労働時間制度改革―ホワイトカラー・エグゼンプションはなぜ必要か
- 本の紹介
- 感情論が先行しがちなホワイトカラー・エグゼンプション導入の是非。三六協定や割増賃金ではなぜだめか、という複雑な現行制度の問題点からわかりやすく説き起こします。
目次
労働時間制度改革
―ホワイトカラー・エグゼンプションはなぜ必要か
目次
プロローグ
第1章 労働時間は,なぜ規制されるべきなのか?
1 自己決定にゆだねてはいけないのか?
2 規制は,どのように展開してきたのか?
3 時代と共に変容する規制目的
4 労働時間規制は,理論的には,どのように正当化されるのか?
5 労基法による規制は適切か?
第2章 日本の労働時間規制は,どのようなものか?
1 法定労働時間とは何か?
2 法定労働時間の例外としての時間外労働
3 割増賃金とは?
4 弾力的な労働時間規制
5 管理監督者に対する適用除外
6 労基法は,労働者の休息をどのように保障しているか?
7 日本の労働時間規制がめざした理想と現実
第3章 日本の労働時間規制は,労働者の健康保護に
役立ってきたのだろうか?
1 時短政策は効果があったか?
2 長時間労働は,労災を増やすのか?
3 政府は,長時間労働から労働者の健康をどのように守ろう
としたか?
4 健康保護は労働安全衛生法の役割か?
第4章 欧米の労働時間法制は,
日本とどう違っているのだろうか?
1 日本の年間労働時間は突出して長いわけではない
2 割増賃金規制中心のアメリカ
3 欧州連合の労働時間指令
4 オプト・アウトが特徴のイギリス
5 時短先進国のドイツ
6 週35時間の国フランス
7 日本と似た歴史をもつイタリア
8 比較法から浮かび上がる日本法の特徴
第5章 日本の労働時間規制のどこに問題があるのか?
1 労働時間規制のモデル
2 日本の労働時間の上限規制の特異性
3 過半数代表は機能したか?
4 時間外労働がどのような事由であっても許される日本
5 割増賃金をきっちりもらうことは難しい!
6 割増賃金があると,もっと働きたくなる!?
7 労働時間を正しくカウントできるか?
8 管理監督者制は脱法への道?
9 休日は法的に保障されているといえるのか?
10 総括すると……
第6章 日本人にヴァカンスは似合わない?
1 休まない日本人
2 日本の年休制度
3 外国の年休制度
4 日本と欧米の年休制度の違いはどこにあるか?
第7章 労働時間制度改革論は,何を議論してきたのか?
1 労働時間制度改革論は,いつ始まったか?
2 第2次安倍政権下で再燃する改革論
3 労働法学の反応は?
4 三位一体改革への若干の疑問
5 ホワイトカラー・エグゼンプション導入への障害は,
もはや存在しない?
第8章 新たな労働時間制度に向けての提言
1 割増賃金はほんとうに維持すべきか?
2 労働者の健康はどうやって確保するのか?
3 日本版ホワイトカラー・エグゼンプションはこうだ!
4 正しいホワイトカラー・エグゼンプション論
参考文献
事項索引
判例索引
著者プロフィール
大内伸哉(おおうち しんや)
1963年生まれ
1995年 東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了
現 在 神戸大学大学院法学研究科 教授
<主な著書>
『雇用社会の25の疑問(第2版)』(2010年,弘文堂)
『君は雇用社会を生き延びられるか』(2011年,明石書店)
『人事と法の対話』(共著:2013年,有斐閣)
『解雇改革』(2013年,中央経済社)
『君の働き方に未来はあるか?』(2014年,光文社)
『法と経済で読みとく雇用の世界(新版)』(共著:2014年,有斐閣)
『雇用改革の真実』(2014年,日本経済新聞出版社)