法人』全国公益法人協会、2022年５月１日号〜
• 連載：「税務は洞察力が命 イラストDE分析」『税務弘報』中央経済社、2017年7月号～2018年6月号
• 連載：「税務は洞察力が命 イラストDE分析Ⅱ」『税務弘報』中央経済社、2018年10月号～2019年9月号
• 挿絵：加藤剛毅著『トラブル事案にまなぶ「泥沼」相続争い解決・予防の手引き』中央経済社、2020年
• 共著・挿絵：『今のうちから考えよう相続対策のはじめ方』日本加除出版、2014年
• 共著・挿絵：『年金世代から考える税金とのつきあい方と確定申告』日本加除出版、2015年
• 挿絵：『成功する開業医―院長夫人、あなたが期待されていること』中央経済社、2021年
• 挿絵：『大人のお金の遣い方―税理士に聴いてきました』中央経済社、2021年
• 編著：「マンガでわかる！　免税事業者の消費税インボイス対策」ぎょうせい、2022年
• 編著：「マンガでわかる!! 生前贈与＜令和5年度税制改正対応＞」ぎょうせい、2023年

• 公式キャラクターデザイン：特定非営利活動法人NPO支援の税理士ネットワーク「のんちゃん」「ぽらちゃん」
• 公式キャラクターデザイン：一般社団法人コミュニティ・カウンセラー・ネットワーク「ヤダもん」

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