地域産業の永続性―発展を支える3つの要因
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- 長年にわたり生き残ってきた地域産業の永続性要因を丹念なフィールド調査によって探究。「イノベーション」「取引制度」「人材育成の仕組み」の3つが永続性のカギである。
目次
地域産業の永続性
発展を支える3つの要因
目次
まえがき
序章 本書の狙いと構成
第1章 世界三大眼鏡産地(日・伊・中)の物語
―地域産業の盛衰とイノベーション
1 はじめに
2 各産地の現況
2-1 日本:鯖江
2-2 イタリア:ベッルーノ(Belluno)
2-3 中国:深圳・東莞・丹陽・温州
⑴ 深圳・東莞 ……ほか
2-4 眼鏡製品の貿易取引額に見る三大産地の現況
3 産地構造の特徴
3-1 鯖 江
3-2 ベッルーノ(Belluno)
3-3 中国の各産地構造の特徴
⑴ 深圳・東莞 ……ほか
4 なぜ,鯖江産地は弱くなったのか
5 なぜ,ベッルーノ産地は元気なのか
6 中国産地の競争優位性はどこにあるのか
7 おわりに
第2章 静岡県の酒造産業の活性化
―地域産業の再活性化ロジック
1 はじめに
2 現状と特徴
2-1 縮小傾向に歯止めがかからない日本酒産業
2-2 生産量は縮小,しかし品質は向上―「吟醸王国」静岡県
3 歴史的な経緯
3-1 志太杜氏
3-2 「桶売り」の時代
4 活性化に向けた戦略転換
4-1 吟醸酒分野への集中特化
4-2 静岡酵母開発の物語
4-3 地域ブランドの確立
4-4 酒造技術の継承とその活用
⑴ 県内で鑑評会が盛んに行われていた ……ほか
5 おわりに
第3章 プラモデルの集積地「静岡
―産業集積の生成・発展の要因とは
1 はじめに
2 プラモデル産業の概要
2-1 歴 史
2-2 プラモデルの定義―プラモデルとは何か
2-3 現 状
3 なぜ静岡がプラモデル産業の集積地となったのか
3-1 戦前から存在していた模型技術の基盤
3-2 環境変化への適応を可能にした市場選択
3-3 模型見本市―「静岡ホビーショー」
4 プラモデル産業構造
4-1 細分化された小規模市場―オタク市場
4-2 メーカーの棲み分け
4-3 金 型
4-4 金型の使い回し
5 おわりに
第4章 協調メカニズムとしての取引制度
―第三者による取引ガバナンスが地域産業を永続させる
1 はじめに
2 焼酎業界の取引制度
2-1 イモの流通形態―「仲買人制度」
2-2 「見える手」としての仲買人
2-3 取引価格の事前設定の慣行
2-4 仲買人による取引の誘因構造
3 静岡県の茶産業における取引制度
4 取引における「第三者」の役割―取引のガバナンス
5 おわりに
第5章 地域産業における人材育成の仕組み
―オーガナイザー(問屋)と公的教育機関の役割
1 はじめに
2 問屋の論理 vs 職人の論理
2-1 問屋の論理
2-2 職人の論理
2-3 問屋の商人化
2-4 商人からオーガナイザーへ
3 継続的な人材育成の仕組み
3-1 地域内で人材育成が必要な理由
3-2 地域内の公的教育機関
3-3 地域教育機関の重要性
4 おわりに
終章 新しい理論発掘の宝庫,地域産業
参考文献
索 引
著者プロフィール
尹 大栄(ゆん・てーよん)
静岡県立大学大学院経営情報イノベーション研究科教授
神戸大学大学院経営研究科博士後期課程修了。博士(経営学)。
専門分野は経営戦略論,国際経営論,産業クラスター論。
主著:
『日中韓企業の経営比較』(共著)(2005年,税務経理協会),
『地域マネジメントと起業家精神』(共著)(2008年,雄松出版),
『静岡に学ぶ地域イノベーション』(共編著)(2013年,中央経済社)など多数。
- 担当編集者コメント
- 「なぜ、何百年も続けられるのか?」
14世紀に始まったイタリアの代表的な繊維産地プラトーや、16世紀半ばにジュネーブで始まったスイスの時計産業など、500年もの長い時間を存続し、今なおそれぞれの地域経済を支えている、その「しぶとさ」はどこから出てくるのか? 何が要因なのか?
本書は、長年にわたって生き残ってきた地域産業の永続性要因を探究します。そして、発展を支えた要因は1つではなく、3つあることを明らかにしました。