トヨタシステムと管理会計―全体最適経営システムの再構築をめざして
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- トヨタの経営・生産管理システムは、なぜ一般企業に導入することができないのか?先進的なトヨタシステムと管理会計システムとの関係を追究し、「ねじれ」問題を解明する。
目次
トヨタシステムと管理会計
全体最適経営システムの再構築をめざして
目次
はじめに
本書の性格と視点
プロローグ 中国で競う世界の自動車メーカーの
マネジメントシステム
1 先陣「広州ホンダ」の簡明システム―「不良品を次工程に送るな」
「仕事は教え合おう」「改善提案をしよう」
2 米欧自動車メーカー―外から変える「アウトサイド・イン」アプローチ
3 トヨタ自動車の追撃―内から変える「インサイド・アウト」アプローチ
4 まとめ
第1章 前世紀の経営管理システムの回顧
―そもそも「管理」とは
1 組織統合手法の変遷を俯瞰する
⑴ 管理組織╱委員会╱予算統制による組織統合
⑵ 生産システムによる組織統合
⑶ 管理会計による組織統合
⑷ 関係性と進化の原理による組織統合
2 前世紀に勃発した「生産パラダイムシフト」
⑴ 生産パラダイムのシフト
⑵ ものづくり経営システムのパラダイムシフト
3 経営理論の知識の型ナレッジ・パターン
⑴ 21世紀の「経営理論の知識の型」F,I 二元論の統合へ
4 まとめ
第2章 全体最適システムデザインのプロトタイプ
―1985年T社H工場の事例
1 生産改革プロジェクトの立ち上げ
2 レレバンス・ロスト
3 経理部門の役割
4 成功するMRP の条件
5 生産╱会計統合システム俯瞰図とアルゴリズム
⑴ アルゴリズムの要点
6 生産の論理に整合する会計システム再設計
⑴ 事例1―工程別実績時間の測定廃止
⑵ 工程別実績測定を原価管理上必要であるとする思い込み
⑶ 事例2―リードタイム基準配賦
7 まとめ
第3章 システム・リ・デザインの概念装置を整える
1 「海の水」と「河の水」―TPS モードと非TPS モードの根本的違い
⑴ 「海の水」と「河の水」の対比
⑵ 標準についての考え方
⑶ 限量生産
⑷ 会計観
2 突破できるかTPS 導入の関門
⑴ 「隣に100%合わせる」カルチャー難関1
⑵ 画期的小ロット化の断行難関2
⑶ トレード・オフ思考からの脱却難関3
⑷ 会計思考との不整合難関4
3 不可視領域への挑戦―伝統的マネジメントからは見えにくい概念
⑴ スキーマ(認識枠)
⑵ モノの待ち時間の価値
⑶ 改善のスイートスポット
⑷ リードタイムの意味「月産30台」の中身
⑸ 在庫コスト
4 複雑適応系理論とスキーマ調整
5 まとめ
第4章 場所特性と手法特性
―自己の位置づけと手法の適合性を確かめる
1 場所特性分析“己を知り,彼を知らば”
⑴ 均衡プロセスと不均衡プロセス
⑵ 製品特性―多種少量・少種多量・中種中量
⑶ 「郵便局窓口型」と「免許証更新場型」
2 組織統合度格付け―「己の組織体としての統合度」を知る
⑴ 機能分析アプローチ
⑵ 格付けAの組織体の特性
⑶ 格付けBの組織体の格付け向上対策
⑷ 格付けCの組織体の特性―格付けCの組織体を呼び覚ますには
3 手法特性分析―「不均衡プロセス╱組織統合度B2」企業の場合
⑴ 手法特性分析総括表の作成
4 まとめ
第5章 製品中心のシステム・アーキテクチャー
―トータルシステムを「製品中心」に描く
1 「管理中心」から「製品中心」の経営構造へ
⑴ アーキテクチャーの概要説明
2 モジュール1 システム理念
3 モジュール2 製品戦略計画機能
⑴ 伝統的「管理中心」アーキテクチャーの構造欠陥
⑵ 製品別計画の中期経営計画への組み込み
―1960年代のトヨタの方針管理
4 モジュール3 執行機能
⑴ 「脱管理」のインプリケーション
5 モジュール4 システム評価機能
6 モジュール5 財務会計機能
7 モジュール6 情報処理機能
8 トヨタの管理会計
⑴ トヨタは果たして“MBM”か
⑵ トヨタの経理部門は強いか
⑶ トヨタの管理会計とは
9 まとめ
第6章 製品戦略領域のシステム再設計
―リ・デザインの要点その1
1 「新商品企画が出続ける体質」づくり
―マネジメント問題はすべて「新製品がないこと」に帰着させよ
⑴ ファブレス経営
⑵ オープン型のモジュール化
⑶ シャープの最終製品戦略
2 徹底したフロント・ローディング
―後工程の管理を無用化する仕組みをつくれ
3 製品生涯採算計画の作成と運用
