- 本の紹介
- 安倍政権の金融緩和インフレ政策という環境下での、金融システムの機能と国債投資リスクへの考え方について解説・論評。国債投資に当たって必要な金融・経済の動向を分析。
目次
金融緩和のもとでの国債リスク
目次
序章 経済を安定させるために金融は何ができるのか
日本株式会社の再来
大胆な金融緩和によるデフレ脱却 ……ほか
第1章 マネーの機能と中央銀行の役割
1 マネーとは何か
マネーはどんな機能を持っているか ……ほか
2 マネーの信認と中央銀行の機能
不換紙幣の価値の裏付けは信認 ……ほか
3 ドル基軸通貨制度を支えるもの
ドルの基軸通貨性を支えてきた決済機能の高さ ……ほか
4 マネーと実体経済のバランス
グローバル化で世界経済は均等化へ ……ほか
第2章 これまでの拡大型経済モデルは通用しない
1 デフレと低成長の時代へ
金融と実体経済の違いはどこで生じるか ……ほか
2 デフレ経済は人類史のスタンダード
金融危機後のデフレの世界は特殊な環境ではない ……ほか
3 資本主義の歴史はバブルの歴史
ヨーロッパの初期3大バブル事件 ……ほか
4 世界恐慌が残した教訓
1929年の世界恐慌 ……ほか
5 それでもバブルは必ず起こる
バブル防止への取り組みは永遠の課題 ……ほか
第3章 実体経済を超える金融システムの拡大
1 欧州での銀行の誕生と発展
銀行の誕生とその後の発展プロセス ……ほか
2 日本における銀行業の成り立ち
日本では預金銀行モデルが主流 ……ほか
3 転換期を迎えた日本の預金銀行モデル
預金銀行モデルが経済成長を担ってきた歴史は浅い ……ほか
4 社会インフラとしての金融システム
社会インフラを提供するための規律 ……ほか
5 シャドーバンキングの拡大は何をもたらしたか
伝統的銀行業から派生したシャドーバンキング ……ほか
6 公的部門の拡大を支える金融構造の変化
金融システムは公的部門のレバレッジを拡大させる器なのか
……ほか
第4章 国債の役割と財政問題
1 国債の歴史にみる教訓
国債発行と紙幣発行はどこが違うか ……ほか
2 財政運営と国債の価値
財政悪化への対応は増税か低金利政策か ……ほか
3 国債デフォルトはいかにして起こるか
ソブリンの神話 ……ほか
4 国債増発の限界は
国債発行か金融緩和か ……ほか
5 財政健全化への道すじ
長期的には過剰債務が景気の足枷となる ……ほか
6 財政再建か景気回復か
経済成長と債務調整のバランス ……ほか
7 財政再建を成功させるには
財政再建の実効性を高める制度・仕組み ……ほか
第5章 政府債務と中央銀行と金融システムの相互依存性
1 国債保有による金融機関の金利リスク
民間部門の縮小でマネーは国債へ ……ほか
2 ユーロ圏の債務危機は金融システムをどう変えたか
ユーロ圏における債務問題の金融システムへの波及 ……ほか
3 日米の国債保有構造の違い
民間金融機関が支える日本の国債市場 ……ほか
4 「時間稼ぎ」の低金利政策
債務維持を可能とする実質金利低下の構造 ……ほか
5 金融緩和政策はいつ終焉するか
金融引き締めのタイミングは難しい ……ほか
第6章 金融政策によって期待は転換するか
1 デフレ脱却に向けた金融政策目標
金融抑圧の世界からの転換 ……ほか
2 日本銀行は国債市場をコントロールできるか
日本銀行のペッギング政策と金融抑圧の強化 ……ほか
3 量的緩和策のインパクトは
国債購入による金融緩和の実体経済への影響は小さい ……ほか
4 実体経済の成長は達成できるか
金融緩和は実体経済の期待を変えられるか ……ほか
5 2%インフレ目標がもたらすもの
日本銀行の想定するインフレは生じるのか ……ほか
第7章 成長戦略がもたらす投資マネーの変化
1 成長のための社会資本整備と金融の役割
日本に求められる成長戦略 ……ほか
2 社会全体で資本力の強化を
金融緩和でも投資に向かわなかった日本のマネー ……ほか
3 脆弱な世界経済と日本への期待
顕現化しつつある世界経済のリスク ……ほか
4 世界経済回復の不安定要因
政策サポートの低下に世界経済は耐えられるか ……ほか
第8章 経済成長と金融の機能
1 覇権国変遷の歴史
経済大国は変遷を続ける ……ほか
2 人口構造と経済成長
人口動態の変化と潜在成長率の低下 ……ほか
3 米国経済のゆるやかな衰退
米国における潜在成長力の低下 ……ほか
4 かつての覇権国イギリスの経験
イギリス経済が抱える問題と政策対応 ……ほか
5 「イギリス病」と「日本化現象」で共通する資本主義の課題
「イギリス病」は避けることのできない構造問題 ……ほか
第9章 さらなる成長に向けて
1 マネーの進化と資産価値の上昇
繰り返されるマネーの膨張とバブルの発生 ……ほか
2 市場参加者の期待をコントロールできるか
中央銀行への信認が金融政策の効果を高める ……ほか
3 投資リスクの上昇にどう対応するか
サブプライム危機後の国債投資リスクの上昇 ……ほか
4 これからの金融・財政のあり方
デレバレッジからReレバレッジへの回帰を ……ほか
おわりに
著者プロフィール
柴 崎 健(しばさき たけし)
一橋大学経済学部卒業,一橋大学大学院国際企業戦略研究科修了,日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)入行,同札幌支店,興銀証券市場営業第一部,同投資戦略部等を経て,みずほ証券
金融市場調査部 チーフファイナンシャルアナリスト。
横浜国立大学大学院国際社会科学研究科非常勤講師。
主な著書
『銀行の戦略転換』(共著,2004年,東洋経済新報社),
『世界国債暴落』(共著,2010年,東洋経済新報社),
『詳解バーゼルⅢによる新国際金融規制』(共著,2012年,中央経済社)等がある。