⑴ 「製品生涯採算計画表」の作成
⑵ 「製品生涯採算計画表」の概要
⑶ 「製品生涯採算計画表」の運営面配慮の設計ポイント
―ライフサイクル・ポジション
4 「コスト」計算から「価値」計算への転換
⑴ シャープ国内残留の理由
⑵ コスト・マネジメントからの脱皮
⑶ 低価格商品は売れない
5 まとめ
第7章 現場力(オペレーション領域)のシステム再設計
―リ・デザインの要点その2
1 「非データ・場面情報」のコンセプト
⑴ 経営情報階層のコンセプト
⑵ 執行機能のシステム・リ・デザイン
2 「限界突破する仕組み」のビルト・イン
⑴ 限界突破型の執行機能とは
3 スピアとボーエンのとらえたトヨタの現場力とは
4 CSD(合流システム再設計法)―アメリカ発のトヨタシステム導入法
⑴ CSD とは何か
⑵ CSD 手法の概要
⑶ CSD の実績手順
5 まとめ
第8章 日本経営管理標準
―Japan Management Standard:JMS
1 JMS 開発の背景
2 トヨタの「機能別管理」と「業務構成表」―JMSの背景理解のために
3 JMS の構造プロセス・ボックス
4 診断から「アクションプラン」そして改善へ
5 組織開発ツールとしてのJMS 活用
6 人材開発ツールとしてのJMS 活用
7 まとめ
第9章 会計の論理と生産の論理を統合せよ
―リ・デザインの要点その3
1 「リードタイム基準原価計算」vs.「標準・全部原価計算」
2 在庫が減ったら利益が減る!? 原価計算構造を確かめる
⑴ 中世イタリア冒険企業からのメッセージ
―会計年度にとらわれない製品生涯のマネジメントを
3 生産の論理vs.会計の論理21世紀経営システムの課題
⑴ アブダクションのすすめ
4 生産と会計の調和・統合方法をめぐって
⑴ TPS の成功とは何か
5 二元論から一元論へ俯瞰管理会計学の視点から
⑴ 何故,二元論か
⑵ 貸借対照表中心のマネジメントの実践例
⑶ 売上と原価はワンセット一元で管理せよ
⑷ 生産管理と会計管理は一元
―同根の統合システムとして運営せよ
⑸ 予算と実績どちらか1つあればよい標準・標準差異
⑹ 製品別会計情報と設計情報転写論
⑺ 多期間を俯瞰せよ単期間モデルの限界
⑻ 会計年度フリーの「YTD(Year To Date)法」
―財務情報の活用法
⑼ リアルタイムと中長期計画の重視
―年度計画を突出して重視するな
6 報告書の俯瞰性を高めよ
―「損益・キャッシュ・フロー結合計算書」の可能性
7 「全社から1個まで」を俯瞰する一元的経営情報システムを
志向せよ
8 価値志向経営(Value Based Management)は「ものづくり経営」には
使えない
9 MRPⅡの悲劇―生産と会計を無神経につないではならない
10 まとめ
補章 2004年中国トヨタグループの訪問調査
1 天津一汽豊田汽車有限公司
⑴ 当社の沿革
⑵ 事業の状況
⑶ 工場管理の現況
⑷ 調達管理
⑸ TPS 活動
⑹ 工場見学
⑺ 労務管理
2 天津豊田汽車鍛造部件有限公司
⑴ 当社の沿革
⑵ 原価構成と事業の特徴
⑶ 生産設備と保全管理
⑷ TPS について
⑸ 工場現場
3 まとめ
和文参考文献
欧文参考文献
索引
著者プロフィール
河田信(かわだ・まこと)
1942年中国北京に生まれる。
1964年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。株式会社明電舎入社
1972年帝人製機株式会社入社。システム部長,企画部長,開発推進
部長等を歴任
現在 名城大学経営学部教授経済学博士(東北大学)
㈱名城プロセスマネジメント研究所代表取締役
<主要著書等>
“Strategic Management Accounting―Why and How,”Management Accounting, August,
1993, IMA.(1993-94,Certificate Appreciation受賞)(共同論文)
『米国製造業の復活―Relevance Regained』(辻厚生共訳),中央経済社,1994年
『プロダクト管理会計―生産システムと会計の新しい枠組み』中央経済社,1996年
「製品価値評価とナレッジマネジメント」名城論叢,2001年3月
『トヨタはなぜ強いのか―自然生命システム経営の真髄』(訳書)日本経済新聞社,2002年(Johnson, H. T. and Broms,
A., Profit Beyond Measure, The Free Press, 2000)